第1回算数数学おもしろ授業研究会 

私が勤務する井芹中学校では、研究主任の提案で全教科が研究授業をすることになっています。数学科でも実施することになり、猿渡先生が授業者と決定しました。12月中旬になり、私のところへ相談にきました。話を聞くうちに、題材と大まかな内容がわかり、理数大好きモデル地域の事業として実施するよう依頼しました。

本人は承諾してくれましたが、校務分掌は進路指導主事です。年末の受験手続きに忙しい時期でもあり、周囲も心配しました。平成16年の県大会でも授業を公開した経験もあり、私としては彼の指導力を信じています。しかし、本人だけに苦労をさせてはいけないと思い、図書資料や教具の準備を手伝いました。研究授業の期日は、平成18年1月19日(木)・5時間目となりました。私は熊本市サブ地域の16校に案内状を発送するとともに、市教委指導課の山田先生に助言者として派遣依頼をしました。

学年は3年3組、題材は「三平方の定理」です。9時間扱いの単元で、当日は導入・1時間目になります。授業の最初は、まず定理の概要をつかむことから入りました。紀元前500年の時代、ピタゴラスが発見したといわれる定理であり、歴史を感じる内容です。黒板には、ピタゴラスの絵も提示されました。写真

写真は授業の導入の場面で、生徒はどのような規則があるのかを話し合っています。グループ学習では、協同することで考えがまとまったり、友人のアイディアに触れることができます。参加者も生徒の考えを近くで聞くことができ、分科会での協議の内容にもなります。

写真の場合、直角二等辺三角形です。これは、一般的な形ではありません。数学の場合f特殊な形で分からせて、次に一般的な形に入ります。法則がすべての直角三角形で成り立つことを証明しなければ、一般化された定理とはいえません。そこで、プラスチックでの教具が提示されました。これは私が10年ほど前に作成したもので、三種類ほど持っています。(写真

ここで生徒に、広いデコパネ(デコレーションパネル)が配布されました。これで三平方の定理を証明しようというものです。任意の正方形が事前に書かれていて、生徒は小さな正方形二つをカッターナイフで切ります。正方形二つは三角形等に分けられていますから、組み合わせて大きな正方形一つにしなければなりません。(写真

さて、授業も後半になります。ここで猿渡先生は、パソコンを投影しました。スクリーンも手作りです。全教室には市教育センターとランケーブルで接続できます。(e−net)。WEB教材の利用として、市教育センターのホームページを利用しています。リンク先は、東京書籍の図形領域です。生徒に対して動的な証明を、あっという間に提示できます。ここで、生徒から「オーー」と声が上がりました。(写真

写真の黒板に注目してください。黒板の下に立てかけているのは、「算数・数学おもしろランド」の教材です。マグネットで葉ってるのは、自作のプラスチック教材です。研究授業ですから、たしかに盛りだくさんにはなっています。さろるわたり先生の最初の計画では、さらに工夫したことがあったのですが、今回は時間不足ということでした。

写真は、会議室での分科会の様子です。ここに小学校の先生も参加して、協議がなされました。中学校でもこのようにいろいろな教材等が駆使され授業がされているとは思わなかった、という意見がありました。中学校数学の教師は、教科書とチョークだけで授業をしていると思っていたようです。最後に助言者の山田先生からお話があり、この会を終わりました。

今回の授業で、多くのものが提示されました。教科書・教師用教具・生徒用教具・パソコン・プロジェクター・Web教材です。私たちは、教科書の内容を教えています。その手段として、教具・ノート・問題集・パソコンを利用します。生徒の興味関心を起こすには、教具も効果があります。私は、教具が好きです。たくさんの教具を用いて、授業を行ってきました。生徒の生活の中に、テレビによる映像がたくさんあります。教科書とチョークだけの授業では、生徒は退屈しています。

パソコンもすばらしい効果があります。動くものを止める、逆に止まっているものを動かす力をもっています。統計処理であれば、電卓とは比べ物になりません。しかし、教科の内容を指導するとき、パソコンは万能ではありません。必要に応じて利用することが大切ですし、教室でもっと利用して欲しいと願っています。