August Diehl / アウグスト・ディールちょっと紹介ページ

ドイツ若手俳優アウグスト・ディールのプロフィール&フィルモグラフィーを紹介しています。 (2006年8月から更新休止中です。)   


  

☆ 1. Profile and Impression

1976年1月4日にベルリン(ドイツ)に生まれる。父親は俳優のハンス・ディール。各地を点々とした影響も あり母国語のほかに英語とフランス語もOK。少年時より俳優を志し、演劇学校在籍中から活発に舞台活動を 行っていたらしい。1997年製作の「23(トウェンティスリー)」で映画デビューするやいなや1999年ドイツ最優秀 男優賞を始めとする多数の演技賞を獲得し、その後は舞台と映画の両方で活躍。2004年現在までに映画16本(短編を含む)と 舞台10作品に出演している。舞台の最新作「Don Karlos」では父親のハンスと共演し、4時間半という 長丁場の舞台内容と共に話題になったようだ。2004年10月末には初のTV作品としてベルリンを舞台とした ”生中継ドラマ”にも出演した。身長178cm、髪はブラウン、瞳はブルーグリーン、趣味はギター。

私が初めて気にとめたのはサスペンス映画「タトゥー」を見たとき。”地”でやっているのか?と思わせる 力みの無さにもかかわらず、たった独りで台詞が無い場面でも画面から目が離せない存在感に驚いた。はっきり 言ってルックスは好みではないものの(やや南方系が好み!)、気になり始めると気になってしまう ルックスでもある。こうなるともっと観たい&もっと知りたいという欲求が止まらなくなり、映像探し&記事探しの 旅に・・・。

いくつかの出演作を観れば、”地”ではなくしっかりと演技をしていることは一目瞭然で、 かなり鍛えられている役者さんであることがわかる。一番良いのは呼吸と視線も過不足なく演技している点で、 だからこそ動きや台詞がない場面でも求心力が落ちないのだと思う。この点を徹底せずにテンションが緩んだり、 逆にやり過ぎてしまう俳優やそれを許してしまう監督は意外と多いものだ。

インタビュー記事やインタビュー映像によると、撮影前の準備とキャラクター分析にはかなり力を 入れるが、本番では上手くやろうと思わないのが大切なのだそう。俳優という職業に就いたのは父親の影響と はっきりと認めながらも、親離れも含めた精神的な自立には俳優という仕事は最適!と語っているのもおもしろい。 ラブシーンは苦手などと話す様子は映画での印象と同じく淡々としているものの、もっと若い頃はかなりのめり込む タイプだったそうで、知れば知るほど不思議度が増す役者さんのようだ。

”映画を1本撮ったらすぐに舞台に戻りたくなる”らしく、映画と舞台を行き来する活動は今後も変わらないようだ。 なかなか日本でその仕事ぶりを観る機会がないのが残念だが、2005年秋には2003年製作の 「Was Nutzt Die Liebe in Gedanken」が邦題「青い棘」として日本公開された。

 

☆ 2. Next Column? or Next Page?

ちょっと興味を持ってきたぞ〜という方は、続く Photo File と Filmography もご覧下さいね。

そして、もういくつかの出演作は観ている&詳細ネタに興味あり!という方は、別ページを作成しましたので そちらにご案内します。ネタばれも含みますので出演作未見の方はご注意ください。

こちら→ 「August Diehl 応援ページ」 からどうぞ!
 

☆ 3. Photo File

映画出演場面とポートレート画像(計83枚)を集めてフォトアルバムにしてみました。続くFilmographyと併せてご覧ください。 (クレジットは明記していますがやはり画像掲載は問題ありだと思いますので、パスワード制限をかけています。 下記URLからフォトアルバムに入った後に、パスワードとして「august」の6文字を入力してください。)

こちら→ 「August Diehl Photo File」 からどうぞ!(←フォトアルバム・サービス停止により削除されて しまいました。再アップロードする気力と時間を捻出するまでお休みします。)  
 

☆ 4. Filmography (カッコ内は製作年)

*出演映画を製作年度順にリストアップしてみました。実際に観ることができた作品については短い感想も加えて います。新たな情報があれば随時変更・追加していきます。

「23 (トウェンティスリー)」 (1997)
1980年代半ばにドイツで実際に起こった事件をベースにした映画デビュー作。若者らしい思想と 信念に基づいた行動が時代と体制に押し流されていく様を繊細に演じている。短髪の容貌と 麻薬に蝕まれていく演技から”ドイツ版「トレインスポッティング」、ドイツのユアン・マクレガー” という形容もされたようだが、ユアンのどこか明るい力強さとは対照的な儚さが魅力。日本では 劇場未公開だがビデオ発売済み。

「Die Braut」「Entering Reality」「Poppen」「Hilflos」 (1998 & 1999)
「Die Braut」以外は短編映画。1998年製作の「Entering Reality」は12分足らずの短編で、現実の世界と映画の世界と 意識の世界の境界をさまよっているのか、そもそも実際に存在しているのかわからない若者の姿を表現している。視線は 強いのにどこか儚げな雰囲気は「23」と同様。日本未公開。

「Kalt ist der Abendhauch」 (1999)
ベルリンを舞台としたあるカップルの60年間に渡る波瀾万丈ラブストーリー。アウグストはそのカップルの男性の 若き日々を演じている。ラブストーリーとはいっても”不倫”の関係だし、全体の3分の1程度を占める 現代のシーンがコミカルかつシニカルで、なかなか一筋縄にはいかない物語だが、アウグストは、優男でちょっと 頼りなげではあるけれど、不実な関係の中で出来るかぎり誠実でいようとする男性をさらりと演じており、また 別の魅力を発揮している。こういう演技の一面をみると、現代を舞台とした堂々たるラブストーリーもみたくなるなぁ。 日本未公開。

「Der Atemkunstler」 (2000)
1998年の短編映画「Entering Reality」でも組んだ同世代の若手監督作品で 共同で脚本も担当した短編映画。そして父親のハンス・ディールとの共演作でもある。日本未公開。

「Love The Hard Way (ラブ・ザ・ハード・ウェイ 疑惑の男)」 (2000)
エイドリアン・ブロディ主演のアメリカ・ドイツ合作映画。染めた金髪&アイメークにスーツ姿という不思議な いでたちで小悪党仲間のひとりを演じている。特にいてもいなくても内容に影響がなさそうな役柄で出番も僅かだが、 英語の台詞でも問題無さそうだ。日本劇場公開・DVD発売済み。

「Tattoo (タトゥー)」 (2001)
タトゥーコレクターが絡む連続殺人事件を追う新米刑事役をさらっと演じて魅力的。作品全体としては突っ込み どころが満載だが、凝ったカメラワークで巧みに緊張感を高めている。 UK版公式サイトのトレーラー(予告編)は 本編の雰囲気を凝縮していて一見の価値ありだ。日本劇場未公開だがDVD発売済み。

ドイツ版2枚組DVDでメーキング&特典映像をチェック! これは当然作りものだろう?!と思っていたもの(ハッキリ書くと ”死体”です)が、生身の人間に特殊メーキャップを施したものだったり、カメラ移動が人力で全力疾走だったり・・・で、意外な ものに労力を割いている様子に驚いた。何気ないシーンでも何度も撮影を繰り返す様子はこの映画に限ったことでは ないが、改めて映画づくりって大変ねぇ〜と思う。本編では”相棒”ぶりを発揮する機会があまりなかった アウグスト・ディールとミンクス役のクリスチャン・リドルが、撮影合間は相棒らしい雰囲気でふさげ合っている様子が 楽しい。また、出演者全員の顔色が悪いことも特徴?!の映画だったが、これは画面を暗く色調加工しているせいで、 加工前の映像では皆さん健康そうな顔色ということがわかったのも特典映像のおかげ。

「Anatomie2 (アナトミー2)」 (2002)
「23」で世話になったキャスティング・ディレクターが担当していることから、チョイ役で出演することになったと 思われるメディカルサスペンス。チョイ役といっても「スクリーム」のドリュー・バリモア的な扱いで、”オープニング から5分で掴みをヨロシク!”という任務を担っているようである?! 日本劇場未公開だがDVD発売済み。

「Birkenau und Rosenfeld / La petite prairie aux bouleaux」 (2002)
アウシュビッツから生還した女性監督の自伝的作品でフランス・ドイツ・ポーランド合作。フランスのベテランスター: アヌーク・エーメ演じる収容キャンプ”生存者(役名ミリアム)”が、思い出しては辛く思い出せないことがまた辛い体験に 自分なりに折り合いをつけようと、開放から約50年を経てキャンプ跡地を訪れるという内容。終始淡々とした展開で派手な 見せ場は全く無いが、美しく静かな映像が逆に”痛み”を映し出している。日本未公開。

アウグストが演じるのはキャンプ跡地を撮影しているドイツ人写真家で、ある理由から一度は拒否されながらもミリアムに同行して 撮影を続けるという役どころ。作品紹介画像ではかなり落ち着いた雰囲気を感じさせたが、映画の中ではまだ”若〜い!” という風貌と身のこなしをみせており、その若さと、過去をしっかりと見つめることで未来を捉えようとするかのような 真っ直ぐな視線に、女性監督の”希望”が託されているかのようだ。

彼のセリフはふたつの英語を除いて全てフランス語によるもの。理解して話せる言葉ではあっても芝居の台詞となると 全く次元が異なるだろうから、ちょっと硬いかな?! という印象だが、それが圧倒的な人間の蛮行の跡地とその被害者を 前にした若者の心境と上手く重なっているようでもある。実際に彼自身にとっても俳優としての仕事以外に考えさせられる ことが多かったようで、撮影に入る前にアウシュビッツを訪れた時の心境を新聞のコラムとして寄せていた。そんな体験が また次の演技にも生かされることだろう。

「Was Nutzt Die Liebe in Gedanken / Love in Thoughts (青い棘)」 (2002)
1927年夏にドイツで起こった事件をベースにした映画。実話ベースの作品が多い人である。( そして本人いわく自ら命を絶つ役も多いのだそう。)若者の愛と友情と死を美しい映像で綴る作品で、 公式サイトのトレーラーとティーザーからも雰囲気を感じることができる。 2005年秋に首都圏より日本公開開始。

ドイツ版DVDでチェック。 観る前は、自分にとっては苦手の部類に入る映画で、観ているうちにちょっと気恥ずかしく なちゃうのでは?!と予想していたのだが、それこそ”先入観”というものだ〜を実感。日本公開が予定されているので 詳しい内容の説明は控えるが、筋書きや台詞よりも役者の表情と画面に漂う情感で進んでいく映画で、1時間半という適度な 時間内でしっかりと作られていると言える。

アウグスト・ディールが演じるのは裕福なお坊ちゃんであるギュンター。若気の至りで周りを巻き込んで暴走しちゃう 困った役なんだろうな?! と思っていたら、これも誤った先入観で、エキセントリックではあるけれども柔らかく 優しい雰囲気も併せ持つ若者が、妥協を許さぬ繊細な神経を持て余している様子が痛々しくて、観ていて何とか してあげたくなる(いつもこれだな・・・)。何とかして あげたくなるものだから、ひと粒の涙を流されたりでもしたら、泣かせたのはこいつか?!と殴りかかるダニエル・ ブリュール演じる親友パウルの気持ちもよ〜くわかるというものだ。

他にもいろいろ書きたいポイント満載だけど、字幕なしのドイツ語版で観ただけでは頼りないので、日本語字幕で 観られるまでお預けにしておこう。

「Haider lebt 1.April 2021」 (2002)
低予算のため俳優たちは全てノーギャラで出演したという未来風刺コメディ。舞台俳優兼監督のペーター・カーンによる 自国オーストリア政策に対する批判もこめられているようだ。日本未公開。

「Lichter」 (2002)
ドイツとポーランド国境の町フランクフルト・アン・デア・オーダーを舞台とした群像劇で、「23」のハンス・ クリスティアン・シュミット監督作品でもある( 公式サイト)。5つのエピソードが交互に描き出されていくが、各エピソードがクロスオーバーする ことはなく、それぞれの物語として淡々と進んでいく。手持ちのカメラで撮影された映像はまるでドキュメンタリー 映画のよう。日本未公開。

アウグストが演じるのは若手建築家。ポーランドにビル建設を企画しているグループの一員として現場を 訪れ、通訳を務めるポーランド人の元彼女と再会するが・・・という役どころ。5つのエピソードに共通するのが ”ほろ苦さ”だとしたら、この建築家が経験するほろ苦さが一番身近に感じられるんじゃないかな・・・。

「Der neunte Tag(9日目)」 (2003)
ナチスが権力をはびこらせていた時代の実話ベースのフォルカー・シュレンドルフ 監督作( 公式サイト)。ルクセンブルグの強制収容所から”一時的に”開放されたひとりの神父に、ナチスに協力するように ルクセンブルグ司祭を説得せよとコンタクトしてくるのがアウグスト演じるゲシュタポの将校。単にナチスの権力と 圧力だけを利用せず、自らも入隊前は神父を目指したほどの知識と弁論術で迫る姿には、 知的な落ち着きと冷たい迫力を感じさせるが、神父に心の葛藤を強いている将校自身にも人知れぬ迷いがあり・・・

・・・と書いてはいるものの、字幕なしのドイツ版DVD鑑賞のみでは、神父と将校の論争内容がほとんど理解 できず苦しい。「ドイツ映画祭2005」での上映で日本語字幕版も製作されたことだし、日本公開を願う!

「Mouth to Mouth」 (2004)
カナダ出身の女性監督によるイギリス・ドイツ合作ですでに完成済み。いわゆる不良少女が仲間と共にキャンピングカーで ヨーロッパ中を移動していく・・・というロードムービーのようだが、ストリートダンスム−ビーという表現もある。 いずれにしてもインディペンデント中のインディペンデント映画に違いないので、まずは無事公開されますように。

「Feuer in der Nacht (Fire in the Night)」(TV) (2004)
2004年10月25日にZDFで放送されたベルリンを舞台とした”生中継”テレビ映画。仕事にまつわるストレスに苛まれた警官が 妻に別れを切り出されたことをきっかけにベルリンの瀟洒な自宅に妻と10代の娘を監禁する場面と、ベルリン中心街のビルの 一角にある”電話相談室”の場面が、最大4分割画面で同時進行する。コマーシャル中断無しの95分間のLiveドラマの舞台は セットだけに留まらず、生中継には困難と思われるベルリンの街中を移動する場面も含んでいたが、インターネット配信画面上で 観る限りは全くミス無しでまとまっていた。さすがドイツ人!

アウグストが演じるのはその日が初仕事の新米(またもや!)電話相談員で、初日から遅刻で息を切らせながら仕事を始め、 ベテランらしい女性から指導を受けながら相談をこなしていくうちに、父親の様子がおかしいという女の子の電話がどうしても 気になり、外出してタクシーを拾い、トルコ人女性ドライバーに からかわれながらも問題の家を発見するのだが、中の様子を確認するうちに父親に発見されてしまい、あえなく 一緒に監禁されることになる・・・という役どころ。

劇中では唯一ふたつの現場間を移動する役柄であり、慣れない仕事ながら熱心に取り組む若者という役柄でもあり、どうしても 膠着した雰囲気になりがちなストーリーの中で一服の清涼剤となっていた。ポートレートでは歳相応の雰囲気の持ち主だが、 ”動き”が加わると途端に”若〜い!”というイメージに変わるのがおもしろい。今の年代のうちに一杯映画を撮って おいてくれないかな・・・。

「Wattlaufer」(2004) 短編
2004年4月に撮影された20分の短編映画(参考ページ)。監督のデニス・ヤコブセンはアウグストが出演した1999年の短編「Hilflos」で音響 を担当していたようだ。ジャンルは”サイコスリラー”となっている。

それにしてもよく”演劇”してますねぇ〜 短編のほかにもラジオ劇や演劇学校のワークショップや朗読劇でもよく名前を みかけます。仕事兼趣味なのでしょうね、きっと。この短編も、制作費12,500ユーロということは多分ギャラはほとんど 出ていないのでは?!

「Kabale und Liebe」(TV)(2005)
2005年はドイツの詩人・劇作家フリードリッヒ・シラーの没後200年ということで、シラー関連の舞台・ドラマ・ イベントが目立っており、アウグストも舞台(Don Karlos)やCD Bookや朗読会などの仕事が続いている。このTVドラマ もその一環。レアンデル・ハウスマン監督により4月中旬から5月末まで撮影が行われ、ZDF他で10月に放送された。

ZDFサイト(http://www.zdf.de/)に完成試写会とドラマの一部がみられるビデオがアップされています。直リンクすると 障害がでるようなので、興味がある方はZDFトップページで検索して(=検索欄「suche」に”Kabale und Liebe”と入力して 実行)、Multimediaの9/13付けのビデオをクリックしてください。

「Slumming」 (2005)
ミハエル・グラヴォガー監督&脚本によるオーストリア/スイス合作映画で2006年ベルリン映画祭コンペ作品。 公式サイトには英語版もありトレーラーも観ることが できます。

カルマンはアル中の路上詩人、ピアは孤独な 小学校教師、セバスティアンは面白半分に他人の生活をかき回すのが好きな若者。ある日セバスティアンは路上で 泥酔しているカルマンを車に乗せ、国境を越えてチェコに入り、駅前にカルマンを置き去りにした後、インターネットの チャットルームで知り合ったピアと遊びのつもりでデートする。翌朝、見慣れぬ街に理解できない言葉という世界で 目覚めたカルマンは混乱する。こうして、甘やかされた若者が何気なく起こした行動によって3人の登場人物の 人生が変貌していく・・・というストーリーで、アウグストが演じるのはセバスティアン。

「Ich bin die andere」(2005)
マルガレート・フォン・トロッタス監督作で2006年10月にドイツ公開予定。製作会社の サイトに2分弱のトレーラー がアップされました。なんだかピリピリとテンションが高そうな雰囲気。「タトゥー」のような謎の女に 巻き込まれ系のお話なのでしょうかね??

「Der Falscher」(2006)
キャストは地味目ながら実力者ぞろいで楽しみな作品だ。アウグストが演じるのは強制収容所に収容される若者役で、 まっすぐな役どころらしい。

「Nichts als Gespenster」(2006)

「Freischwimmer」(2006)

「Kukas Empfehlungen」(2006)


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