★★ 基礎学力の歴史と考え方 ★★

1 基礎学力のことばと歴史

(1) 昭和4、5年頃は学力の最高ピークであり、明治以来の学力向上の頂点であった。したがって学力低下とか基礎学力低下とかの問題は存在しなかった。
(2) 昭和16年太平洋戦争開始後は、戦時体制への完全な切り換えにより、学童勤労動員、食料不足と学童労働、あるいは学童疎開の事態が重なった。こうした状態は昭和20年の敗戦まで長い年月にわたった。
(3) 昭和20年以後の、敗戦後の事態も戦時中に劣らず、学校の機能は事実上停止してしまった。
(4) 昭和23年  〜横浜市小学校の学力調査計画(学力低下の問題)

昭和24年初〜東京都の研究会での討議(基礎学習の問題)

昭和24年秋〜京都府教育研究所の国語能力調査(読書力・書字力)

昭和24年  〜新聞、教育雑誌の特集(学力低下の問題)

昭和25年春〜日本教育学会「義務教育修了時における学力の調査」

昭和26年夏〜日教組の教育研究活動のテーマ
 「基礎学力の低下の実態とその対策をいかにするか」
 ものをまともにみつめ、正しく考え、強く行動するためのものとしての基礎学力

2 基礎学力の考え方

A 読み・書き計算に限定する 〜 言語および数生活に関する基礎的技能

 ⇒ 国語と算数は、基礎学力の教科である。
 ⇒ 戦後の学力不振に対して、その回復を図る必要があった。

B すべての教科に基礎学力が考えられる。

 ⇒ 各教科の学力に、理解・技能・態度があり、理解と技能に属するものは、基礎学力である。

(1) Aの考え方は、国語と算数が他教科の根底となる性質を認める。
(2) Bの考え方は、基礎能力の能力層と狭義の問題解決の能力層の構造を認める。

3 基礎学力のとらえ方 〜 諸説あり

現在、基礎学力とは何かという議論はありません。指導要領が改訂されるたびに、似通った言葉が議論されてきました。例えば基礎・基本、あるいは基礎的事項・基本的事項などがそうです。これらは諸説ありますが、自分はこう考えるということが大切です。

新しい指導要領が発表されるたびに、教育界では新しい用語の解説とか実践が繰り返されています。「ゆとり」 「総合的な学習の時間」 「算数的活動」 「言語活動」 などもそうかもしれません。私自身は授業が一番と考えていましたから、実践を大切にしてきました。児童生徒のためにどれだけ努力したかと自問自答しています。