◆ 御船町・下鶴橋 

場所 下鶴橋(しもづるばし)の所在地は、熊本県上益城郡御船町滝尾にあります。下鶴というのは地名で、小字(こあざ)名のようです。国道445号線に沿って、御船町へ入ります。御船町の中心地を抜けて、さらに国道445号線を直進します。約4km位で目的地に到着します。国道に架設された新しい橋と平行にありますし、かなり大きな石橋ですからすぐ分かります。

この橋は比較的新しく、明治19年(1886)に橋本勘五郎と弥熊親子によって架けられた、単一アーチ橋です。橋の長さは71m、幅員(道幅)は5.3mとなっています。人目を引く大きな橋は、御船町指定の文化財になっています。橋の両側とも広場があり、車が置けるようになっています。手前左側に路地があり、民家の脇を通って川へ降りることができます。石橋の撮影にはそこがいいようです。私のほかにも撮影を楽しんでいる方がいました。
次の二枚の写真は、親柱と欄干です。満月・三日月・とっくり・杯を掘りぬいた親柱にしても円柱状に削った手すりにしても、大変凝った造りになっています。最後の仕上げとして、心の余裕を感じます。

橋のたもとに御船町が立てた説明板がありましたので、全文を紹介します。保存されることになったとはいえ、今も車の通行が可能です。いづれ車止めの石が設置されるでしょう。この橋の上にバイクを止め記念写真を撮ろうと思いましたが、絵にならない気がしてやめました。やはり記念写真はアーチとともに写したいものです。

下鶴眼鏡橋  この下鶴橋は東京の二重橋や日本橋を始め矢部の通潤橋や、わが御船橋など数多くの眼鏡橋を架設して天下にその名をうたわれた名石工 橋本勘五郎、弥熊父子によって明治15年(1882)10月から明治19年(1886)10月まで満4年間を費やして架設されたものです。橋の長さ十三間(約22.63m) 幅は三間半(約6.36m) 総工費二千五百三十八円三十一銭厘を要しました。以来、春風秋雨九十有余年の間、熊本から矢部宮崎県に通する主要道路の交通橋として大いに郷土産業の振興に役立って来ましたが、時代の変転は交通量の激増と交通機関激変により、これまで堅固を誇ったこの石橋もついに耐えきれなくなりましたので、ここに近代橋が架設されました。
今後は、先人の事績を敬仰し、文化財として保存されることになりました。美しい石組みの見事さに注意してください。
  平成14年3月  御船町 御船町観光協会