放牛石仏の捜し方

ここに放牛石仏の特徴を、10項目記しました。初めての方は分かりにくい点もありますが、何度か訪問すれば納得していただけると思います。未発見の石仏もありますので、散歩の途中に捜してみませんか。

石仏の形と姿
110体ほどの石仏は、大半が地蔵菩薩です。修行中の僧侶の姿を表していますから、頭は坊主です。地蔵立像と地蔵座像があります。しかし、地蔵以外にも阿弥陀如来・釈迦如来・聖観音・薬師如来などがあります。地蔵の次に多いのが、阿弥陀如来です。

石仏の大きさ
石仏の大きさは、いろいろあります。大きな物は等身大から、座像のような小さな物は50cm程度といろいろです。立像は当然大きくなり、座像は高さも低くなります。全部同じだと思うと見落とします。仏像は小さくても必ず光背があり、また台石に乗っていますから、見た目には大きく見えます。

石仏の文字
確実に放牛石仏であるという判断は、光背に彫られた文字です。「放牛」「他力」「第○○体」「享保○○年」の文字が多いようです。○○の部分は漢数字になり、文字は縦書きです。台石の文字は、「放牛」「講中」などが見受けられます。

石仏の持物
地蔵であれば、宝珠を持っています。桃の形をした仏具です。両手で持っていたり、左手だけで持っています。左手だけで持つ場合、右手に錫杖を持っています。阿弥陀如来の場合、両手で印相を表します。

仏像の台
すべての仏像は、蓮華座になっています。蓮華座とはハスの花を表していて、ハスの花が咲いた形です。地蔵菩薩も阿弥陀如来も、蓮華座の上に造られています。大半の石仏は、仏像と蓮華座が一つの石から彫られています。

石仏の台石
縦長の直方体をしています。縦と横は25〜30cm、高さは40〜50cm程度の大きさです。仏像の大きさに合わせて、横幅が決定されたようです。蓮華座の底辺の横幅と台石の横幅がだいたい一致しています。石仏が造られた時は、すべて台石もあったと思います。しかし、お堂を造ったときに台石を取り除いたり、床の下に入っています。場合によっては、コンクリートで固めてある台石もあります。

石仏の石材
石仏は、熊本産の安山岩が使用されています。この石はどこにでもあり、硬くて灰色をしています。表面は荒いため、加工してもつやがありません。仏像も蓮華座も台石も、ほとんど安山岩です。いくつか例外もあります。久木野村の石仏のように、赤味がかった凝灰岩で造られたものもあります。

石仏の場所
道端にあります。道端といっても新しくできた道にはほとんどありません。江戸時代から使用されている道路です。江戸時代には、大きな四つの街道がありました。この周辺に建立されています。現在、道路の拡張と変更、河川改修などのため石仏も移動しています。近くのお寺に移動したり、一ヶ所のお堂に集められたりしています。また、戦時中の空襲等で壊れたりしているものもいくつかあります。

石仏の印相
両手と両手の指を使って特定の形をあらわすのを、印相といいます。地蔵菩薩に印相はありません。なぜなら何かを持っているからです。阿弥陀如来や釈迦如来の像が、数種類の印相を表しています。阿弥陀如来の場合、下品上生の印相が多いようです。

地蔵の光背
すべてに舟の形をした光背がついています。その光背に「他力○体目」「願主 放牛」などが書かれています。正面から見えますので、捜しやすいです。また、直方体の台石にのっていますが、紛失している場合もあります。

未発見の地蔵
未発見の放牛地蔵の番号を記しました。地蔵の特徴を覚えてください。みんなで捜しましょう。発見した場合、熊本市の文化財課や博物館、あるいは新聞社に報告すれば確認してもらえると思います。歴史に名前が残るかもしれません。
未発見の石仏番号  ⇒   4,11,12,28,37,52,55,61,101,