◆ 菊池市・立門橋 

場所 立門橋(たてかどばし)の所在地は、熊本県・菊池市重味字立門です。菊池市の中心部から左手に菊池神社をながめ、国道387号線を登ります。重味地区は、算数教育で有名な重味小学校があった場所です。菊池神社から10kmほど進むと、やがて立門の大きな交差点に来ます。ここに立門簡易郵便局がありますが、左側に進みますとすぐにこの石橋が見えます。
この交差点から左折すれば阿蘇・小国町に行けますし、右折すれば菊池阿蘇スカイラインを利用して阿蘇町・大観望へ行けます。ツーリングの仲間が、好んで通過する場所です。

熊日新聞社発行の「熊本の石橋313」を購入して読んだとき、なぜかこの立門橋の印象が強く残りました。早く行きたいと思いつつ、訪問したのは平成14年9月23日になりました。「立門」と漆喰が塗られている文字は、長い年月で消えかかっていました。菊池市が修復するのを、楽しみにしています。万延元年(1860)に完成したこの橋は、宇市によって架けられました。

この写真が、用水路に架けられた持送り式桁橋です。持送りというのは、下の方から少しずつ石をせり出し、一枚の大きな石を乗せる方法です。これも珍しいとは思いますが、雄大な眼鏡橋に気を取られてしまいます。橋のたもとに菊池市が立てた説明板がありましたので、全文を紹介します。

立門橋  この橋は、菊池川支流の柏川に架けられた単アーチ橋と右岸側に平行して流れる用水路に架けられた持送り式桁橋からなる石橋で、菊池から上津江村を経て、小国を結ぶ旧街道の要衝の地にあります。安政5年(1858)10月設計見積書が作成され、河原手永会所の伝作や総庄屋小山三右衛門などにより郡代の中村庄右衛門に提出されました。
これにより安政6年10月、細川藩建設願書が出され、許可を得て同月に着工し、翌年の万延元年(1860)4月に完成しました。石工長は宇一(橋本勘五郎の兄)で、架橋に関した当時の資料によると石工、大工、人夫の総人数は、5878人とする計画書が出されています。また、橋に刻まれた「立門」の文字は建設時のもので、漆喰が塗り込まれています。
橋の長さは75m、幅3.6mで、下流側の両岸には流壊を防止するため、石垣積みにより補強がされており、大型の眼鏡橋として学術的にも貴重な橋です。  
平成6年3月16日 県指定重要文化財  平成10年7月 菊池市教育委員会