Gustavo "Guga" Kuerten/ぐがのみち
2001 Vol-5
Vol-5はマスターズシリーズ・ローマとハンブルグ。そしていよいよ
ローランギャロス開幕間近。
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マスターズシリーズ・ハンブルグ
May14〜May20
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2週連続のマスターズシリーズ。1回戦の相手は長身のマックス・ミルニィー(ベラルーシ)。
初戦としてはかなり怖い相手である。
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これで、ローランギャロス前哨戦のマスターズシリーズ3戦は、優勝、準優勝、1回戦敗退で
終了。トータルでみれば昨年と同じだが、上昇していった昨年とは逆パターン。それだけに
ローランギャロスへ向けての手応えは、「今のところはいい感じではない。」−−−しかしながら、敗退が
決まった以上、このインターバルを上手く活かしていかねばならない。それは本人も承知している
ことだろう。
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ちょっとおもしろかったのが、ミルニィーのコメント。「クエルテンを相手に、最終セットの
3−3や4−4の状態になっているとしたら、それは自分の戦術が正しいということだ。」
−−−なるほどね。勝ち味が速くなり、快勝する試合が多くなるほど、逆に接戦になった時には
相手が自信を持つこともあり得るわけか...。
マスターズシリーズ・ローマ
May7〜May13
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1回戦の相手は、予選を勝ちあがったイヴァン・リュビチッチ(クロアチア)。昨年のシドニー・オリンピックで
勝っているが、このところ安定した成績を挙げているので要注意である。それにしても、予選通過
メンバーの豪華なことよ。
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モンテカルロで自身の13勝目(チャレンジャーは除く)を挙げたグガだが、北米で1勝(
インディアナポリス)、中南米で
3勝(サンチャゴ、ブエノスアイレス、アカプルコ)、残り9勝がヨーロッパ...ということで、
これからはヨーロッパにおける10勝目を目指すことになるそうだ。そんな風に色々とカテゴリー
分けしたら、いくらでも記念碑的勝利ができあがりそうだが、お祝いの理由はいくらあっても
いいかもね。
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”記念碑的勝利”といえば、モンテカルロ優勝は、単複合計のキャリア400勝目だったそうだ。
こちらはチャレンジャーも含まれていて、シングルス283勝にダブルス117勝。(意外や
統計好きのブラジル・マスコミ...)
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対リュビチッチ戦は、6−7(4-7)・7−5・6−4という冷や汗もののスコアで勝ちぬき、
2回戦へ。私も睡眠時間を削られてしまった。「最後の方は、ゲームを重ねるごとに良くなった。」
と語るが、毎回1〜2回戦は心臓に悪いな。
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1回戦の前夜(7日)には、メリジェニと共に、ASローマで活躍中のブラジル選手・カフー、
アウダイール、アントニオカルロスと夕食を楽しんだらしいが、この日もカフーとアウダイールが
応援に来てくれたそうだ。「今日の僕のゲームはローマのゲームみたいだったね。拮抗していて、
エキサイティングで、最後は自分が望むものを勝ち取る...って具合に。」
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2回戦の相手は、マイケル・チャン(USA)。「チャンを相手にするのは、いつだって大変だ。大試合
の戦い方を心得ているし、とても俊敏だし。」と警戒するが、「前向きに考えて、しっかりと集中して
コートに入るよ。そして、今日のゲームよりもレベルを上げて臨む。」
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2回戦の対チャン戦は、6−1・6−1という意外な快勝スコアで決めた。英語記事では、
”危なげなく勝った”という事を、少ない字数で且つ婉曲的に表現するために、動詞に
工夫をこらすのだが、今回は、
”cruised””marched””rolled”等のお馴染みの動詞群の他に、” waltzed through”という
新手も登場した。ワルツという身のこなしじゃないと思うけど...。
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この日は、ハビエル・ビカリオ・サンチェス氏(アランチャの兄、エミリオの弟)から、昨年の
マスターズカップ・リスボンの舞台となったハードコートの”かけら”を、フレーム付きで
プレゼントされたそうだ。「あのリスボンの思い出となるものを、グガが欲しがっていると
思ってね。」と語るのは、現在、(リスボンの会場も請け負った)テニスコート敷設工事会社の社長を
務めるサンチェス氏。”甲子園の土”というのは日本的なものだと思っていたが、
同じような感覚があるんだな。
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3回戦の相手は、隣国アルゼンチンのフランコ・スクーラリー。よく当たりそうで実は当たっていない
選手のひとりで、公式対戦成績は0勝1敗(昨秋の”対抗戦”では勝っている)。
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10日(木)に予定されていた3回戦・対スクーラリー戦は雨で順延。翌日の11日(金)
11時より始まった試合は、6−1・6−2で勝ち、準々決勝進出を決めた。快調に飛ばした第1
セットに対し、第2セットではサービスキープに苦労したが、しっかり死守したのはさすが。
(偶然にも今回のスコアは、'96年のキッツビェルで負けた時の逆スコアである。
見事なお返し。)
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準々決勝の相手は、ちょうど1年ぶりの対戦となるアレックス・コレチャ(スペイン)。有力選手の
早期敗退が相次いだ今大会だが、グガのヤマにはシード選手がしっかり残っているではないか。
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1回戦でサンプラスを破るなどの活躍でベスト8まで進出したハレル・レヴィー(イスラエル)。
あまり得意ではないといわれていたクレーコートだが、”クエルテンと練習してるんだから、
(クレーでの好成績も)ビックリすることではない”とキッパリ。「彼のプレーを観ているだけでも
色々と学べるんだから、一緒に練習したら一層勉強になる。」と語るが、練習試合でも、まだ
勝ったことはないそうだ。
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雨がちの天気でスケジュールが押しているローマ。結果をチェックしていても、”XXが勝ったのか
〜”と感心していると、数時間後には次の試合で負けていたりして、勝利を味わう暇もなく、何だか
気の毒。64フルドローのアウトドアーの大会を1週間でこなすのは、やはり大変である。
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11日(金)”夜の部”の準々決勝対コレチャ戦は、6−2・6−3でしっかりと勝ち、準決勝へ
進出。次の相手は、レヴィーを下したアンドレアス・ヴィンシゲラ(スウェーデン)。昨年の
ローランギャロス1回戦での圧勝が印象的だったが、今回はいかに?。もう一方の準決勝は、
絶好調のホワン・カルロス・フェレーロ(スペイン)と復調のニコラス・ラペンティ(エクアドル)
の”王子対決”。
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ブラジルのニュース系サイトの情報アップの早さには定評があるのだが、試合終了3分後に
フルレポートを上げてくる素早さには、感心を通りこしてあきれてしまう。3回戦のスクーラリー
戦などは、ブラジル時間では早朝だったのに...。
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これでローマでは3年連続の決勝進出。「ここでは自信を持って臨むことができる。1年前との
違いは、プレッシャーや期待と上手く折り合いをつけてゲームを勝ちとってきたことで、
もっと上手くプレーできるようになったこと。」と士気は高いが、決勝の相手となるフェレーロに
対する評価も高いだけに、日曜の決勝では気を引き締めて臨むだろう。
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準決勝の後には、規定の記者会見をこなし、その後もTV媒体の取材を受けていたが、かなり
長時間拘束されてしまったらしく、怒ったパソスさんが連れ去ってしまったそうだ。「もういいか
げん十分だろう!」と、かなりご立腹だったらしいが、前日は
クレーコートで
1日2試合という大仕事だったし、故障箇所のケアをしなければならないし...で、パソスさんも
相当に気がかりだったのだろう。
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今大会の1回戦では、モンテカルロから伸ばし続けているという感じのヒゲ面だったが、苦戦して
しまったせいか、その後はしっかりとシェービングしているようだ。新たなゲン担ぎなのかな?
一方、かなり伸びてきた髪は、そろそろ”鉢巻き”が必要な長さとなってきたが、鉢巻きなしで勝ち続けて
いるだけに、復活させるタイミングが難しいのか、準決勝では試合中に邪魔になった前髪を自分で
切るという荒業。”ハサミ貸して!”で呼び出されるトレーナーさんも迷惑なハナシだなぁ。
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GAORAでは放送してくれなかった表彰式(デジタルwowowでは映してくれたのかな?)では、
例年どおりの愛想良さを発揮していた様子。決勝日は”母の日”だったこともあり、準優勝杯は
「世界中のお母さんたちに捧げる。」そうだ。こうやって、お母さん世代の支持率がアップして
いくのだな。
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今季のモンテカルロ〜ローマでは、昨年にも増して仕掛けの早いプレーぶりにちょっとビックリ
したのだが、もともとパワーヒッターではなく、タイミングを上手く利用してひっぱたく
タイプだけに、ミスなく打ち続けていくには、相当な集中力が必要だろう。そして、それを
5セットマッチで展開するのは、クエルテンにとっても新たな領域だ。いったいどれだけの
エネルギーを必要とするものなのか。
思えば、彼の'97年のローランギャロス優勝が、当時の若手選手達に与えたインスピレーション
は決して小さくなかったと思う。あのプレー、あのスタイルで、2週間・7試合のベストオブ5
セットマッチを勝ちぬき、グランドスラムタイトルを獲ることができたのだ。その事実は大きい。
そして、インスパイアーされた選手達のプレーは、さらに速く、さらに力強くなって、立ち向かって
くる。それに対抗するには、また自分のプレーを”進化”させていかねばならない。そして、それは
周りをも進化させることである。自分がレベルを上げれば、それに応えてさらにレベルを上げる者
がいる。まさに”切磋琢磨”の極み。
ひとつの勝利、ひとつの敗戦。それも確かに大きいが、最も重要なのは、常に現状打破を図ること。
現状に甘んじれば一気に置き去りにされる。それを考えると、単に観戦する立場であっても、
身が引き締まる思いだ。
Guga Torna A Roma
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例年カレンダー通りのお休みと決まっていたGWだが、会社がいきなり大型連休を実施することと
なり、こちらもいきなり旅のプランニング。GWの後半を伸ばしてくれれば、マスターズ・ローマ
観戦!といきたかったのだが、贅沢は言えまい。今回はダービーで我慢(?!)しよう...というわけで、
4月29日(日)のローマダービー(ローマ対ラツィオ)目指して、グガより一足先にローマ入り。
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もともとテニスにはあまり関心を払わないイタリアのスポーツ紙。F1のスペインGP、サッカーは
ローマダービー等の重要な試合が目白押しで、なおさらテニスの出る幕はないのだが、バルセロナで
イタリアのフェデリコ・ルッツィがベスト8に勝ち進み、ガゼッタ・デッロ・スポルトでも
珍しく写真付きで紹介されていた。実は、グガが欠場しなければ2回戦で顔を合わせていたはず
なのだが、そんな”幸運”も時には必要である。なかなか甘いルックスの持ち主でもあり、
良い結果が伴ってくれば人気も出そうだな。
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グガがコラムを持っている「TENNIS ITALIANO」誌・5月号では(今読むとちょっと辛いものが
あるのだが)、デ杯への思いがつづられていた。そのコラムによると、ブラジルのジュニア選手は、
サンシャイン・カップやパン・アメリカ大会で初の海外試合に臨むケースが多く、始めから
チームの一員として戦うスピリットが息づいているのだそうだ。まあ、オリンピックと
違って毎年チャンスはあるだけに、来年頑張っておくれ。
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Diadoraとのスポンサー絡みでグガのページがあるのはわかるのだが、実は、サフィンのコラムも
あったりする。こちらは、ゲガ絡みで、”ATPはプレーヤーのことを考えてくれない!”と現行の
出場義務に関する問題を挙げている。グガ同様に、前年優勝のバルセロナも欠場となった
サフィンだが、慌てずじっくりと治すべし。
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グガのケガは、ほとんど慢性化した痛みであり、短期間で完治することは期待できないが、
バルセロナ欠場の後ブラジルへ戻り、1日平均4時間のケアを行った結果、どうにか痛みは
和らいだ様子。「今はいい感じだし、痛みも感じない。」と語るが、疲れがたまれば再び
痛くなっちゃうんだよねぇ...。
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3日(木)にはローマ入り(そして私はローマにさよなら!)。'98年は準決勝進出、'99年は
優勝、昨年は決勝進出と、ゲンの良い大会だが、
「素敵な事が起こったところに戻ってくるのは、いつだってスペシャルなこと。」と語るとおり、
本人もお気に入りであることは間違いない。
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'99年優勝時の会場でのインタビューでは、「”Re di Roma(=ローマの王)”になりまし
たね。」という語りかけに対し、「いやぁ、まだ”Principe(=王子)”ってとこですね。」と
お茶目な答えを返していたが、次に優勝した時にはどう返答するのかな?今回、聞くことができる
かな?
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ドロー発表...だが、初戦は予選通過選手とあたることになり、対戦相手は不明。もしかしたら、
同僚のメリジェニと当たってしまう可能性もあり。
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