放牛石仏・第30体A

(場所)  熊本市下硯川町。上熊本から文徳高校を過ぎ、JR西里駅前から右側の旧道(西里廃土処分場へ行く道)に入り、坂道の左2m程の雑草の中にあります。平成13年9月22日に二度目の訪問をしましたが、草が生い茂っていました。夏に訪問するときは蚊が多いので、それなりに準備が必要です。

          

 

(石仏) 高さ90cmの釈迦如来の座像です。保存状態もよく、顔や文字もはっきりしています。両手で上品上生の印を結んでいます。しかしながら上品上生の印は、阿弥陀如来の印相だと思うのですが、光背に釈迦と彫ってありますから仕方ありません。石工の知識も疑問です。

(測定) 全体の高さは90cmあり、仏像の高さは60cmです。蓮華座は底から16cmの高さがありました。台石は、横30cm・縦29cm・高さ31cmです。

(文字) 光背の上に「釈迦仏 妙法 念仏」、右に「他力三十体目」、左に「願主放牛」と彫ってあります。

(備考) この石仏は、享保10年(1725)の建立です。第30体は二つあり、もう一つは田崎町になります。県道鈴麦線沿いには、多くの放牛石仏があります。ここもその一つで、近くには秋鯰バス停そばに96体がありますし、さらに北へ進めば北迫の31体があります。

第30体A(釈迦仏と阿弥陀如来の混合仏)

この石仏には、光背に「釈迦佛」と刻まれています。ですから、頭は釈迦如来特有の螺髪(らほつ〜髪の毛が丸くなってたくさんついているもの)になっています。その一方で、両手の印相(いんぞう)は、阿弥陀如来の「上品中生」になっています。上品中生とは、両手をへその下に置き、親指と中指で輪をつくる形です。そこで、首から上は釈迦如来であり、首から下は阿弥陀如来となります。二つの特徴を持っているため、混合仏と呼ばれています。