球磨村・セキソの地蔵

平成15年9月8日(月)に人吉市と球磨村を訪問しました。このとき偶然見かけた地蔵がありましたので、皆様にもご紹介します。このお地蔵さんは放牛地蔵ではありませんが、この地域で大切に守られてきた地蔵です。

球磨村に一勝地という地域があります。国道219号線から橋を渡り、一勝地駅前を通過します。500mほど進んだ所で左折しますが、JR高架の手前にこの地蔵が安置されています。標木がありますから、すぐにわかります。地域では「セキソの地蔵」と呼ばれています。竹の花瓶には新しい花が生けてありました。

高さ40cmほどの座像になっています。両手で宝珠を持っているようですが、その上に蓮華のような物もありました。1813年の建立で、いくつかの願い事がかなうようです。道路のすぐ下は球磨川が流れ、景色がすばらしい場所でした。川の上には舟が浮かび、釣り人が糸を垂れていました。

球磨村教育委員会が立てた標木には、次のような説明書きがありました。原文のまま記載します。

「セキソの地蔵」と呼ばれており、石造りの祠の中に祀られています。祠の前面に「文化十酉(1813)年8月吉日」 「茶屋嘉左衛門」と刻まれています。祭日は旧暦6月21日で、宮園地区の錫木家が祭を営みます。セキソの地蔵は、子どもの熱病、耳の病気を治してくださるそうで、胸当て作って地蔵さんに掛け、おまいりしたあと、胸掛けを帰り、病気の子どもに掛けてやると霊験あらかたといわれています。

どの地蔵にも、それぞれ建立の意味があるようです。建立当時の趣旨は現在とは異なる場合もあるかもしれませんが、地域の方は信じて語り継いでいくことになります。セキソの名前の由来はわかりませんでした。