◆ 玉名市・高津原橋 

場所 高津原橋(たかつはらばし)の所在地は、熊本県・玉名市です。玉名高瀬に高瀬眼鏡橋がありますが、そこの菊池川沿いの土手を上流にすすみます。この橋が架かっている川は繁根木川になります。

ご覧のように、石橋ではありません。現在、木の橋がなくなりつつありますので、あえて紹介します。私が幼い頃に遊んだ白川に、八城橋というのがありました。そのころの思い出につながる、なつかしい橋です。

昭和28年6月26日、前日から降り続いた集中豪雨のため、熊本市は大洪水に見舞われました。私が住んでいた場所は、熊本市城山半田町というところでした。当時私は5歳で、父は国立病院に入院していて、母は付き添いでした。仕方なく、兄と二人で留守番をしていた頃です。家のすぐ前に白川があり、そこに八城橋(はちじょうばし)という名の木橋が架かっていました。熊本市内に架けられた木橋は上流側から崩壊・流失し流されました。大きな材木が何本もこの橋げたに襲いかかり、川の流れをせき止めてしまったのです。
やがて橋はゆっくりと下流側に弧の状態となり、そのまま轟音を立て濁流の中に沈みました。橋は分解され、材木の塊となって流れていきました。橋の中央で警戒にあたっていた消防団の方が、あわててこちら側に走ってきたのを覚えています。私にとっては恐怖の体験でした。やがて2km上流の堤防が決壊し、我が家も床上浸水しました。
母が帰宅したのは数日後で、3kmの道を徒歩で帰ってきました。途中田んぼも道路も冠水していたため、相当に苦労したようです。

熊本市の人々は、この洪水を626(ろくにーろく)水害と呼んでいます。木橋よりも強いのが石橋といいますが、その石橋でさえも流されることがあります。