◆ 砥用町・雄亀滝橋 

場所 雄亀滝橋(おけだきばし)の所在地は、下益城郡砥用町石野です。松橋町から国道218号線を東に進み、豊野町・中央町を過ぎて砥用町へ入ります。砥用中学校を数百メートル行くと、右へ入る道があります。ここから県道153号線へ入ります。3kmほど直進すると、やがて石野の県(あがた)という場所に着きます。
県道には「雄亀滝橋」の標識がありますので、そこで右折します。ここからは簡易舗装の林道で、曲がりくねった道を登らなければなりません。途中の分岐点にも案内板がありますので、それに従って進みます。最後は水路に沿って5分ほど徒歩になります。

雄亀滝橋は、熊本県指定重要文化財になっています。矢部町の通潤橋と同じ目的を持った水路橋です。規模に差はあっても、田畑を潤す貴重な水を運ぶ眼鏡橋に変わりはありません。この橋は単一アーチ橋であり、長さ15.5m、幅3.6mあります。石工は岩永三五郎であり、六年の歳月を費やし、文政2年(1819)に完成しています。

橋のたもとには、水路の分岐点がありました。左の水路は谷の下へ水が落ちていましたが、田植えの時期には大量の水が石橋を渡っていくことでしょう。
昭和63年3月に建てられた熊本県教育委員会設置の案内板には、次のように記されています。

熊本県指定重要文化財 「雄亀滝橋」 昭和49年11月19日 指定
緑川の支流柏川から取水する柏川井出が雄亀滝の深い谷を通る地点に造られた水路橋である。柏川井出は、約65町歩に灌漑するために造られた延長約11キロに及ぶ水路で、下益城郡代不破敬次郎、砥用惣庄屋の隅丈八、横目篠原善兵衛等の協力によって、文化11年(1814)から文政2年(1819)まで6年を要して完成した。この工事に伴って、この橋は文化14年に建造されている。
橋は凝灰岩を使った単一アーチ橋で、長さ15.5m、幅3.6m、アーチのスパンは11.8mある。石工は岩永三五郎、大工は甲佐の尉助である。橋上の路面に石造の水路が埋設されている。もとは欄干を立て、道路橋としても利用されていた。
熊本県に現存する眼鏡橋の初期の実例であり、水路橋としては最も古いものである。わが国最大の石造アーチ水路橋である通潤橋(国指定)は、この橋の技術が基礎になったといわれる。
熊本県教育委員会(昭和63年3月建)