放牛石仏・第59体

(場所) 菊池郡七城町台(うてな)水島にあります。県道37号線と玉名と山鹿・菊池を結ぶ国道325号線が交わる地点です。この交叉点に高田酒店と台簡易郵便局があります。その右手に小さな地蔵堂があり、二つの石仏が並んでいます。放牛石仏は右側のものになります。

          

 

(石仏) お顔は十一観音菩薩ですが、両手は阿弥陀如来の印をしています。印相は、両手で上品中生の印になっています。資料には十一観音菩薩と阿弥陀如来の混合仏となっていました。光背の上部は堂の屋根の中にあり、隠れていますが、割れたあとがあり補修してあります。この石仏は、享保14年(1729)に建立されたものです。

(測定) 蓮華座の底辺からの全体の高さは、95cmあります。蓮華座の高さは15cmあり、仏像の高さは56cmです。光背の幅は40cmで蓮華座の底辺幅は32cmです。台石の長さは横41cm・縦40cm・高さ24cmです。

(文字) 光背の右側に「みぎ わいふ」 「他力 放牛」とあり、左側に「ひだり きの」 「五十九体」と刻んであります。

(備考) ここから次の石仏をさがすためには、さらに北上して無番号8体へ行くか、あるいは来民へ進み、鹿本町の第81体へ行くことになります。平成13年11月25日、熊本市からバイクに乗って県道37号線を北へ進みました。残り二体とは思いましたが、夕暮れになったため帰宅しました。放牛訪問の旅をくり返すことで、熊本県の地理もいくらかわかるようになりました。

第59体(観音菩薩と阿弥陀如来の混合仏)

頭の上は、宝冠ではありません。よく見ると、人の顔のようです。これは、争いの心を静める十一面観音菩薩です。しかし、お腹の前の印相は、阿弥陀如来特有の「上品中生」になっています。そこで、首から上は十一面観音菩薩、首から下は阿弥陀如来の混合仏となります。金属や木材で作る仏像であれば、はっきりした十一面になるかと思います。しかし、石仏のため細かな細工はできないようです。