★★ 関数指導は難しい ★★

2年生の内容に「一次関数」があります。以前から関数指導は難しいということが、研究会等で話題になります。そこで、私がなぜ生徒は関数が難しいと感じるのかをまとめたものを記してみました。参考にしてください。

1 関数が難しいと考える要因

@ 指導時間が少ない。
1年生の「変化と対応」は17時間程度で、2年生の「一次関数」は19時間程度に設定されています。数式領域と図形領域に比べて、指導する時間は少ないと考えます。これは、授業中に復讐したり確認をする時間が取りにくいことを表しています。

A 空白の時間が長い。
1年生の「変化と対応」を学習してから、2年生の「一次関数」を学習するまでの期間を長く感じるようです。このため、一年前の学習が思い出せません。数式領域は他領域でも活用しますから、生徒の意識には残っています。しかし、関数領域は、他領域で活用する場面はほとんどありません。

B 関数学習の内容は表現方法と用語が多い。
学習過程の中で、関数の表現方法が多くなります。それは、表・式・グラフのことです。生徒にとっては、今何を学習しているのかがつかみにくくなります。
また、関数の用語が多いことも難しい要因となっています。一次関数の式 Y=AX+B のAについては、比例する部分・変化の割合・傾きと目的に応じて使い分けています。Bについては、切片・Y軸上の点・(0,B)と使い分けます。このように用語が多いことも、難しい要因の一つと考えています。

C 数式領域の技能が必要である。
指導して感じることは、一次関数の学習には数式領域で学んだ技能が必要になります。代入の操作・一次方程式の解法・等式の変形(二元一次方程式をY=の形に)・連立方程式の解法等を挙げることができます。

2 数式領域の技能が必要である。

@表からグラフを作成する
Aグラフから式を作る
B式から表を作る

C表から式を作る
D式からグラフを作成する
Eグラフから表を作る

@表からグラフを作成する
・表からグラフを作成する技能は、表は座標の集合と捉えることができるのか、表の座標を点として示すことができるかどうかです。最初は表全体の点を取りますが、最後は2点だけで直線のグラフになります。

Aグラフから式を作る
グラフから式を作る場合、いくつかの方法があります。傾きと切片がはっきりしていれば、Y=AX+Bに当てはめるだけになります。しかし、一部の生徒に傾きが読み取れない場合があります。傾きの読み取り練習をする必要があります。
・切片が読み取れず2点がわかるグラフの場合、傾きを代入して一次方程式で解きます。あるいは連立方程式で解くことになります。正答率は低下すると思います。

B式から表を作る
・この学習は、内容としては導入で扱う程度です。グラフ作成の一方法ですが、2点がわかれば簡単です。

C表から式を作る
・2つの座標を元に、連立方程式で解きます。切片座標(0,B)が分かれば、一次方程式となるでしょう。表から変化の割合を求めて、一次方程式とすることもできます。注意したいことは、座標の値を一次式に、または連立方程式に代入できるかがポイントです。

D式からグラフを作成する
・式からグラフを作成する場合、まずX=0を代入するのが早道です。次に、切片座標(0,B)とは別の座標を計算させます。この学習の場合、2点を求めるのがポイントになります。

Eグラフから表を作る
・関数の授業が進むにつれて、このような作業はしません。グラフはどの点を通過しているかの読み取り程度になります。

3 関数指導の留意点

@ 生徒にとって、今日の授業の目的は何かをつかみにくいようです。そこで、授業の最初に「今日の目標」を示しておく必要があります。授業字数が少ない割には、指導する項目は多いです。

A 用語の解説をていねいにしなければなりません。表・式・グラフで用語が変化するからです。表現方法が変わると、用語が変わることは、生徒にとっては理解に苦しむ場合もあります。

B 全学年とも一学期に、数式領域を学びます。前述したように、数式の計算技能のつまずきは、関数のつまずきにつながっています。計算の技能を高める工夫と、その都度復習する場面が欲しいです。

いかがでしたか。現役時代に考えていたことを、ホームページで紹介しました。個人的な意見ですから、賛成できない部分もあるかと思います。平成27年7月にアップ。