星屑」1996年10月号掲載

能登半島をぐるりと半周、自転車でまわった。
 キャンプを続けながら4日かかった。
 顔も腕も足も真っ黒になった。
 3日で3Kgやせた。
 あまり予定をたてない気ままな旅で、4日目もどこにいくか決めてなかった。もう旅も終わらせようかなとも考えていた。ちょうど海水浴場があったので、ゆっくり休もうと、軽く泳いだ後で、砂浜で昼寝モードに入ろうとしていた。

・・・・まだ午前10時になっていない頃、から、である。

 人気のない海水浴場では、誰も聞いていないのにスピーカーから地方局のラジオが流れていた。アナウンサがどこかの施設に勤めている若い女性にインタビューを始めていた。その時、ピクピクピクっと自分のアンテナが警報を発して、注意深く聞けよ、聞けよと叫んでくれた。なに、「コスモアイル羽咋」「デジスター」「UFO」だって!?羽咋って、出発し始めたところじゃないか。たしかUFOで地域おこしをやっているところではなかったけ?デジスターがみれるの?
 旅の終わりかたはこれで決めてしまった。自転車をたたんで列車にのり、この旅の出発地点となった羽咋市に再び向かった。

★ママチャリとマーキュリーロケット

 羽咋駅についたのは午後3時半をすぎていました。自転車を詰めたバッグと荷物を駅前のお店にあずけ、そこの人が親切にも貸してくれたママチャリに乗って出かけました。やがて、UFOのようなお椀を伏せた巨大な建物と、そこの横ににょきにょきっとそびえ立つマーキュリロケットが見えてきました。


★残念、デジスターがみれなかった

 やはり、見学の目的はなんといってもデジスター2にありました。ところで、この日、コスモシアターで上映されていたプログラムは次の2つで、

 (1)「コズミック・パーセプションズ」

 (2)「WE FOUND THE EARTH  我々は地球を発見した」

(1)はデジスター2の機能をフルに使ったものですが、残念ながらこれの上映は終わっていて、私は(2)しか観れませんでした。こちらはビデオプロジェクターの上映番組で、デジスターの機能はほとんど使っていません。デジスター観覧はまた次の機会にゆずることになりました。

★展示室は、米ソ(旧)の機材で充実

宇宙科学展示室は¥800(子供¥400)で入れます。ここには、米ソの宇宙開発の機材がたくさん展示してありました。入ってまず目につくのが、マーキュリー宇宙カプセルで、窮屈なコックピットに体を埋めている宇宙飛行士(人形)が、痛ましくさえ感じられました。 

 次に展示してあるのが、ヴオストーク帰還用宇宙カプセルで、これは実際に使用した本物で、大気圏との再突入のときの焼けた後とか、地上着陸の際の傷跡があって、すごい迫力がありました。

他に、通信衛星やアポロ司令船、月着陸船、ボイジャー探査機など本物のの部品・素材で作られたものがずらりと並べられていました。それぞれ、ビデオ(日本語・英語)で説明されます。それでもわからないところは解説員の人に尋ねると丁寧に教えてもらえます。好きな人にとっては見応えたっぷりのところでしょう。

★UFO←これは科学か?

 宇宙科学展示室の一角にはUFOのブースがあって、ビデオで様々な科学者のUFOについての賛否両論の意見を拝聴できます。ところで、ある極端なアメリカの科学者は「宇宙人は人工授精して子供を作ったり、宇宙人×人類の掛け合わせをつくろうとしている。」なんてかなりショッキングな話をしていたのですが、これだけを聞いた人の中には、頭ごなしに信じてしまう人もでてくるのではと心配になりました。他の展示物が良くできているだけに、誤った知識(少なくても科学的に立証されていない)を植え付けてしまいやすそうです。

 と思うと同時に、いやいや、UFOという現象をキチント「科学的に」調べる事自体は変なことでないのでは?また、天文普及という観点から考えた場合、UFOや宇宙人から天体に興味を持つような子供が出ないとは言えないんではないかいな?と考えてしまいました。また、雨の後のタケノコのように全国に林立している、プラネタリウム・科学館のなかには一つぐらいUFOという特色をだしたところもあっていいのかもしれません。 (注・パンフレットをみるかぎりコスモアイル羽咋は「総合複合施設」という名前がついており純粋な「科学館」とは位置づけが違うようです)

★地域に開かれた施設に

 コスモシアターと特別展示室以外は無料で利用できます。一階には図書館と、ちょっとしたと展示室と、これは直に観ていないのですが音楽用のホールがありました。特に図書館は充実していて、このときは利用者が多く見られました。自分の町にもこんなところがあったらなーとうらやましくなりました。もらったパンフレットをみると、近々音楽家を招いていくつかのコンサートを催すそうです。入り口脇には自動販売機と喫茶コーナがあり、近くのおばあちゃんらしき人が月面車のとなりで世間話をしていました。
 特に気づいた点として、無料の図書館や展示室と有料のコスモシアターや宇宙特別展示室が同じ建物の中にありながら変に乖離している印象を受けました。遠方から訪れる人はコスモシアターとか特別展示室はみてくれるが、きっと地元の人にとっては何回も行くようなところではないと思いました。特に、それぞれ(コスモシアターと特別展示室)の入場料の高さが、小中学生にとっては致命的です。他の公共の博物館では地元の小中学生の入場料を割引き、または無料にしているところが多いのですが、そのような仕組みにすべきだと思います。せっかく立派な建物と、地元の人を集められる図書館・ホールがあるので、それにプラスして子供達が気軽に観れる・利用できる宇宙科学展示室があればすばらしいものだと思いました。

☆おまけ 地球外生物はいたのか!?

 私がコスモアイル羽咋を訪れたちょうどこの日、NASAは例の「火星の生物の痕跡」を発表しました。UFOの町をアピールしているんですから、どうですか、例の隕石の一部をもらってきて(買い取って)電子顕微鏡一式といっしょに展示するというのは?火星人の先祖の痕跡を観れるなら、またぜひもう一度訪れてみたいですね。

第2回 おわり



コスモアイル羽咋

【 所 在 地 】〒925 石川県羽咋市鶴多町免田25
【 電話番号 】TEL 0767-22-9888 FAX 0767-22-1947
【 交通機関 】JR羽咋駅下車徒歩10分程度
【 休 館 日 】火曜日・第3水曜日
         (祝日に当たるときは、その直後の休日でない日)
【 開館時間 】AM10:00-PM10:00
【 料  金 】宇宙科学展示室 ¥800/コスモシアター ¥700
          (子供半額)
【 館の設備 】1F ロビー 図書館 研修室など
          2F 宇宙科学展示室
          3F コスモシアター(プラネタリウム)
【ドームの種類】E&S社 デジスター2
          97座席


−−− デジスターとは −−−

エバンス&サザーランド社製のCGプラネタリウム。
 ワークステーションで描かせたCGを魚眼レンズを用いドームに投影する。従来のプラネタリウムと違い、天体を自由に動かして投影できる。つまり宇宙空間を飛翔するような光景もお手の物。ただし今のところ白黒で、面積をもった天体はワイヤーフレームで表現する。
 アメリカでは何台か稼働している。日本では、けんじワールド(岩手県)にデジスター1が、コスモアイル羽咋でそれの改良型のデジスター2が稼動している。


羽咋市在住のパスタさんのお部屋はこちら
「能登の遊び場」にはコスモアイル羽咋の紹介があります。


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