放牛石仏・第102体

(場所) 住所は、熊本市河内町東門寺西になります。本妙寺から金峰山に向かいます。峠の茶屋の前に来ますと、芳野小学校へ行く県道1号線がありますので、右方向へ上ります。3kmほど進めば、芳野の大きな交差点に出ます。ここには農協支所やガソリンスタンドがあります。ここから県道101号線(右方向・植木河内港線)を進みます。県道101号線を利用して、東門寺へやってきます。途中で県道の両側が、とても広くなっているところがあります。そこには民家やお宮もあるし、駐車場にもなっています。この場所で車を降りて南側をながめますと、なし畑の奥の高台に共同墓地があります。その共同墓地の隅に、第102体はあります。共同墓地に着いても、この石仏はすぐには見つかりません。きれいに並んだ墓石の反対側の、木が茂った根元の中に背中を向けて安置されているからです。注意深く、周りをさがしてください。

          

 

(石仏) お顔は観音菩薩の立像です。しかし、手は阿弥陀印を結んでいます。つまり、観音菩薩と阿弥陀如来の混合仏ということになります。全体の高さが、77cmの立像です。自然石を利用して、地蔵堂としています。石仏の前は崖になっていて、道路から見れば高さ2mほどの位置になります。足元に注意が必要です。この石仏は、享保17年(1732)の建立です。

(測定) 蓮華座の底辺から測定した全体の高さは、77cmです。それほど大きいものではありません。蓮華座の高さは13cmあり、その上の仏像の高さは58cmあります。光背の幅は31cmあり、蓮華座の底辺幅は27cmです。台石の長さは、横27cm・縦26cm・高さ33cmあり、縦長の石です。

(文字) 光背上部右側に、「処繁昌」 「五穀成熟」 と刻まれています。光背右側には「第百弐体」 「他力 放牛」、左側には「享保十七年 四月」 と彫られています。台石の側面に「村中」 「壬子四月」と彫られています。さらに、台石の正面に道歌が刻まれています。

(道歌) おやのまへ ふかふのみにて かみほとけ たすけたまえと いふそおかしき

(備考) この写真は、平成13年12月31日に撮影したものです。8月10日にも訪問していますから、二度目になります。堂の中は、古墳を思わせるような造りです。墓地では足元の位置にあり、道路からは見上げるような感じです。

第102体(観音菩薩と阿弥陀如来の混合仏)

この石仏が混合仏となっている理由は、第33体や第96体と同じです。頭に石冠を載せていることと、印相が阿弥陀如来の上品中生になっています。そこで、首から上は観音菩薩であり、首から下は阿弥陀如来となります。そのような理由で、混合仏となります。