★★  一斉指導の考察  ★★

最近は少人数指導・個に応じた指導と、基礎的・基本的事項の定着を図る指導に関する研究が多くなりました。それらが現在の主流を占めているといっても過言ではありません。10年程前に一斉指導についてまとめたものを、あえて掲載いたします。平成16年12月。

1 特色・長所

(1) 「どの子どもも共通に学ぶ」という国民の共通の期待に沿っている。
(2) 公教育として、実質的な平等性の確保ができる。
(3) 同一課題、同一手段、同一歩調のために時間的制約を受けず効率的である。
(4) 同一教材(教科書や副読本、プリント類)のため、準備が簡単である。
(5) 同じ学習目標に向かって、同じ経験をしながら学習を進めることがてきる。
(6) 集団の力で、個を支えたり引き上げたりすることができる。
(7) 集団の中で、多様な生徒の異なった意見や考え方を知ることができる。
(8) 教師と生徒たちの問答や生徒同士の討論や話し合いを通して、教師と生徒、生徒同士の間に好ましい人間関係や相互理解が深まる。

 

2 欠点・批判

(1) 一斉指導の中では、一人一人の個性が埋もれてしまう。
(2) 基礎・基本=教え込み という指導になりがちである。
(3) 教師中心であり、一方向的な情報伝達の指導になりやすい。
(4) 生徒の能力差を固定化しやすい。
(5) 生徒の実態に関係なく、画一化されてしまう。
(6) 画一化された一斉指導では、学習から取り残される生徒がでてくる。
(7) 画一化された一斉指導では、教師の指導に満足しない生徒もでてくる。

 

3 個別指導との関連意見等

(1) 学習の個別化・個性化が、一斉授業を否定したり一斉授業と相対立する指導法として受け取られる傾向がある。
(2) 「個人差に応じる指導」というと、すぐさま習熟度別学級編制やグループ別指導、機器を使っての個別指導などが最適であると受け止められやすい。しかし、その指導は形式的・固定的に位置づけられ、一斉授業は旧態依然としている。
(3) 一斉授業と個別的な学習とは、それぞれの特性を生かしあい、相互に補完しあって初めて、真の学習が成り立つ。