放牛石仏・第79体

(場所) 住所は、熊本市春日3丁目3です。北岡神社の裏手から陸橋を渡り、田崎に向けて左折します。そこから500mほど行きますと、セブンイレブンがあるY字形の交叉点に出ます。その交叉点手前5mほどのところに、左へ進入できる一本の細い路地があります。路地に入って10mの所に、この地蔵堂があります。ここは放牛石仏が6体もあり、観察するときは注意が必要です。

          

 

(石仏) 第79体は、地蔵堂内の中央の石仏です。他の石仏より特に高く大きく見えますが、台石二つに乗っているためです。光背は傷んではいませんが、大きく割れたあとがあります。仏像は、地蔵菩薩の立像です。両手で宝珠を持っています。台石は二つあります。石仏の下に高さ15cmの蓮華座がありますが、これは全く別の物です。なぜなら蓮華座が二つある放牛石仏はないからです。しかも大きさが違いすぎます。本来の台石はその下の、直方体の石です。この石仏は、享保15年(1730)に建立されたものです。

(測定) 蓮華座の底から測定した全体の大きさは、82cmです。蓮華座の高さは、14cmです。その上に、高さ45cmの仏像があります。光背の幅は34cmあり、蓮華座底辺の幅は31cmです。一番下の台石の長さは、横31cm・縦30cm・高さ43cmです。

(文字) 以前この石仏は、未発見といわれていました。それは光背に「天保十五年」と彫られていたためです。その後の調査で、これは作り変えられたものだと分かりました。確かに「天」の上に「享」の字がかすかに見えます。光背右側に「天保十五年七月日」と彫られています。光背左下の文字が「牛」に見えるのは気のせいでしょうか。台石にははっきりとした文字で道歌が彫られています。

(道歌) おやのまえ ふこうのみにて かみほとけ たすけたまえと いうそおかしき

(備考) 堂の中に4体、堂の外に2体あります。堂の中の一番左が無番号第3体、左から二番目が無番号第2体、中央の一番高くて台石に乗っているのが第79体です。その右に4体ほどいろんな地蔵がありますが、右側に並んだ地蔵では一番大きなものが第13体となります。堂の外に2体ありますが、右側の十一観音像が無番号第4体、左側の阿弥陀が第9体となります。平成13年12月30日に、バイクで訪問しました。