放牛石仏・第95体

(場所) 熊本市戸島町北向にあります。県道にバス停戸島入口があります。つきあたりはT字形の交叉点になり、ヤマハの看板を掲げたバイクショップがあります。そこから左折して、300mほど行くとゆるやかな右カーブになります。このカーブの左手に「札の辻の阿弥陀堂」(史跡)があります。この近所にはたくさんの地蔵があり、初めてさがすときは混乱します。この地蔵が安置してある場所は、「札の辻の阿弥陀堂」の右側の小さなお堂です。大きな道路からは看板等がじゃまをして、地蔵堂がよく見えません。

          

 

(石仏) 小さな宝珠を両手で持っている、地蔵菩薩の座像です。この地蔵は何度も倒れたことがあるのでしょう、鼻も口もつぶれ、のっぺらぼうになっています。宝珠も磨耗しています。光背は隅も角も割れて、かなり傷んでいます。蓮華座の彫りが浅く、蓮弁もはっきりしません。光背の高さの割には、仏像は小さく感じます。この石仏は、享保16年(1731)に建立されたものです。

(測定) 蓮華座の底辺から測定した全体の高さは、66cmです。製作した当時は70cmはあったと思われます。蓮華座は12cmあり、仏像の高さは30cmです。光背の幅は27cmあり、蓮華座の底辺幅は30cmでした。台石の長さは、横32cm・縦28cm・高さ34cmです。

(文字) 光背の右上に「他力」とあり、その下に「九十五体」と刻まれています。光背の左側に「九月」 「願主放牛」と彫られています。台石の中央に「講中」、右側に「享保十六天」、左に「他力 放牛」と彫られています。台石の文字ははっきりしていて、後で彫りなおしたのではないかと思われます。

(備考) 平成14年1月5日に、二度目の訪問をしました。県総合運動公園に近く、国体道路からも行けます。石仏としては小さいものであり、しかも傷みが激しいのですが、いつも花が絶えません。地域の方が大切に守っています。また堂の右横には、「放牛上人 地蔵堂ノ由来」と刻まれた石碑が立てられています。