放牛石仏の特徴・2

第030体B 〜 第053体

第030体Bから第053体までの石仏の大まかな特徴をまとめました。全体の高さは、蓮華座の底辺から光背の頂上までの長さです。仏体の高さは、つま先から頭の上までの長さです。

 

● ● 享保11年(1726) ● ●

第030体B 熊本市二本木3丁目6。田崎陸橋のすぐ東側。旧道に小さな墓地あり。39体もここ。
享保11年(1726)正月24日建立・
地蔵菩薩の座像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さ137cm・仏体の高さ100cm
(文字) 「セキノ」 「六導能化教主」 「願成就」 「放牛」 「三拾体」 「享保十一丙午正月二十四日」 「願主放牛敬立」

第031体  熊本市北迫町。小高い丘の三叉路にある。
享保11年(1726)7月11日建立・地蔵菩薩の立像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さ92cm・仏体の高さ56cm
(文字) 台石に「他力」 「享保十一丙午暦」 「七月十一日」

第032体  熊本市梶尾町。本村屋敷の三叉路。近くには甲佐神社がある。
享保11年(1726)9月14日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ96cm・仏体の高さ62cm
(文字) 台石に「奉造立」 「享保十一丙午天」 「九月十四日」

第033体  熊本市横手5丁目12。井芹川四方池橋を渡り細い路地を進み右奥。石段の側。
享保11年(1726)建立・頭は観音菩薩で首から下は阿弥陀如来の立像・混合仏・上品中生の印相・全体の高さ94cm・仏体の高さ56cm
(文字) 「他力 願主 放牛」 「三十三体」

 

● ● 享保12年(1727) ● ●

第034体  熊本市池亀町7。総合ビジネス専門学校の北、佐藤さん方石垣の角。
享保12年(1727)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ96cm・仏体の高さ57cm
(文字) 「他力 願主 放牛」 「三十四体」

第035体  阿蘇郡久木野村上薄木の林道沿い。久木野派出所から外輪山へ向かう。
享保12年(1727)建立・阿弥陀如来の立像・下品上生の印相・全体の高さ124cm・仏体の高さ81cm
(文字) 「他力 熊本 願主 放牛」 光背の裏に「三十五体目」
(道歌) たてまつる 蓮の上の 露一と掬い 三世の佛に

第036体  鹿本郡植木町向坂バス停から東へ入る。県警機動隊で左折、小原流華道教室の裏。
享保12年(1727)5月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ92cm・仏体の高さ55cm
(文字) 「三十六体目」 「享保十二丁未五月」 「陀力 願主 放牛」 「知西」 台石に「享保十二丁未」 「五月放牛」
(道歌) ゆめの世に またまぼろしの 身がいきて うつゝにかよう 人もまたある
(道歌) じごくのさたも 法がする とかく佛も 心ほどはひからず

第037体  未発見
未発見であるが、享保12年(1727)建立のはずである。

第038体  熊本市横手4丁目21。湧水池の横の地蔵堂わき左側。ぬれ地蔵。
享保12年(1727)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ68cm・仏体の高さ42cm
(文字) 「三十八体目」 「放牛」
(道歌) 三界の 衆生をのせる 放れ牛 地蔵まいりの 人をみちびく

第039体  熊本市二本木3丁目6。田崎陸橋のすぐ東側。旧道に小さな墓地あり。30体Bもここ。
享保12年(1727)9月建立・薬師如来の座像・釈迦の定印・薬師如来と釈迦如来の混合仏・全体の高さ67cm・仏体の高さ40cm
(文字) 「薬師如来」 「願主」 「三十九体目」 「放牛」 「他力梅木村」 「石部丁未年九月」 「草津」 「放牛」

 

● ● 享保13年(1728) ● ●

第040体A 菊池郡泗水町北田島天満宮前の三叉路。県道沿い。
享保13年(1728)2月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ109cm・仏体の高さ60cm
(文字) 「これより」 「みぎわいふ」 「ひだりきの」と道しるべ。 「他力四拾体目」 「享保十三戊申暦」 「熊本 願主 放牛」 「二月吉日」

第040体B 熊本市河内町大多尾。日吉神社の先から登り、薬師堂の右。
享保13年(1728)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ90cm・仏体の高さ49cm
(文字) 「四十体目」 「他力 願主 放牛」

第041体  熊本市河内町岩下。峠の茶屋から直進し、岩下ハイキングコース立札から左へ下る。
享保13年(1728)建立・台石に笠石・仏体なし・道しるべ
(文字) 「是より」 「右 たけ野出道」 「左 いわと道」 「他力四十一体目」 「願主 放牛」
(道歌) かみほとけ おがまぬさきに おやおがめ かみやほとけも うれしかるらん

第042体  戦災で紛失。(段山町井芹川岸)
享保13年(1728)建立・

第043体  熊本市迎町。国道3号線うなぎの田中商店から入り、キヨナガ食料品店前。
享保13年(1728)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ43cm
(文字) 「他力 願主 放牛」 「四拾三体目」

第044体  熊本市清水本町30。電鉄バス万石停留所前。堂のそばに大きな木が生えている。
享保13年(1728)4月日建立・地蔵菩薩の立像・両手で合掌・全体の高さ142cm・仏体の高さ86cm・道しるべ
(文字) 「四十四体目」 「享保十三年四月日」 「他力 願主 放牛」 光背裏に「これより」 「みぎ たかは」 「ひだり きの」
(道歌) 神ほとけ おがまぬさきに おやおがめ おやにましたる 佛世になし
(道歌) 世の中は 火宅とまけど すみやすき つながぬ牛の 身こそやすけれ

第045体  熊本市琴平2丁目1。交叉点の中村薬局から入った地蔵堂にある。
享保13年(1728)5月20日建立・台石と足首のみ
(文字) 文献では 「享保十三戊申天五月廿日」 「四十五体目」 「願主 他力 放牛」とあった。

第046体  戦災で破損。(熊本市新屋敷町金剛院にあった。)
享保13年(1728)建立・

第047体  熊本市黒髪2丁目18。済々黌入り口セブンイレブンの右。三軒町通り。
享保13年(1728)7月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ106cm・仏体の高さ64cm
(文字) 「四十七体目」 「他力 放牛」 「享保十三戊申七月」
(道歌) あればなる なければならぬ すずの玉 むねに六じのなくば となえず

第048体  熊本市春日2丁目2。電車通り熊本ファミリー銀行から東へ入る。坂田さん方の前。
享保13年(1728)建立・阿弥陀如来の座像・上品上生の印相・全体の高さ105cm・仏体の高さ56cm
(文字) 「四拾八 阿弥陀仏」 「享保十三戊申歳」 「願主 他力 放牛」

第049体  菊池郡西合志町鶴羽田。上須屋郵便局から細い路地に入り、右折して直進。
享保13年(1728)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ86cm・仏体の高さ49cm・道しるべ
(文字) 「これより」 「みぎ わいふ」 「四十九」 「ひだり きの」 「他力 放牛」

第050体  菊池郡泗水町南田島。迎幸学園入り口の向かい側。
享保13年(1728)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ68cm・仏体の高さ32cm・穴地蔵
(文字) 「他力」 「熊本」 「五十体」 「放牛」

第051体  菊池郡七城町加恵134。県道57号線沿いの早田さん方のブロック塀の角。
享保13年(1728)9月29日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ90cm・仏体の高さ50cm
(文字) 「五拾一」 「享保十三戊申九月二十九日」 「他力 放牛」
(道歌) 神ほとけ おがまぬ先に 親おがめ かみやほとけも うれしかるらん

第052体  未発見
未発見であるが、享保13年(1728)建立のはずである。

第053体  熊本市琴平本町3。国道3号線沿いの山本釣具店の東側第二駐車場にある。
享保13年(1728)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ104cm・仏体の高さ61cm・道しるべ
(文字) 「これより」 「右 みふね」 「左 こしのお」 「五十三体」 「他力 放牛」

放牛地蔵に関する資料は、郷土史サークル・「放牛石佛の会」の皆様方のご好意により、貴重な研究資料を使用させていただきました。お礼申し上げます。