放牛石仏・第35体

(場所) 阿蘇郡久木野村摺尾(すくの)の林道沿いにあります。久木野村に行きましたら、まず久木野駐在所をさがしてください。その交叉点から外輪山に向かって進みます。途中には貸し別荘「ピラマイルド」やゴルフ場がありますが、三叉路で右折して1.5kmほど先になります。道の右側に古い堂があり、中に35体が後ろ向きに安置されています。地蔵さんは、南阿蘇を見渡すことができる最もすばらしい場所にありました。

          

 

(石仏) 今までの地蔵のイメージとは大きく異なり、独特の雰囲気が漂っています。大変美しい阿弥陀如来の立像です。全体に赤茶色の縞模様が入っていて、歴史の重みを感じます。両手は何も持たず、右手は施無畏印、左手は与願印をしています。台石はなく、阿蘇特有の溶岩の上に安置してありました。この石仏は、享保12年(1727)の建立で、その年二番目のものとなります。

(測定) 蓮華座の底から測った全体の高さは124cmありました。仏像の高さは81cmあり、蓮華座の高さは14cmです。光背の幅は50cmです。光背は肩から左手にわたり欠けています。

(文字) 光背左下に「他力熊本願主放牛」の文字が見えました。熊の文字はなくなっています。光背の裏側に「三十五体目」と刻まれています。

(備考) 平成13年8月28日に訪れ、撮影しました。交番から入り山手に向かいましたが、意外と簡単に見つかりました。途中の景色もよく、南阿蘇が一望できます。たくさんの石仏の中で一番好きな仏像になりました。皆さんにも是非出かけてほしいと思いますし、もっと大きな写真で紹介したいものです。