放牛石仏・第105体

(場所) 住所は、熊本市稗田町5です。稗田観音堂前にあります。京町に往生院がありますが、往生院駐車場の反対側に東に入る一本の道があります。この道を50mほど行って左折すれば、稗田南公園があります。公園を左手に見ながらしばらく行くと、Y字形の分岐点に出ます。そこを右方向へ50mほど進みますと、ブロックの塀があり、階段になっています。道端ですが、高台になっています。

          

 

(石仏) 石仏が二つありますが、左側の大きな方が放牛石仏になります。両手に宝珠を持っている、地蔵菩薩の立像です。保存はよく、文字もはっきりしています。台石が高く、すっきりした印象です。指と宝珠はいいのですが、鼻と口が磨耗しています。この石仏は、享保17年(1732)に建立されたものです。

(測定) 蓮華座の底辺から測定した全体の高さは、81cmです。それほど大きいものではありません。蓮華座の高さは14cmあり、その上の仏像の高さは42cmあります。光背の幅は34cmあり、蓮華座の底辺幅は28cmです。台石の長さは、横27cm・縦27cm・高さ47cmあり、縦長の石です。

(文字) 光背の上部に、「正直物一旦」と「不有依怙」の文字が左右に分けて彫られています。また光背の右側に「享保十七壬子八月」、光背の左側に「百五体」 「他力放牛」と刻まれています。同じように台石にも文字が彫られています。台石の正面には、右に「壬子 八月吉日」、中央に「講中」、左に「願主放牛」と三行に分けて彫られています。

(備考) この付近には多くの放牛石仏があります。京町、池田町、稗田町など熊本城の北部につながるこの町並みは、江戸時代に栄えた町だったようです。熊本城を中心に考えれば、西部の横手町や島崎町の場合と同じです。石仏の所在地は江戸時代の様子を物語ることがあります。平成14年1月3日に、バイクで訪問しました。