◆ 豊野町・薩摩渡し 

場所 薩摩渡し(さつまわたし)の所在地は、下益城郡豊野町大字糸石です。熊本市から向かうには国道3号線を南下して、松橋町へ入ります。さらに国道218号線を利用して豊野町へ進み、県道32号線(高架)と交わる場所から1.5kmほど直進します。その付近から右折(南へ)すれば、この橋へ行くことができます。周辺は水田ですから、遠くからも見えます。

当時のままの姿を今に伝えるこの橋は、文政12年(1829年)に架けられました。橋の長さ16.1m、橋の幅3.4mの単一アーチの石橋は、東陽村の石工・嘉八によって薩摩街道に架けられたものです。橋の下を流れる川は浜戸川で、一面ホテイアオイで覆われていました。豊野町指定の文化財のため、車の通行は禁止されています。また、すぐ横を走る新しい道路には、石橋を模した橋が造られていました。豊野町教育委員会設置の案内板を紹介します。嘉八と三五郎が兄弟であったかは疑問です。

薩摩渡し  この眼鏡橋は種山(東陽村)出身名石工岩永三五郎の兄・嘉八の築造と伝えられ砥用町霊台橋の試作とも云われ、文政12年(1829年)に架けられたもので薩摩往還と云われ現在の一級国道にあたり大名行列や庶民がこの橋を渡り娑婆神峠を越えて小川・御船方面へ通ずるすばらしい造形美を備えた貴重な文化財であります。大切に愛護しましょう。
昭和56年11月吉日改修に当たって  豊野町教育委員会