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人形はなぜ殺される

この題名は、そのまま高木彬光からの読者への挑戦状です。「人形はなぜ殺される?」この奇怪な言葉の謎が事件の本質であるのです。すっきりまとまった推理。一転二転する解決劇。驚きの演出。張り巡らされた伏線。決してキャラクターに頼ることなく読者に訴えかけるあらのない文章。やっぱり高木彬光・・・・・いいわ。

この作品は神津恭介の失策・・・・という題名でもいいかもしれない(涙)それくらい手強い相手でした。悪魔のような。神津さん苦しんでたし・・・・かわいそうだなぁ。でも、よわよわした神津さんも結構はかなげでイイモンだ(違うでしょ)全四幕あるのですが私は第二幕を読み終えたところで犯人が当たったので嬉しかったっす。基本的にトリックとかは置いといて、犯人が当たれば満足しその作品に好意を持つという単純な性格なので、だからこそこの作品が一番好きなのかもしれません。



神津恭介とは?(研三君談)
35歳独身。東大医学部法医学科を卒業して大学の助教授をつとめ、医学博士と理学博士と
二つの学位を持つ。その学位の一つは全然畑違ちがいの数学で、しかもまだ二十歳にもならない
前に、ドイツ数学雑誌に発表した整数論の論文に与えられたものなのだ。家代々の財産もあり、
しかもギリシャ彫像を見るような日本人ばなれのした美男子なのに、どうして世の中の女の子が
彼をいつまでも放っておくのか研三は不思議でならなかった。
表面は氷のように冷たく見えるが、決して親しみ難くはない。腹の底まで入ってみると、案外と
思われるほど、多情多感な友情にも信義にも篤い人物である。




【「人形はなぜ殺される」に関するつっこみ集】


「松下君?何をぐずぐずしていたんだい?」
恭介の声は珍しく、いらいらしていた。
「僕の電報を見なかったのかい?」
「すみません。今日は朝から出かけていたんで・・・・」
「それで、3日間の間、いったい何をしていたんだ?」
「それが、のっぴきならない用事で・・・・・二晩つづけて徹夜して・・・・」
「また麻雀だろう。馬鹿!」
よほど、何か癇にさわっているのだろう。平素静かな、冷徹な恭介にしては、珍しく語気も荒かった。
(45頁10行〜46頁1行)

松下くん・・・・魔術大会で起こった謎を神津さんに相談に行ったのは自分だったのに・・・・その謎は神津さんに預けてしまって自分は二晩徹夜で麻雀とは・・・・・そりゃ神津さんでも怒るわ・・・(涙)さぐりを入れるようにと、言われていたのにそんなコトしてる間に事件が展開してしまったという・・・・。神津さんが研三くんに馬鹿と言ったのはこの時くらいなのかなぁ。でもこの後すぐ神津さんは我に返って「失敬、ついいらいらしたんで・・・・」と謝っていた・・・。いい人や・・・・(T_T)


「精神病院の見学に行こうと思います。何か材料が拾えるかも知れませんから、君もいっしょに来ませんか?」(100頁1行)

神津さんから松下くんへのハガキ・・・・。研三くんは神津さんが「一緒に来ない?」と聞いたらゴロゴロついてゆくのは決まってるじゃないか(笑)いちおう電話で確かめた後研三くんは当然こう言うのだった「行きますよ。行きますとも・・・・・」神津さんの、丁寧な言葉遣いがいいなぁ〜(^-^)


「なるほど、将を射んと欲するならば、まず馬をーということがあるようですが、僕がその馬だというわけですな」(117頁7行)


神津さんは私立探偵の看板をかけているわけではないから、正面きってたのみに行ってもだめかも知れないけれど、松下先生からお願いしていただけば、たいていは大丈夫だろうと言われたので・・・という相談人が研三くんのところにやってきた!ううん。仲介人、分かってらっしゃる(^-^)神津さんと研三くん、お互い相手の言うことには真摯に耳を傾けあう、とっても良い関係なのだ。でも、研三さんのほうが馬・・・・言い得て妙なり!(涙)だって神津さんご主人様だもんな。


1時33分に静岡へついて、それから四里の道を車でとばしたとしても、興津へたどりつくのは午前の2時過ぎになる・・・・初めて訪問する家を、そんな深夜にたたきおこすことは、エチケットを尊ぶ恭介には出来ることではなかった。(150頁8行)

エチケットを尊ぶ・・・・って神津さん・・・・紳士だわ・・・・(うっとり)でもこのとき天才神津恭介は目測を誤っていた!仮に事件が起こるとしてもそれはもうすこし時間を置いてだと読んでいた・・・。でもすぐ起こっちゃった(涙)まぁ、このとき自分のエチケット倫理に反して研三くんの待つ興津へ行ったとしても・・・・もう、次の事件は防ぎようもなかったんだけどね・・・。


彼はただ、神津恭介の来援を心の底から待ち続けた。恭介さえ来れば・・・・・・恭介さえ来たら・・・・・・原始人のような単純な気持ちにかえって、彼はただそのことを祈り続けた。(156頁8行)

うは・・・・。研三くん原始人になる!じゃなくて・・・・そんなに、そこまで、神津さんのことを・・・・?(うるうる)石岡君は「彼は気違いです!」とかきっぱり言ってのけたりしてたが、研三くんは、口が裂けてもそんなこた言わないだろうな。石岡君は言い切ってしまうとこが、そして研三くんは原始人なとこが、それぞれかわいいのだ\(^O^)/


「誰が、誰が、お前を殺したのだ?」(161頁3行)

ここ、ここが物語り最高の盛り上がりでしょうか。もーどきどきよ。ネタバレになるからこれ以上書かない。書けない。何がどーなってるの!?(>_<)と知りたくてうずうずする方は買いましょう。読みましょう。そして、味わいましょう。研三くんの恐怖を。


「あッ、ここでも人が殺されている!」
「松下さんだ。たしかに!」
(162頁6行)

ああ、研三くん・・・君とうとう殺されちゃったの?(涙)とゆーか。そんな、断言しないでくれよ・・・・仮にも準主人公とも言うべきワトソン君がそんな簡単に殺されてたまるかー!「たしかに!」って言われたときにゃぁ眩暈が・・・・・。でももちろん生きてます!でも猿ぐつわに両手両足に手錠・・・・もごもご研三くんでした・・・・。おいたわしや。


「月光!月光!月光!神津・・・・・・神津・・・・・・神津さん」(165頁7行)

研三くんのタワゴト・・・。じゃなくてうわごと。可哀想に、上のような状態にされて、もごもごしてたら、衝撃の事実を聞かされて研三くん卒倒しちゃいました。倒れながら叫び続けた言葉・・・・・。神津さん・・・・はよ来たってくれ〜・・・(涙)


恭介はジュースの中にストローをつっこみながらはっとした。(170頁1行)

何か、かわいかったので(オイ)だって可愛くない?お酒ダメなのよ、神津さん。ほんでオレンジジュース。しかも飲みながらはっとするなっつーの!(笑)このあとはバナナの皮をむく描写もあるし。何か、食べ物を食べる描写って現実感あって、いいですよね。神津さんがバナナ・・・・・(ドリーム)ちなみにこのシーンめちゃくちゃシリアスなんです。つっこむのって私くらいか?


「僕はこの犯人を稀代の魔術師だと思っています。自分自身の殺人技術に陶酔するだけではなく、その出来ばえを、一人でも多くの見物に見て貰って、拍手喝采してもらいたくってしかたがないんですね。まぁ、犯罪露出狂ーとでもいえるでしょうが〜(略)」(174頁1行〜3行)

うーん。この字面だけ見ているとまるでシリウスのよーだ。犯罪露出狂・・・・・なんて綺麗なすっきりまとまった言葉でしょう。この言葉が何を意味するかは別として、高木彬光の言語センスにはブラボーを送りたい。だって、こんな単語、普通思いつかないよ?これからはシリウスの肩書きとして使わせて貰おうっと!>犯罪露出狂


「僕が運転していたわけじゃないけれど、載っていた列車が、○○さんを轢いたんだし、松下くんまでたたきのめされたということになると、意地でも弔い合戦に乗り出さなくっちゃいけないわけですからね」(177頁2行〜4行)

口では冗談めいたことを言ってはいるが、その眼は爛々と燃えている。その思い詰めた眼の色からは、日頃から凶悪な犯罪者ばかりをあつかっている警部をもはっとさせるものがあった。この名探偵の澄んだ眼にも、今日は狂ったような光がある。(BY研三)そりゃぁもう、研三くんがやられたって聞いたら黙っちゃおれんよね!神津さんは(^-^)研三くんがもし殺されちゃったりしたら、犯人を殺しちゃうかもしれないなぁ・・・・・。そんくらい神津さんにとって研三くんは大事なのだ。


打撲傷からようやく回復した松下研三は、恭介たちから3日遅れて、包帯をしたまま東京へ帰ってきた。よくいえば活動的、悪く言えばおっちょこちょいの研三は、体が動けるようになるとそのまま家にじっとしておられなかった。早速痛む体をひきずって、恭介の家を訪ねたが、恭介は曇っていた顔に一脈の喜色を浮かべてこの傷ついた友を迎えた。

「よかった。本当によかったね。命拾いをして・・・・・・君にまで、万一のことがあったら、僕はどんなに後悔しても追いつきはしなかった」


ふはー!神津さん!なんて優しいの!?きっと涙ぐんでるはずだぁ!!作者が研三くんのことをおっちょこちょいと書いているのは置いといて(涙)「痛むからだをひきずって」神津さんの家に赴く研三くん。それを見てぱあっと顔を輝かせる神津さん・・・・いいなぁ。それにしても、神津さんは、責任感じて会いに行かなかったのか、それとも事件で悩みすぎてて研三くんのこと忘れていたのか・・・。どっちにしろ、研三くんが興津に置いてけぼりくらったのは動かしようのない事実である(涙)


「神津さん、日本屈指の名探偵といわれるあなたにしては、今度はえらく、焼きが廻ったものですね」(333頁14行)

こ・・・このシーンは・・・・何かもう、詳しく語りたくないです(涙)だって・・・・神津さん・・・・(涙)読まれてない方は意味分からないでしょうけど、書かずにはおれないシーンなんです。ごめんなさい。


恭介の目尻には、かすかな涙が光っていた。(335頁4行)

ごめ・・・・これだけ(涙)神津さぁ〜ん・・・・・・泣かないでくれ。


「神津さん、少しお休みになったらどうです。もう誰が殺されたっていいじゃなりませんか。あなたの体にはかえられませんよ〜略〜僕で出来ることならどんなことでもするんですがね。銀座を裸で歩いてみろといわれたってやりますが・・・・ただ、そんな馬鹿なことをしたところで、あなたのお役に立つわけじゃないんだし・・・・・」

「銀座を裸で歩いてくれる?」何を思ったか、恭介はするどく、この言葉を聞きとがめた。
(346頁6行〜15行)

研三くん危うし!!よけいなことを口走るからこういうことになるんだよぉ〜!(爆笑)神津さんも、なぜかするどく、この言葉を聞きとがめちゃったりしてるし・・・・いったいどーゆーつもりだ高木彬光・・・・(笑)何か私のイメージでは、神津さん目を「キラーン☆」とさせてると見た・・・・。さて、その続きは・・・・・


「むかしの小説家の何とかという大家がそんなことをいっているんですよ。小説を書くということは、真昼間日本橋の真中に素っ裸でひっくりかえるだけの勇気がいるものだとね。それを同じことで僕だっていざとなったら、気ちがいのまねでも何でも、しないことはありませんよ」
「気ちがいのまねをしてくれる?」恭介の顔には一瞬、何かの光明が閃いたようだった。天啓というか、霊感といおうか、底知れぬ暗黒の中に一筋の光明を見出したような表情を浮かべながら

「じゃあたのむ。気ちがいのまねをしてくれないか?」
(346頁16行〜347頁5行)

神津さん、さらに「キラーン☆」研三くん、さらにボケツを掘る!!!ばかたれー!(笑)銀座を裸で歩くよりはいいけど。気ちがいのマネ・・・神津さんのためならそこまで・・・・?(るるる〜涙)研三くんの健気さに乾杯・・・・。しかし神津さん、案外おひとよしでおっちょこちょいの研三くんがそう言い出してくれるのを待っていたのではないか?策士め・・・


「君は世間の評判では、あわてもので、おっちょこちょいということになっているから、仮に何かあったとしても、世間じゃ、ああ始まったかと納得してくれる。そしてもしこの芝居が図にあたったら、君は一躍大変な英雄になれるんだが・・・・・」
「英雄なんかになる必要はありませんよ。あわてものでも、おっちょこちょいでも、もちろん結構ですけれど、いったい何をするんです?」
(347頁8行〜12行)

あああ、神津さん、アナタ綺麗な顔してそんな失礼な・・・(顔は関係ない)まぁ相手が研三くんだからこそ、こういう軽口がたたけるんだよね。しかも、結構ぼけ入った御手洗風のセリフなのに、研三くんまったく意に介してない。結構研三くんて大物かも?というか、単に鈍感なだけかもしれん・・・・・。


「やりましょう。あなたがそういうのなら、僕だって、喜んでドン・キホーテをつとめます。」〜略〜「やりましょう。たとえ世間から何と言われようと、僕はこの際気違いになりましょう」

(348頁8行〜17行)

ああ、なんて素直なんだ、なんて信頼しているんだ。研三くん・・・・・ええ人や・・・。神津さん、幸せもんや・・・・。神津さんの言うことは神の言葉とでも、半ば本気で信じてるような研三くん。神津信者だね、こりゃもう。


「松下君、ありがとう。君のおかげで、僕も最後の罪人だけは作らないですんだ。へたに慰めてあげるより、さあ行こう」(358頁2行)

かくして、研三くんの気違い芝居は成功(?)に終わったのでした。ちゃんといい働きをした小犬にはお誉めの言葉を忘れない、神津恭介さんであった・・・・。助手に感謝の言葉を述べている・・・・それだけのことがこんなに珍しく思えるのはなぜ?



さて、いかがでしたでしょうか?「人形はなぜ殺される」かなりオイシイお話だと思って頂ければ
このコーナーを作った甲斐があるというものです。まぁヨコシマっぽい解説ですが・・・
どうぞご参考に!



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