平成15年度 卒業式式辞 

式 辞

 例年になく厳しい寒波に見舞われ、温かい春の陽射しを待ち望んでいましたが、校庭の木々の芽も、花壇の花もようやくほころび始めました。本日はこの良き日に、多数のご来賓、保護者の方々のご臨席を賜り、154名の卒業のお祝いができますことに、心から感謝申し上げます。 

只今、154名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。日夜温かい愛情を注ぎ育てられた保護者の皆様、本校に対しご理解とご援助をいただきました地域の方々、今日まで教え導いてこられた先生方の喜びは、ひとしおのものがあることでしょう。
本校・井芹中学校は、昭和63年4月1日に開校いたしました。その年に、卒業生の皆さんは誕生したのです。それから12年後、21世紀始まりの2001年に、期待と不安を抱きながら、皆さんは本校に入学しました。

皆さんは三年間、井芹中学校のために校訓「清明」「剛毅」「進取」の意識をもち続け、意欲的に学習、スポーツ、生徒会活動に取り組み、立派に実績を示してくれました。
生徒会では特にボランティア活動に力を入れ、9月には伝統ある合唱部とともに、明生園を訪問しました。すばらしい合唱、ギター演奏などを通して、立派に交流しました。また、校内の美化を目的とした「ゴミレンジャー隊」を初めて組織したのも皆さんです。生徒会の意識も高まり、その心意気は新しい生徒会に引き継がれています。5月の体育大会では全校生徒の中心として、応援団リーダーと協力し、体育大会を盛り上げ、大成功に導いてくれました。

一方、スポーツでは日頃の練習成果を発揮し、市の中体連大会では井芹中の活躍が大いに注目されました。そして、県大会での活躍に結びつきました。また一方、野球部の礼儀正しさは井芹の誇りであり、三年生の教えは二年生に引き継がれています。昨年9月2日に病気で亡くなった松村昭平くんのために喪章をつけ、戦い抜いた新チームの活躍は新聞にも取り上げられ、いまだに記憶に残っています。身体活動を通して「最後までがんばる」という覇気が、その後の生活や学習にも生きてきたと信じています。
皆さんが輝かしい実績のもと、めでたく全員揃って卒業できるのも、これまで皆の才能を伸ばすために指導にあたられた多くの先生方、保護者、地域の方々のおかげであることを心から感謝し、さらなる成長を誓いたいものです。

 さて、卒業とはめでたい人生の旅立ちです。新しい門出にあたり、二つのことを皆さんにお願いします。

一つは「自分自身を大切にしてほしい」ということです。
十五年間の成長で各々がものの考え方、個性などにも違いが出ています。この違いがあるからお互いの良さがわかり、尊敬し、助けあえるのです。自分の存在を見失わず、能力を最大限に発揮して、社会に貢献できる人間に成長してください。
 二つめは「誠実と思いやりの気持ちを忘れないでほしい」ということです。
自分の言動が相手にどう関わるのか、相手の立場に立って物事を考え、判断するとともに、真心と温かい思いやりをもちながら接していってください。友情や信頼も、誠実と思いやりがあってこそ生まれるものです。
 

いよいよ三年間の学び舎ともお別れです。卒業生と汗を流して育てた中庭の花も、先生方が協力して植えた職員室前の花も、皆さんが新しい学校、新しい職場で生活している頃には、満開となるでしょう。私たちはこれから続く在校生とともに、本校の発展のために努力していきます。
校訓の「清明」「剛毅」「進取」を胸に秘め、新しい世界に向かって大きく羽ばたいてください。第十五回卒業生154名の前途に幸多からんことを心から祈ります。

最後になりましたが、物心両面から本校のためにお力添えを賜りました地域の方々、保護者の方々に厚くお礼を申し上げます。また、朝の挨拶運動、校内の巡回と幾度となく学校に来ていただきましたPTAの皆様とアトムの会の皆様に、感謝の気持ちを申し上げ、式辞といたします。

平成16年3月12日  熊本市立井芹中学校長 福井 俊介