放牛石仏・無番号第6体

(場所) 熊本市花園7丁目ということですが、金峰山の山中です。正確には小萩山への登山道ということになります。金峰山・峠の茶屋に着きますと、左折すれば金峰山、直進すれば河内町という交差点に着きます。やや右上がりの道路は県道101号線になります。101号線に入り50mほど進みますと、「香風」の案内板があります。そこから大きく右折する道が、小萩山への登山道であり、無番号第6体の場所へ行く道になります。ここから徒歩で40分ほどの道のりですが、途中は簡易舗装あり、あるいは大きな石が剥き出しの林道になります。

          

 

(石仏) 幅2mの大きな安山岩自然石の上に安置されていますが、仏体は破壊されています。石仏は胴の部分で二つに割れ、顔はなく、光背も頭から上部がなくなっています。両手で印を結んでいますが、中指を上に曲げているようにも見えます。阿弥陀如来の座像です。なぜこんな山奥に建立したのでしょうか。1730年代、ここに人の往来があったとは思えません。

(測定) 蓮華座の底辺から測定した全体の高さは、64cmです。蓮華座の高さは16cmあり、その上に高さ47cmの阿弥陀如来が座っています。光背の幅は40cmあり、蓮華座の底辺の幅は42cmです。台石は横42cm・縦40cm・高さ21cmあります。破壊されているため、全体の高さや仏体の高さは現時点での長さになります。

(文字) 光背の右側に、「願主」と読み取れますが、放牛の文字は見えません。仏体はこわれていますが、台石の文字ははっきりしています。台石の正面には「他力 放牛」が一行目にあり、道歌も書かれています。

(道歌) かせくにおいつくびんぼう なきに となえ念仏計り

(備考) ここへ来ることができたのは、「放牛石仏の会」のFさんのおかげです。3月末に行かれたときの地図を、私へ送っていただきました。平成14年4月13日、地図を頼りに峠の茶屋から徒歩で出発しました。民家もありませんし、たずねる人もいません。周囲はみかん園があり、簡易舗装が切れたあとは営林局の林道です。一口に40分ほどの道のりとはいえ、薄暗い雑木林の中を一人で歩くのはいい気持ちはしません。でも石仏が目の前に現れたときは、ホッとします。