◆ 大津町・大願寺橋 

場所 大願寺橋(だいがんじばし)の所在地は、菊池郡大津町大字室です。熊本市からは国道57号線(東バイパス)を北上して、大津町へ入ります。国道57号線は大津町市街地のバイパスになっていますから、途中で左折(北)して、市街地を走る県道30号線に入ります。大津郵便局前の大きな交差点から、さらに左折(北)します。200mほど進みますと、小さな川があります。この川に沿っていくつもの石橋があります。写真のように、大願寺の前にある真っ白に塗られた橋が大願寺橋です。

 

堀川(上井出)に架けられた石橋は、すべて単一アーチの小さな石橋です。しかし、歩道部分と欄干部分がこのように白く塗られている橋は、この大願寺橋だけです。いくつもの石橋を見てきましたが、塗装してある橋はありませんでした。長さ5.4mのこの橋は、江戸時代の中期に架けられたようです。
堀川(上井出)に沿って栄えた町並みは、塘町と呼ばれています。塘町に関する説明書きがありましたので、その文を紹介します。

塘町筋(とうまちすじ) 寛永の頃に熊本藩主細川忠利公により堀川(瀬田上井出)の開削工事が再開された際、工事の排土により築かれた川塘の上に建てられた町並みが塘町筋である。ここは、豊後街道に面しており、宿場形成のために一部白川筋の住民を移住させるなど、当時政策的に作られた町である。旅籠・商家などが軒を連ねて宿駅大津の中心地となった。堀川の北側に並ぶ光尊寺・年禰神社・大願寺は何れも新住民の定着を願って建立されたものである。また、堀川には、上流から地蔵橋・光尊寺橋・松古閑橋・大願寺橋・井出上橋の5基の石造眼鏡橋があり、このうち下流の4基がこの町筋にある。さらに、西南戦争の弾痕の残る大願寺山門や芭蕉百年忌に建立された芭蕉句碑など、往時をしのばせる史跡が多く、ここは歴史の香りのする町並みである。
大津町教育委員会