まだ30代になったばかりの若手写真家がガンで余命わずかと宣告されてからの姿が描かれており、お子様にはみせられない場面もあるけれど、総じて抑制が効いたとても静かな映像作家の作品だ。”自然に還る”を示唆するようなラストシーンには、ひとりぼっちにもかかわらず孤独や寂しさを感じさせない包み込むような穏やかさがあり、願わくば”自分の時”もそんな心境に達したいものだと思う。
主演のメルビル・プポーは、作風と同じく力みを感じさせない渾身の演技で大きな進歩をみせているけれど、何と言っても、出番は僅かながら祖母役のジャンヌ・モローの静かな迫力に引き込まれる。自分をさらけ出す強さを持たねばやっていけない女優という仕事を長年やり遂げてきた人間が発するエネルギーとは凄いものだ。
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