馬見原の火伏地蔵祭

熊本県山都町の馬見原(旧・熊本県阿蘇郡蘇陽町大字馬見原)へ、平成17年8月28日(日)に出かけました。昨年の新聞で紹介されていたので、毎年開催される「火伏地蔵祭」を一度見学したかったのです。熊本市の自宅から、65km・2時間の距離です。この地蔵祭は、例年8月の第4土日に開催されます。

ここの地蔵祭が一般的な地蔵祭と異なるのは、神輿に地蔵が載ることと、動きがあることです。一般的に神輿に載るのは神様であり、仏様が載ることはありません。また、石造りの地蔵は安置されていて、担いで運ぶことはほとんどありません。

ホテルのようにすばらしい馬見原小学校に車を置き、徒歩で商店街へ向かいました。12時に到着したので、人通りも多くなっていました。子どもが楽しみにする露店も多く、遠方から来た人も多かったようです。特に大きなカメラを肩にかけた人が目立ちました。同好会等の撮影会だったのかもしれません。

右上の写真は、地蔵堂に安置されていた火伏地蔵の六体です。案内の標木には、次のように書かれていました。「町指定文化財 火伏地蔵堂六地蔵  享保3年(1718) 石像高0.78m 同型六軀」
上の段に並んだ六地蔵は、すべて腰の位置で折れていて、修復してありました。ひょっとすると、神輿から落ちて割れたのかもしれません。左手に宝珠、右手に数珠を持っている地蔵です。放牛石仏よりも、数年前に造られたことになります。

祭りは前日から行われるわけですが、やはり主なイベントは日曜日になります。左の写真は、11時からの仮装パレードです。保育園の保護者による仮装行列です。500mほどの商店街を練り歩きます。午後12時半からは、小学校5校による鼓笛パレードになりました。小学校の先生や保護者も後を付いています。よく見たら、なつかしい校長先生がいました。

祭の中心は、何といっても裸みこしです。商店街の中心に地蔵堂があり、高校生20人ほどが担いだみこしがやってきました。堂の前に整列し、お坊さんによる読経がありました。この後みこしは担がれて、地蔵堂の前で何度も回ります。このとき地元の人は、バケツに汲んだ水を一斉に浴びせます。何しろ火災予防の地蔵祭ですから、このようなこともするのでしょう。

さて、みこしはワッショイワッショイの掛け声とともに、町内を練り歩きます。再び私の前にやってきましたので、一緒に付いて行きました。途中でも、盛んに沿道から水がかけられます。いよいよみこしは、馬見原橋の下へ移動しました。馬見原橋は二階建てのような橋で、不思議な造りをしています。すでに数百人の見物人で、橋の上は満員です。

若者に担がれたまま、みこしは五ヶ瀬川の中に運ばれました。ここからが祭のクライマックスで、ワッショイ・ワッショイの掛け声でみこしは持ち上げられ、お地蔵さんを載せたまま川の中に落とされます。この動作が数回でなく、何十回も繰り返されます。しばらくしたら担いで川の中を回りますし、見ている方が疲れます。

今年はカメラマンに対してサービスがよく、ハッピを着たおじさんが、もう一回やろうと気合を入れてました。それが済んだと思ったら、橋の上からもアンコールの声がかかり、再びワッショイワッショイをしていました。担ぎ手もクタクタになったらしく、次第に元気がなくなったようです。

裸みこしを撮影しようと、橋の上からも河原からも盛んにカメラが向けられます。私自身もすばらしい祭に出会い、デジカメで数十回撮影したのです。今まで見てきた地蔵祭はお参りすることが中心でしたが、ここでの祭は躍動感あふれるものでした。初めての体験に感動を覚え、さわやかな気分で馬見原を去りました。

また来年も行きたいと思っています。次はバイクででかけ、矢部町・馬見原・高森・阿蘇の経由で回りたいものです。ところで、この祭の詳細は、蘇陽町商工会のホームページに掲載されています。イベントも工夫されていますし、露店の数も多くて退屈はしません。