放牛石仏・第33体

(場所) 熊本市横手5丁目の四方池にあります。四方池橋を渡り、直進します。変則の四つ角に出たら、やや右方向に進みます。写真のように細い階段の脇に小さな堂があります。狭い路地ですから、捜すときには車を降りていった方が良いでしょう。階段脇の小さな堂の中に納められています。

          

 

(石仏) 頭に石冠をつけています。観音菩薩でしょうか。立像です。手には何も持たず、阿弥陀如来の上品中生の手印を結んでいます。この石仏は、享保11年(1726)の建立です。

(測定) 蓮華座の底からの全体の高さは、94cmです。蓮華座は16cmで、仏像の高さは56cmあります。光背の幅は36cmあり、蓮華座の底辺幅は32cmです。台石はありません。

(文字) 光背の右に「他力願主放牛」、左に「三十三体」と彫ってあります。

(備考) ここ横手には、新四方池橋と四方池橋を中心にして25体目、33体目、38体目そして放牛の墓があります。脇の階段の左側に細い路地がありますが、それを上っていきますと放牛の墓に行くことができます。平成13年9月16日に二度目の訪問です。

第33体(観音菩薩と阿弥陀如来の混合仏)

頭に石冠を載せています。釈迦如来や阿弥陀如来は悟りを開いた仏ですから、装身具はいっさい身に着けません。一方菩薩は修行中の身ですから、在家の貴人のように装身具(宝冠など)を身に着けます。そこで石冠(宝冠)を載せているので観音菩薩ですが、両手の印相(いんぞう)は、阿弥陀如来の「上品中生」になっています。そこで、首から上は観音菩薩であり、首から下は阿弥陀如来となります。この石仏も、二つの特徴を持っていることになります。