放牛石仏の特徴・4

第084体 〜 無番号第8体

第084体から無番号第8体までの石仏の大まかな特徴をまとめました。全体の高さは、蓮華座の底辺から光背の頂上までの長さです。仏体の高さは、つま先から頭の上までの長さです。

 

● ● 享保16年(1731) ● ●

第084体  熊本市河内町野出西。産交バス野出線の野出バス停から上に上り、春日神社左。
享保16年(1731)正月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ83cm・仏体の高さ49cm
(文字) 「八十四体」 「他力 願主 放牛」 「享保十六辛亥正月」 台石に「永村中」 「他力 放牛」 

第085体  熊本市松尾町近津。近津川に沿って上る。鹿島神社からさらに200m程先の川沿い。
享保16年(1731)正月日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・光背欠損・仏体の高さ61cm
(文字) 「十六辛亥正月日」 「力 願主 放牛」 一部欠損

第086体  熊本市島崎2丁目33。千原台高校の東側にふくい電器がある。その向かい側近く。
享保16年(1731)2月建立・釈迦如来の座像・阿弥陀如来の上品上生の印相・全体の高さ80cm・仏体の高さ42cm
(文字) 「釈迦佛」 「念仏 妙法」 「享保十六辛亥二月」 「八十六体」 「他力 願主 放牛」

第087体  熊本市川尻六丁目2。加勢川にかかるしんまち橋そばの地蔵堂。となりは美容院。
享保16年(1731)建立・阿弥陀如来の座像・上品中生の印相・光背欠損・仏体の高さ43cm
(文字) 「享保十六年」 「他力」 「八十七体」 「願主 放牛」

第088体  熊本市上高橋町天社宮の大楠の根もと。坪井川と井芹川合流点のすぐそば。
享保16年(1731)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ95cm・仏体の高さ50cm
(文字) 「他力」 「八十八体」 「放牛」 台石に「講中」 「享保十六」 「願主 放牛」

第089体  熊本市戸坂町18。県道から入った所に戸坂公民館がある。その前の堂の中。
享保16年(1731)建立・十一面観音菩薩の立像・左手に水瓶、右手に未敷蓮華・全体の高さ93cm・仏体の高さ56cm
(文字) 「他力」 「八十九体」 「放牛」
(道歌) 花はくれない 柳はみどり 人の心に ふりやいらぬ

第090体  熊本市小沢町152。西福寺の山門左の堂の中にある。
享保16年(1731)建立・地蔵菩薩の立像・左手に数珠、右手に錫杖・全体の高さ139cm・仏体の高さ79cm
(文字) 「今世後世能引導」 「他力」 「九十体」 「放牛」

第091体  熊本市池上町2045。松岡新太郎さん宅ブロック塀の角。
享保16年(1731)建立・阿弥陀如来の座像・上品上生の印相・全体の高さ67cm・仏体の高さ39cm・
(文字) 台石に「村 講中」 「願主」 「放牛」

第092体  熊本市大江4丁目19。開新高校裏の是法神社境内の小さな堂。
享保16年(1731)建立・観音と地蔵の混合仏・左手に宝珠、右手に未敷蓮華・全体の高さ88cm・仏体の高さ56cm
(文字) 「他力」 「九十二体」 「願主 放牛」
(道歌) 親のまへ 不孝のみにて 神ほとけ たすけ給えと いうぞおかしき

第093体  熊本市画図町下無田。加勢川にかかる中の瀬橋の西側。中の瀬バス停前。
享保16年(1731)7月建立・地蔵菩薩の座像・両手に宝珠・全体の高さ70cm・仏体の高さ39cm・
(文字) 「他力」 「九十三体」 「願主 放牛」 台石に「享保十六 七月」 「講中」 「願主 放牛」

第094体  熊本市貢町小塚。村の入口。鈴麦線から左折しJRの下をくぐって直進する。
享保16年(1731)建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ80cm・仏体の高さ46cm・
(文字) 「九十四体」 「他力 放牛」 台石に「講中」 「享保十六辛亥天」 「願主 放牛」
(道歌) 植えてみよ 花の育たぬ 里もなし

第095体  熊本市戸島町北向。バス停北向停留所近くに札の辻がある。そこの阿弥陀堂の横。
享保16年(1731)建立・
地蔵菩薩の座像・両手に宝珠・全体の高さ70cm・仏体の高さ30cm・
(文字) 「他力」 「九十五体」 「九月」 「願主 放牛」 台石に「講中」 「享保十六天」 「他力 放牛」

第096体  熊本市徳王町秋鯰。県道鈴麦線フードパルへの交叉点に秋鯰バス停あり、その前。
享保16年(1731)10月建立・観音と阿弥陀の混合仏・上品中生の印相・光背欠損・仏体の高さ48cm
(文字) 「享保十六年十月」 「九十六体」 「願主 放牛」 台石に「放牛」
(道歌) 親のまへ 不孝のみにて 神仏 助け給えと 言うぞおかしき

第097体  熊本市河内町黒石。黒田さん方の前、道端。大きなフジの木の根元。
享保16年(1731)建立・
地蔵菩薩の座像・両手で合掌・全体の高さ53cm・仏体の高さ33cm
(文字) 「他力」 「願主 放牛」 台石に「村中」 「他力 放牛」
(道歌) 一遍の 称名の下に 八十億劫の 罪を滅す

第098体  上益城郡矢部町上畑。国道から小高い丘に登る。国道の上に車道橋がある。
享保16年(1731)11月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ103cm・仏体の高さ58cm
(文字) 「九十八体」 「享保十六辛亥年」 「他力 熊本 願主 放牛」 台石に「講中」 「十一月」

第099体  熊本市谷尾崎町の山中。金峰山少年自然の家を右手に見て15分徒歩で下る。
享保16年(1731)11月建立・阿弥陀如来の座像・上品上生の印相・全体の高さ100cm・仏体の高さ65cm
(文字) 「十丈金」 「色像六万五」 「千体十」 「度造供」 「養不如阿」 「弥陀」 「享保十六亥十一月」 「他力 九十九体」 「願主 放牛」

 

● ● 享保17年(1732) ● ●

第100体  熊本市池田1丁目2。往生院境内墓地。右奥の地蔵群。6体もある。
享保17年(1732)建立・
地蔵菩薩の座像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さ186cm・仏体の高さ150cm
(文字) 「天下和順」 「日月清明」 「百体 他力 放牛」 台石に「講中」 「願主」 「放牛」

第101体  未発見
未発見であるが、享保17年(1731)建立のはずである。

第102体  熊本市河内町東門寺西。東門寺バス停から入った共同墓地。高台の樹木内。
享保17年(1732)4月建立・観音と阿弥陀の混合仏・上品中生の印相・全体の高さ77cm・仏体の高さ58cm
(文字) 「処繁昌」 「五穀成熟」 「第百弐体」 「他力 放牛」 「享保十七年 四月」 台石に「村中」 「壬子四月」
(道歌) おやのまへ ふかふのみにて かみほとけ たすけたまえと いふそおかしき

第103体  上益城郡嘉島町鯰1187。光恩寺前左側の小川沿い。小さな堂の中。
享保17年(1732)4月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ78cm・仏体の高さ45cm
(文字) 「処繁昌」 「百三体」 「願主 放牛」 「五穀成熟」 「壬子四月」 台石に「村中」

第104体  熊本市近見3丁目。国道3号線墓地から入り、今村さん方の家の前。2体もある。
享保17年(1732)8月吉日建立・台石のみ
(文字) 「熊本 講中 放牛」 「壬子 八月吉日」
(道歌) 一遍の 称名の下に 八十億劫の 罪を滅す

第105体  熊本市稗田町5。稗田観音堂の前。往生院前から東へ入り、公園で左折。更に直進。
享保17年(1732)8月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ81cm・仏体の高さ42cm
(文字) 「正直物一旦」 「不有依怙」 「享保十七壬子八月」 「百五体」 「他力 放牛」 台石に「講中」 「壬子 八月吉日」 「願主 放牛」

第106体  熊本市津浦町29。津浦公民館から入った交叉点の崖の上に地蔵堂がある。
享保17年(1732)9月建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ81cm・仏体の高さ46cm
(文字) 「五穀成熟」 「百六体」 「願主 放牛」 台石に「他力」 「講中」 「享保十七壬子九月」 「願主 放牛」

第107体  上益城郡益城町谷川(たにごう)。町立第5保育園から右へ上り、若宮神社の右手角。
享保17年(1732)10月吉日建立・地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ83cm・仏体の高さ47cm
(文字) 「南無 阿弥 陀仏」 「百七躰」 「他力放牛」 「享保十七壬子十月吉日」 台石には「一へん 八十 を」
(道歌) 一遍の 称名の下に 八十億劫の 罪を滅す

 


 

無番号1体 熊本市春日1丁目8。熊本駅市電通りの北岡高観音境内。駅から見て、祇園橋手前。
地蔵菩薩の立像・左手に宝珠、右手に錫杖・全体の高さ110cm・仏体の高さ76cm
(文字) 「願主」 「放牛」

無番号2体 熊本市春日3丁目4。セブンイレブン春日店の交叉点から細い路地に入る。
地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ72cm・仏体の高さ40cm
(文字) 「他力」 「願主 放牛」
(道歌) おやのまへ ふ加うのみにて かみほとけ たすけたまえと いうぞおかしき

無番号3体 熊本市春日3丁目4。セブンイレブン春日店の交叉点から細い路地に入る。
地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ72cm・仏体の高さ41cm
(文字) 「他力」 「願主 放牛」
(道歌) なにごとの おわしますかは しらねども ありがたなさに なみだこぼるる

無番号4体 熊本市春日3丁目4。セブンイレブン春日店の交叉点から細い路地に入る。
十一面観音菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ67cm・仏体の高さ36cm
(文字) 「他力 放牛」

無番号5体 熊本市島崎7丁目。鎌研坂(かまとぎさか)を登りつめて県道に出た所。
地蔵菩薩の立像・両手で合掌・全体の高さ70cm・仏体の高さ37cm
(文字) 「念仏妙法」 「知秋孤児」 「熊本 願主 放牛」
(道歌) 分け登る ふもとの道は さまさまに 同じ雲ひの 月をながむれ

無番号6体 熊本市花園7丁目。小萩山の山中。
破壊されている
(文字) 「願主」 台石に「他力 放牛」
(道歌) 稼ぐに 追つく貧乏なきに 唱え念仏ばかり

無番号7体 熊本市西梶尾町819。福住さん方前三叉路。北部支所から東へ700m行き右折。
地蔵菩薩の立像・両手に宝珠・全体の高さ74cm・仏体の高さ43cm
(文字) 台石に「享保十一丙午天」 「九月吉祥日」

無番号8体 鹿本郡菊鹿町長谷原(はせばる)。旧椎持往還沿い。地域では駄護地蔵と呼ぶ。
地蔵菩薩の座像・両手に宝珠・全体の高さ62cm・仏体の高さ40cm
(文字) 「陀力」 「南無阿弥陀仏」

 

放牛地蔵に関する資料は、郷土史サークル・「放牛石佛の会」の皆様方のご好意により、貴重な研究資料を使用させていただきました。お礼申し上げます。