★★  数学における文字の意味  ★★

1 文字の意味

(1) 未知数 方程式や不等式における解を示すもの。X など。
(2) 定 数 一般数や代表値を示すもの。公式等もこれにあたる。
(3) 変 数 関数におけるΧやYに代表されるもの。

2 文字の表す意味

(1) 式中の文字は、問題になっている数と量あるいは式などを一般的に表したもので、問題の条件の許す範囲で、どんな数値をも取り得る。(文字の変数)
(2) 異なる文字は、異なる対象を示す。(V=abc等の公式)
(3) 文字は、普通の数と同じように取り扱って、計算の対象とすることができる。
(4) 文字はある定まった数を表す。(Y=aX の a。π=3.141592・・・・)
(5) 方程式の中の文字は、特定の場合だけに成り立つ相等関係を等式で示すことによって、式中の文字のとる値を条件づけたものである。(aX=b)
(6) 連立二元一次方程式の文字は、代数的に求める場合は未知数であり、グラフの解法は変数として取り扱う。

3 文字を用いることの意味とよさ

(1) 関係や法則を一般的に表現することができる。
(2) 関係や法則を簡潔に表現することができる。
(3) 筋道を立てた説明を簡潔明確に表現することができる。
(4) 事象を式で表現しておいて、式を対象にいろいろな操作をほどこすことができる。

4 文字式の操作を活用

(1) 計算法則を用いて式をより簡潔な形に導いたり、目的に応じた形に変形する。
(2) 等式の性質を用いて等式をできるだけ簡潔な形に導いたり、目的に応じた形に変形する。
(3) 事象を式に表現し、いろいろな変形をして、その結果をもとの事象にあてはめてみて新しい性質を発見する。

5 生徒の文字表現の段階

第一段階 文字を指定されて表現すること。
第二段階 自分で文字を選択して表現すること。

6 文字の指導

(1) a+b、a−b、ab、a/b は、計算の操作を表している。
(2) a+b、a−b、ab、a/b は、計算の結果を表している。
(3) ことばの表現よりも、機械的に計算できる。
(4) 式そのものが、量を一般的に表している。

 

7 指導上の留意点

(1) 文字の必要性を納得させる身近な数量関係を素材として用意し、帰納的に指導していくことを心がける。
(2) 文字式葉考え方をより明瞭にする表現だから、場合によっては数字式、ことばの式、文字の式という段階を追った指導展開を配慮する。
(3) 文字は□・△が端的に示すように数値を代入できる場所であり、変数、変域の意識をもたせるように進める。
(4) 同一の文字式にあてはめるいろんな問題場面を生徒に設定させ、式がより広い解釈の可能性をもつことを知らせるようにする。
(5) 代入や文字式の決まりについては、具体的な場面を通して指導し、形式的な扱いに流れないように注意する。
(6) 乗除先行の規則をはっきりとおさえ、かっこが正しく使えるようにする。
(7) 整数の性質に関連する内容を取り上げ、文字式を用いて一般的に説明する
(8) P%、Q割、濃度などの意味をしっかりと復習する。

8 文字式の難しさ

(1) 導入や立式の段階で、数量の関係を理解しなければならない。割合、速度、食塩水等の問題は、常に正答率が低い。
(2) 文字は便利とはいうが、数よりも抽象的である。しかも、具体的な意味内容から離脱して、思考の範囲が拡大されてしまう。
(3) a+b、a−b、ab、a/b が、計算の結果とは考えにくい。数の計算結果が数で終わるため、文字の計算結果も一つの文字で終わると考えている。