Gustavo "Guga" Kuerten/ぐがのみち
2001 Vol-1
2回戦進出が最高記録のオーストラリアン・オープンは、今季もやっぱり
2回戦止まり。徐々に調子を上げてくれれば文句はないけど。
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オーストラリアン・オープン Jan15〜Jan28
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1回戦のガウディオ戦は、7−5・6−7(6-8)・6−3・7−5と少々苦戦しながらも無事突破。
約40日ぶりの試合だし、それがグランドスラムの1回戦だし、相手のガウディオはいい選手だし、
苦戦も予想していたし、ここは結果を良しとしよう。
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試合後の記者会見では、あいかわらず時差の問題を挙げている。メルボルン入りしてもう1週間に
なるんだし、そろそろ時差ボケから抜けてもいいじゃないかと思うが、意外と神経質なのかも。
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その時差もあって、何回かはナイトセッションでやりたいそうだ。”コンタクトレンズにも
慣れてきたし、夜の試合でも大丈夫”−−−ということは、一応コンタクトも持っているわけか。
(あまりあてにならない記事によると、視力は0.5と0.75らしい。)
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17日(水)は同僚のアントニオ・プリエトと組むダブルスの1回戦。こちらの相手は、イヴァン・
リュビチッチ(クロアチア)/ジャック・ウェイト(USA)組。
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ダブルス1回戦は、残念ながら7−6(7-4)・6−7(6-8)・3−6で敗退。デ杯へ向けての
チェックも兼ねたダブルス参戦だったと思うのだが、モロッコとのデ杯1回戦では、どの
ペアで臨むのだろうか。
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18日(木)の対グレッグ・ルゼドスキー(イギリス)戦は、お望みどおりのナイトセッション...
ということは、デジタルwowowになるわけかあ...。チューナーがもうちょっと安くなって
くれたらねえ...。
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この1週間は、自分の仕事が怒涛の展開で、応援に気が回らないうちに負けちゃった(2回戦の
スコアは6−4・4−6・3−6・6−2・7−9)。こちらの気合いの程度なんて、試合の結果には
何も関係ないけれど、ちょっと反省。
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これでまたもや2回戦止まりとなったわけだが、昨シーズンの最終戦を優勝で飾って、しばらく敗戦の
味とは無縁の日々だっただけに、今回の悔しさが良い方向に作用するといいなあ。
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サフィンが勝ち進んだことで、エントリーシステム上でもNo1を明け渡すことになる。昨季の出足しが
最悪だっただけに、序盤のポイント防衛は楽だと思っていたのだが、思いおこせば昨季のスタートの
悪さではサフィンの方が上(?)なのであった。そのふたりが、シーズン終盤ではNo1を争そったのだから、
長いシーズンには何が起こるかわからない。
本番間近
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14日(日)は、予定どおりチャリティ・マッチに出場。プレシーズンの合宿仲間である
(サーフィンも一緒にやったらしい)ハレル・レビィーと共に1セットマッチをプレーしたが、
線審(女性)も巻き込んでの楽しいゲームとなったようだ。
到着!
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7日(日)夜に、見送りのファンの女のコたちにきゃーきゃーいわれながら、フロリアノポリス
を出発。ブエノスアイレス、オークランドを経由して、9日(火)にようやくメルボルン着。
いつものことながら、お疲れさま〜。
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昨年は”眠らないことだけに専念!”していたが、今回は到着早々にコートへ向かい、一緒に
メルボルン入りしたアンドレ・サと2時間ほどの練習。その後はジムで汗を流し、最後は
プールでリラックスという”合宿メニュー”をこなしたらしい。
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パソスさんの分析によると、メルボルンのコートサーフェスが変わっているという。「昨年はかなり
速かったが、その代わりボールがよく弾んだ。今年は昨年と比べるとコートは遅めだよ。今回使用
されるボールがこのサーフェスでどう飛んでいくか、日曜までに感触をつかんでおく必要がある。」
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10日(水)も練習!練習!だが、コート周りの気温は40度に達しているそうだ。それでも、
「カンボリュー(合宿を行ったパソスさんのアカデミーがある町)みたいだね。」と気にもしていない
様子だ。
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オーストラリアン・オープン開幕まで、ひたすら練習&調整の予定だが、前日(14日)に行われる
チャリティ・マッチへの参加がきまったらしい。これは、元トッププロのポール・マクナミーが
中心となって低所得層の子供たちのための基金を集めるもので、すでにこの活動は17年も続いて
いるそうだ。一緒に参加するのは、ロッド・レーバー、マクナミー&マクナマラ(懐かしや)、
ジョン・フィッツジェラルド、ウォーリー・マスー、
そしてレイトン・ヒューイット。
合宿ミニ情報
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フロリアノポリスで家族みずいらずのクリスマスを過ごした後、再びパソスさんのアカデミーで
トレーニング中。パソスさんの方針で、コート周りにベンチ類は一切なく、トレーニング中は
待ち時間であっても座ることはできず、もちろん携帯電話などもってのほか。これを破った選手には
腕立て伏せの罰が下されるそうだ。まさに”合宿!”という感じだな。
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7日(日)のオーストラリアへの出発が近づき、トレーニングもより
実戦的なものに。そして練習コートもこれまでのクレーコートから、ハードコートへ切り替えて
いくようだ。もうすでに公式戦を戦っているライバルもいるなかで、ブラジルのマスコミから
”バカンスあけ症候群”なんて名づけられてしまった年初の出足の悪さを、今季こそ払拭できるか?
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パソスさんも合宿については大満足の様子。そのパソスさんによると、前哨戦なしでオーストラリアン・
オープンに臨むのは、今季の”戦略”なのだそうだ。「まずリラックスして、早めに移動して、大会
が行われるコートで1週間練習する。」「それに、昨年は長いシーズンだったから、グガが1週間でも
長く家で過ごすことが大切だったんだ。」
温故知新
さらに前へ進むために、これまでの軌跡をふりかえるのも一考。そして、新しい世紀の新しい
シーズンを前にした
今というのも良いタイミング...というわけで、過去4シーズンをざ〜っとレビュー。
2000シーズン・個人的反省
1999シーズン・”
Best Moment of the Year involving a mid-match netpost trespass ”
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'98年のプレーオフから新体制となり心機一転を図るブラジル・デ杯チームは、シーズン開始前に合宿
を実施。これが「とても効果的」(グガ談)で、前年はホームで破れたスペインに対し、敵地での
雪辱に成功。特に、それまでコレチャ、コスタらに対してとことん分が悪かったグガに
とっては、大きなBreak throughで、その後のモンテカルロ&ローマのSuper9連続優勝に繋がった。
(それでも、モンテカルロ優勝翌週のミュンヘンでは1回戦負けを喫するなど、安定感に欠ける
のは変わらず...。)
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失望のローランギャロス・ベスト8に対し、試合中におどける余裕(?)もありのベスト8だったのが、
ウィンブルドンとUSオープン。この項の見出しとなっている”Best Moment of the Year
...”は、CNN/スポーツイラストレイティッド誌サイトの
'99Baggie Awards(レギュラーコラムニスト選出のなんでも賞みたいなもの)でグガが
貰った賞(?)。訳するなら”最高のコート侵犯賞”とでもいうのかな。これはもちろん、USオープン
準々決勝・ピオリーン戦の一場面。(ちなみに”最悪のコート侵犯賞”はローランギャロスの
女子決勝。)
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デ杯で勢いづいた'99年シーズンだが、同時にデ杯で憔悴したシーズンでもあった。強敵スペインを
下して迎えた2回戦は、こちらも強豪のフランスが相手。しかもコート選択権を持つホームの
フランスは、真夏のインドア・カーペットの舞台を準備していた。−−−
緊張の為食事もままならなかったという状態で迎えた
初日のセバスチャン・
グロージャン戦は、終始痙攣に悩まされながらも4時間42分の戦いの末、貴重な勝ち星を挙げたが、
後が続かず、そこまで。しかも、このデ杯における疲労は心身ともに後を引き、”一時的燃え尽き
症候群”なんて書かれる事態となったが、最初から”一時的”と書かれていたところが、立ち直りの
早さを見透かされていたことを物語る?!
1998シーズン・”Kuerten eyeballs his
problem”
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'98年の前半は、なかなか辛い時期ではなかっただろうか。まず、自国開催となったデ杯1回戦は
スペインに敗退。ホームコートとはいえ当時はスペイン勢には分が悪かったので、結果そのもの
は仕方がない部分もあったが、チーム内のゴタゴタが尾を引き、結局、”クエルテンとメリジェニが
キャプテン・クレト氏の辞任を要求”という形になってしまったのは、本意ではなかっただろう。
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シーズン当初から”2回戦病(2回戦敗退)”が続き、なかなか調子に乗れなかったが、得意の
クレーシーズンに入っても5分の勝率は変わらず、じれったい時期が続く。しかし、この2回戦
敗退というのは、初戦は突破していることを意味しているわけで、ランキング上はとても
重要なのだ。調子が悪くても初戦敗退さえ免れていれば、ランキングの急落は免れる。そうしている
うちに明るい陽ざしも射そうというものだ。
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そんな状態で迎えたローランギャロス。きっと本人も連覇の自信は全くなかったと思うが、ここでも
2回戦敗退。そして、その相手がマラト・サフィン。この初顔合わせの敗戦は高くついたし、
その後も散々痛い目にあってしまったが、こんな早い時期に年下のライバルが登場したのは、
考え様によっては、とても恵まれていると思う。基本的にはのんびり屋さんだと思われるだけに、
あまりの〜んびりとならないように、勝負の神様が次々と課題を用意しているのではないかな?
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ローランギャロスのもうひとつの話題は、ダブルス失格事件(対ラフター/ビョルクマン戦で、
何度がラインコールに関して主審と揉めた後、タイブレーク時の判定で再び揉め、本人いわく
ベンチに向かって投げつけたラケットが主審の方向へ飛んでしまい、即、失格)。
言葉ではプレッシャーやストレスを
否定しても、やはり、フラストレーションが溜まっていたんだろうなあと思わせる事件だったが、
個人的には事件後の”声明文”が興味をひいた。凄腕エージェントがついたアメリカあたりの
スーパースター候補ならば、きっと非の打ちどころがない文章を用意するところだが、なんだか
自分で書いたの?!と思わせる”手作り感”のある内容で、すごくいいんじゃないかと思ったものの、
こういうスタンスで今後も大丈夫なのかと、ちょっと心配になった代物でもあった。
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全体的には不振のシーズンと書かれてしまう'98年シーズンだが、だからこそ重要な年だったの
だと思う。最後に...この項の見出しとなっている”Kuerten eyeballs his problem”だが、
これは、年も押し迫った頃に発信された某通信社のニュースタイトル。なんぞや?と
ドキドキさせられたタイトルだが、健康診断(?)の結果、彼は近視&乱視であることが判明し、
ミスヒットが多い原因もそこにあるのか?という内容。な〜んだと思いつつも、スポーツ選手に
とっては重要な問題である。きちんと対処するというパソスさんのコメントも載っていたが、
その後の様子をみていると、コート外では眼鏡姿がみられるものの、ゲーム中は外しているし、
コンタクトを使用している感じでもないなあ。
1997シーズン・なんてったってRoland Garros(
の表彰台)!
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その後の展開はご存知のとおりで、いきなりのグランドスラムタイトル獲得となるのだが、それ
だけで即ファンになるほど、私は結果主義ではない。”お気に入りリスト”のトップに躍り出る決め手と
なったのは、ローランギャロス表彰式の態度と表情。特に、準優勝のブルゲラから「今日の決勝
でのプレーは素晴らしく...」と祝福を受けた時の、”テヘッ”という感じのテレ笑いにはコロッと
きてしまった。この私もテレ屋なので、”スポーツ選手を好きになる最大要因はそのプレーぶり”と
いう態度は崩さないのだが、実のところ、こういう笑顔の瞬間芸(?)には弱いのだ。多分、とっさの
表情というのは、その字のごとく、隠しようのない内面や人格が表れるものだからだろう。特に
”Golden Smile”や”Billion Dollor Smile”と形容されるグガの笑顔は強力だからなあ。
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グランドスラムに勝ったからといって順風満帆といかないのが、男子ツアーの厳しさでありおもしろさ
である。急カーブの上昇で頭角を現しても、すぐに長い停滞期に入るのが常なのだが、最初の上昇期
で出来る限り上まで登っておくことが、その後の第2の上昇期にモノを言う。そういった意味では、
'97年のローランギャロス優勝という結果は、未来のチャンピョンへのパスポートだった。そして
その結果だけでなく、これみよがしでない自然なガッツポーズや勝ちどき、対戦相手への敬意を
感じさせる態度は、尊敬される王者となるために必要な資質を表していたように思う。
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