地蔵菩薩の話

地蔵菩薩は、仏さまの中で最も日本人に親しまれている菩薩ということができます。それはお寺に安置されているのでなく、誰でもお参りできるように、道端にあるからです。また子どものためのお地蔵さまということで、夏休み等には、子どもたちが中心となって各地で地蔵祭が行われます。熊本県では宇土市の地蔵祭が有名で、県内各地から見物客がやってきます。特に飾り物も展示するため、夜遅くまでにぎわいます。

鹿本郡菊鹿町下内田長谷原(はせばる)の「無番号第8体」

 

地蔵菩薩には、次のような話があります。釈迦がこの世を去ってから、弥勒菩薩がこの世に現れるまでの間を無仏の時代といいます。無仏の期間は、56億7000万年間続きます。この無仏の時代を守り、衆生(人々)を救って悟りの境地にみちびいてくれるのが、地蔵菩薩です。

また地蔵は、六道で苦しむ衆生を教化・救済する菩薩でもあります。日本では平安時代から広く信仰されるようになりました。一般的には左手に宝珠、右手に錫杖を持っています。また、その姿は頭を丸めた僧の形をしています。六道の救済に当たることから、六地蔵の信仰が生まれました。また、子どもを守るということで、幼くして死んで賽の河原で苦しむ子どもを救済すると信じられています。