たかたがあるく第3回 誘われてスターパーティ
会場となるゴルフ場に面したHugePark公園に着くとすでに何名かの会員の人たちが望遠鏡を組みあげて見ていました。太陽が沈んだばかりでまだ明るいのでもっぱら上弦の月を見ています。アメリカのことだから自作のさぞや大きな望遠鏡が並んでいるのだろと思いきや、予想に反して、半分以上はメーカのもので、40cmぐらいのドブソニアンがこの日の最大の望遠鏡でした。ところで、みんな、駐車している自分の車のすぐ後ろの芝生に望遠鏡を並べていくものですから、駐車場と芝生の境界線に沿って南北一直線にずらりと並んでしまいました。![]() 望遠鏡を持ってきているのは、結構年輩の方が多いようです。もう、すでに会社を退職されているような年輩の方が、組み立てた望遠鏡の傍らで、ゆっくりイスに腰掛けてお客さんを待っています。その様子からは、この会だけではなくアメリカの一般市民活動の成熟ささえも感じられます。 ![]() お客さんもぼちぼち集まりはじめています。子どもを連れて来る人が多いようです。遅れてきた会員の方も車に自分の望遠鏡を積んでやって来ます。 宵が深まっていくうちに、月の左側に木星が見えだしました。そのあと、火星、M57、アルビレオなど夏の夜空でおなじみの天体に望遠鏡が向けられます。お客さんも増えて望遠鏡の後ろに並びはじめました。 SJAAの会員の方は、私たち(熊本県民天文台・運営委員)が一般公開でやるように丁寧に星の解説をしていきます。私は傍で聞き耳を立てていました。私の英会話の聞き取り能力は、たいしたことがない、はっきりいっちゃうとへたくそなのですが、この時とばかりは、ほとんど単語が聞き取れないのに、何を言わんとしているのかだいだいわかってしまいました。ところで、惑星を初めて見た人の驚き方というものは、日本人とまったく同じようなアクションをするもので、こういったものは文化や民族の差異をのりこえて人類に普遍的に備わっているものなのかなと妙に感心していました。 ![]() ここの公園は、サンノゼ市街の中にあり、もし日本だったら観測条件は最悪のはずなのに夜の照明が押さえられているのと、空気・空の透明度が高いので比較的よく星が見えます。またここから北のほうにあるサンノゼ空港は24時間稼働しているのですが、旅客機の航路からはずれているので気にならないそうです。ところで、一度青い照明をつけながらヘリコプターが南の方から飛んできました。 「あれは、なんだ?」 と尋ねると、誰か、 「スピード違反を取り締まるための警察のヘリだ」 と答えてくれました。 そのうち、私もズにのって、持ってきたマグライトを使って星の説明をやりはじめました。星の発音などは日本流に言っても通じないのに、それでも熱心に聞いてくれる人がいるもので、そのうち、 「あなたは、先生なのですか?」 と聞かれて 「いや、出張で日本からきている***のエンジニアだ」 と答えると、まわりの数名の人からも声を併せて、 「オー、ネックか!ネックか!」 と言われてしまい、なるほどうちの会社はネックと呼ばれているんだなと、・・・・勉強になりました。 10時をすぎたころ、そろそろお客さんが減り始めてくると、今日の観望会はそろそろ店じまい。会員の方は望遠鏡を片づけて三々五々帰っていかれました。 観光でも行っても出張で行っても外国では普通の市民の方と話したり知り合いになったりすることが難しいのですが、今回はSJAAのスターパーティのおかげで、いろんな人とおしゃべりをすることができました。本当に楽しいひとときでした。今度行くときは、泊まりのスターパーティに参加してみたいものです。
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です。