永田日出男先生の期待

永田日出男先生は、平成年6年11月1日に「放牛の風景」を発行しておられます。その「あとがき」に次のようなことを書かれておられます。その一部を紹介します。

私は放牛石仏を調べて20数年になるが、いまだに放牛石仏には不分明な点がある。しかし不分明な点があっても私は今年81歳、もうそれを究める体力も気力もない。幸い放牛石仏の会が誕生して後継者も出来た。後継者には私は次のようなことをお願いしておきたい。

先ず、放牛石仏はどんな先入観念も持たずに素直に拝見することである。
石仏が建立された享保時代の細川藩の政治を詳細熟知すること。
石仏一体一体の所見をまとめ、それを基に全体の見解がまとまったら、それをそのまま暫く置いて、次のことを勉強して欲しい。
一、 浄土三部経、特に大無量寿経。
ニ、 延命地蔵経。
三、 歎異抄、教行信証等。

その上で、もう一度、二度、三度放牛石仏を巡見するのである。その場合必ず一番仏から順を追って実見しなければならない。番号順に見ないと放牛の心の変遷、放牛石仏の年代別変化が判らない。このことは厳重に守ってもらいたい。

このように、次に続く人のために研究の方法を示唆しています。そして、放牛石仏の会の皆様が巡見する場合も、建立順に行われてきました。石仏の会はすでに2回巡見をして、休会になりました。私の入会は平成13年9月ですから、ほとんど会の巡見には同行していません。

私の場合の巡見は、建立順でなく捜しやすい地区単位になってしまいました。私自身、反省すべき点もあります。機会があれば建立順に巡見してみたいと思います。