放牛石仏・第66体

(場所) 住所は、熊本県菊池郡菊陽町原水新町になります。原水新町に聞光寺というお寺があります。熊本市の子飼から熊本大学前を通過して、ひたすら東へ進みます。熊本大学から14kmくらい進んだあたりにJR原水駅がありますが、その手前県道沿い左側に、聞光寺があります。隣には大原阿蘇神社の鳥居もありますので、目印になるかと思います。本堂右手に大きな堂がありますが、その中に安置されています。

          

 

(石仏) この石仏は、享保14年(1729)に建立されたものです。左手に宝珠を持ち、右手に錫杖を持っている地蔵菩薩の立像です。石は安山岩ではなく、砂岩のように思います。光背の縁に沿ってできたひび割れや、表面の色とざらつきからそのように判断しました。この石仏の特徴は蓮華座にあります。写真でもわかるようにハスの花びらが二重になっています。これを複弁といいます。この石仏だけが複弁であり、他にはありません。

(測定) 蓮華座の底から測定した全体の大きさは、72cmです。蓮華座の高さは、11cmです。その上に、高さ44cmの仏像があります。光背の幅は32cmあり、蓮華座底辺の幅は23cmです。大きめの台石の長さは、縦30cm・横30cm・高さ46cmです。

(文字) 光背上部に「六拾六 躰目」と二行に分けて彫られています。また光背の右側に「熊本願主」、左側に「他力放牛」と彫られています。台石正面には三行にわたって文字が刻まれています。右から「享保十四年」、「講中 放牛」、「九月吉日」となっています。

(備考) 平成14年2月24日、バイクで訪問しました。お家の方に訳を話し、撮影の許可を頂きました。二年ほど前にも訪問したことがありますが、お堂に鍵がかかっていたため、そのまま帰ったことがあります。さて文献には書いてありませんが、正面の花びら(弁)に、かすかに「放牛」の文字が見えます。弁に「放牛」の文字があるのは他にもありますので、珍しいことではありません。