▼Ф▼ ちょんかけごまの解説 ▼Ф▼

熊本だけに伝わるこまです。小・中学校で行われるお年寄りとの交流会で指導していただくこともあります。「総合的な学習の時間」にもテーマの一つとして取り上げられるかもしれません。地面や床の上で回すのではないので、空中ごまの仲間です。種類も少なく長崎・中国・フランス・アメリカにあります。こまの中では最も技術が高く、覚えるのが難しいこまと思います。

こまの材料  専門家用は、ツバキです。生長が遅いので硬く、しかも重いです。裏の着色していない部分の年輪でわかるように100年近い木です。そしてこの原木を日陰で10年乾燥させます。そしてやっとこまになるのです。中島寅男さんのお話では、夜中に木が「ピシッ」と音を立ててひびが入るのが聞こえるそうです。自然乾燥でないと、製品になってから割れるということでしょう。110年の作品ですから、5000円は安いのかもしれません。

ちょんかけごまの重さ  保存会の方は、350〜400gの重さです。私のは400gあります。少し重く感じますが、回転はいいです。初心者は、玩具店や土産店のこまがいいでしょう。200g程度で扱いやすいし、値段も安いので、安心して練習できます。床に落とすと必ず傷がつきますし、最後には割れてしまいます。ある程度うまくなったら、専門家用を購入してください。小学校低学年用には、もっと小さなこまもあります。

私が所有しているこまの直径と重さを測ったら、次のようになりました。直径13.3cmのこまは、370g。直径12.8cmのこまは330g。この二つはツバキで作られていて、専門家用です。玩具店のこまは直径11.5cmで220gでした。

ちょんかけごまのしん  下に二つの写真を載せました。左は、購入したときのしんです。鉄で作られています。このしんの欠点は、落としたときにはずれることです。何度もたたいてはめますと、やがてこまの穴が大きくなって困ります。接着剤もなかなか効果がありません。

       

右の写真は専門家用のしんで、ステンレス製です。このごろみかけるようになりました。このしんは先が膨らんでいるため、決して抜けることはありません。ただし機械で取り付けるので、直接中島寅男さんの工房に行ってお願いしなければなりません。

ちょんかけごまのひも  玩具店等にあります。これは消耗品ですから、まとめ買いしておくといいでしょう。一本40円でした。

ちょんかけごまの手入れ  決してコンクリートの上で練習しないことです。ひびが入ります。芝や土の上が最適です。雨の日もだめです。水分で木が膨らみ、ひびの原因になりますし、塗料がはげていきます。中島寅男さんのこまは30年使っているということでした。ツバキ油を塗る人もいます。使わないときは、直射日光にあてないようにしましょう。

肥後ちょんかけごま保存会  熊本には「肥後ちょんかけごま保存会」があります。なぜかといいますと「熊本市無形文化財」に指定してあるからです。ホームページもあります。保存会の人は、毎週土・日曜日・祝日の午後1時から、二の丸公園で練習しています。直接行って習うこともできます。緑のジャンバーに白のトレパンがユニフォームになっていますから、遠くからでも見えます。

熊本のこま製作  熊本のこま製作では、中島寅男さんが有名です。この方のこまは県伝統工芸会館にもあります。ツバキの専門家用は5000円します。玩具店に行けば1000円程度の物もあります。

こまの購入方法1  専門家用ならば、県伝統工芸会館(千葉城町)・産業文化会館(岩田屋デパート前)・市工芸会館(川尻町)等がいいと思います。みかけよりもずっしりと重く、こげ茶色の木はツバキです。

こまの購入方法2  練習用として、あるいは小・中学校用の備品として購入する場合は、玩具店がいいようです。種類と数も揃っています。値段は1000〜3000円前後と思います。

中島寅男さんの工房と自宅  熊本市竜田町弓削1192−20です。「中島工芸社」といいます。熊本市内から旧57号線を東に進んで、武蔵塚の手前30m位の所にY字型の交差点があります。そこを右に1Kmほど行くと、左手に看板があります。坂の途中に工房がありますが、工場とか玩具店のような家ではありません。普通の家ですから、見過ごさないようにしましょう。