放牛石仏の特徴・3

第054体 〜 第083体

第054体から第083体までの石仏の大まかな特徴をまとめました。全体の高さは、蓮華座の底辺から光背の頂上までの長さです。仏体の高さは、つま先から頭の上までの長さです。

 

● ● 享保14年(1729) ● ●

第054体  熊本市池田1丁目15。県道沿いマリ美容院の右。
享保14年(1729)正月24日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ113cm・仏体の高さ64cm
(文字) 「南無阿弥陀仏」 「五十四体」 「享保十四酉正月」 「他力 放牛」 台石に「享保十四酉正月」 「講中」 「放牛」 「正月廿四日」

第055体  未発見
未発見であるが、享保14年(1729)建立のはずである。

第056体  熊本市迎町1丁目1。県営アパート裏の地蔵堂。白川に近い場所。
享保14年(1729)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ111cm・仏体の高さ67cm・
(文字) 「妙法念佛」 「五十六体」 「他力 放牛」
(道歌) 雨あられ 雪や氷と へだつれど とくれば同じ 谷川の水

第057体  熊本市小沢町101。聖光寺の門を入って左側の地蔵堂。
享保14年(1729)3月24日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ108cm・仏体の高さ58cm
(文字) 「五十七体」 「他力 放牛」 台石に「町中」 「享保十四歳」 「三月廿四日」

第058体  熊本市春日2丁目2。電車通り熊本ファミリー銀行から東へ入る。坂田さん方の前。
享保14年(1729)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ95cm・仏体の高さ50cm・
(文字) 「念佛妙法」 「享保十四酉天」 「五十八体」 「他力 放牛」

第059体  菊池郡七城町547。台(うてな)の高田酒店と郵便局の前。水島バス停の交叉点。
享保14年(1729)建立・十一面観音と阿弥陀の混合仏・上品上生の印相・全体の高さ95cm・仏体の高さ56cm・道しるべ
(文字) 「みぎ わいふ」 「ひだり きの」 「他力 放牛」 「五十九体」

第060体  熊本市蓮台寺3丁目1。白川に近く、田崎陸橋から南下し、蓮台寺橋手前で右折。
享保14年(1729)建立・
地蔵菩薩の座像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さ97cm・仏体の高さ68cm
(文字) 「他力 放牛」 「六十体」
(道歌) 人々は 飴か 砂糖か 甘草か 弥陀は苦いが 口に言わねど

第061体  未発見
未発見であるが、享保14年(1729)建立のはずである。

第062体  熊本市八幡5丁目。河尻神宮鳥居の川沿い。内野産婦人科の南側ブロック塀の側。
享保14年(1729)8月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ66cm・
(文字) 「他力 放牛」 「六十二体」 台石に「講中」 「享保十四年」 「講中」 「八月吉日」 「他力 放牛」

第063体  熊本市河内町清田(せいた)。産交バス下清田バス停の左。
享保14年(1729)8月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ83cm・仏体の高さ59cm・
(文字) 消えかかった文字は、「六十三体」 「享保十四年八月」 「村中」 「他力」

第064体  下益城郡富合町木原。木原不動尊正面の石段の右側。
享保14年(1729)9月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ113cm・仏体の高さ65cm
(文字) 「六十四体」 「享保十四 九月吉日」 「侘力 放牛」

第065体  菊池郡西合志町野々島。矢具神社の石垣の右角。
享保14年(1729)9月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ88cm・仏体の高さ50cm・
(文字) 「南無阿弥陀仏」 「享保十四 九月吉日」 「六拾五体」 「他力 放牛」
(道歌) 一遍の 称名の下に 八十億劫の 罪を滅す

第066体  菊池郡菊陽町原水新町。聞光寺境内の観音堂にある。
享保14年(1729)9月吉日建立・地蔵菩薩の立像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さcm・仏体の高さcm・
(文字) 「六拾六躰目」 「熊本願主」 「他力放牛」 台石に「享保十四年」 「講中 放牛」 「九月吉日」

第067体  熊本市坪井5丁目5。坪井川新川橋の東50mの坂本さん宅前。
享保14年(1729)10月建立・台石のみ・
(文字) 「享保十四 十月」 「他力 放牛」
(道歌) 三界の 衆生をのせる 放れ牛 地蔵まいりの 人をみちびく

第068体  紛失。(熊本駅西側田崎踏切機関庫裏の道路沿いの地蔵堂にあった)
享保14年(1729)建立・

第069体  熊本市本荘2丁目15。春竹説教所の山門の左。
享保14年(1729)10月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ87cm・仏体の高さ51cm・
(文字) 「六拾九体」 「他力 放牛」 「享保十四年 十月吉日」 台石に「村中」 「願主 放牛」

第070体  戦災で破損。(熊本市楠町白川左岸にあった)
享保14年(1729)建立・

第071体  熊本市池田1丁目20。天満宮鳥居左側の崖の上。78体と同所。
享保14年(1729)建立・蓮華座のみ
(文字) 「他力 放牛」
(道歌) 三界の 衆生をのせる 放れ牛 地蔵まいりの 人をみちびく

 

 

● ● 享保15年(1730) ● ●

第072体  玉名郡玉東町原倉本村。清田酒店左の地蔵堂。Y字形交叉点の右奥。
享保15年(1730)正月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背と仏体は欠損・
(文字) 「五庚戊年正月」 「享保十」は欠損。「陀力放牛」

第073体  熊本市横手3丁目17。戸坂入口バス停から北へ250m直進し、左折する。
享保15年(1730)2月建立・阿弥陀如来の座像・上品中生の印相・光背欠損・仏体の高さ42cm
(文字) 「七十三体」 「他力 放牛」 「享保十五 天二月」 蓮華座に「放牛」
(道歌) 三界の 衆生をのせる 放れ牛 地蔵まいりの 人をみちびく

第074体  鹿本郡植木町内村。内村バス停の手前から坂を下った湧水地。
享保15年(1730)3月建立・阿弥陀如来の座像・上品上生の印相・全体の高さ74cm・仏体の高さ45cm・穴地蔵
(文字) 「他力 放牛」 「享保十五戌三月」 「七拾四体」
(道歌) 三界の 衆生をのせる 放れ牛 地蔵まいりの 人をみちびく

第075体  菊池郡西合志町須屋。西合志町老人憩いの家の駐車場のフェンス。
享保15年(1730)3月日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ86cm・仏体の高さ46cm
(文字) 「七十五体」 「他力 放牛」 「享保十五庚戌年三月日」 台石に「他力 放牛」
(道歌) いう人も いわれる人も 諸共に ただひとときの 夢のまぼろし

第076体  玉名郡長洲町上沖の洲。名石宮神社から東へ300mほど直進した場所の地蔵堂。
享保15年(1730)4月12日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ51cm
(文字) 「享保十五 四月十二日」 「熊本 他力 願主 放牛」 「七十」

第077体  上益城郡益城町古閑。サミット古閑酒店の交叉点にお宮。火の見やぐらが目印。
享保15年(1730)5月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ85cm・仏体の高さ49cm
(文字) 「七十七体」 「佗力放牛」 「享保十五庚戊年五月」

第078体  熊本市池田1丁目20。天満宮鳥居左側の崖の上。71体と同所。
享保15年(1730)建立・蓮華座のみ・
(文字) 蓮華座に「村中」 「願主 放牛」

第079体  熊本市春日3丁目4。セブンイレブン春日店の交叉点から細い路地に入る。
享保15年(1730)7月日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ82cm・仏体の高さ45cm・改造されている
(文字) 「天保十五年七月日」 「牛」? 

第080体  熊本市釜尾町の穴地蔵。工大高前駅の北から線路を横断。高圧線電柱の近く。
享保15年(1730)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ50cm・穴地蔵
(文字) 傷みが激しく、読めない。

第081体  鹿本郡菊鹿町庄字寺田。老人ホームから千歳橋を渡り、五叉路で右方向へ。
享保15年(1730)9月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ48cm
(文字) 「他力」 「放牛」 「享保十五庚戌天」 「九月吉日」

第082体  熊本市薄場2丁目13。薄場町バス停のセブンイレブンの角から西へ路地を進む。
享保15年(1730)建立・聖観音菩薩の立像・左手は手のひらを上に、右手に未敷蓮華・全体の高さ93cm・仏体の高さ58cm
(文字) 「八十二体」 「他力 願主 放牛」

第083体  宇土市松原町西安寺。西安寺の境内にたくさん並んでいる地蔵の右端。
享保15年(1730)12月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ86cm・仏体の高さ50cm
(文字) 「八十三体」 「他力 願主 放牛」 「享保十五庚戌年十二月」

放牛地蔵に関する資料は、郷土史サークル・「放牛石佛の会」の皆様方のご好意により、貴重な研究資料を使用させていただきました。お礼申し上げます。