★★ 文字式のきまり ★★ 

中学校数学1年の学習では、負の数と文字が導入されます。数の世界が拡張され、文字によって簡潔な表現ができるようになります。今回は文字式のきまりについて、少し考えを述べてみます。平成27年9月作成。

 

1 文字式のきまり

(1)教科書の内容から

かけ算の記号×は、省いて書く。 文字と数の積では、数を文字の前に書く。
同じ文字の積は、指数を使って書く。 文字はアルファベットの順に並べる。
文字の前の1は、省略できる。 わり算は、記号÷を使わないで、分数の形で書く。

(2)その他考えられるきまり

数と数のかけ算わり算は、今まで通り計算できる。 分数形の分子の()は、省略できる。
負の記号−は、分数形の前に書く。 文字式の先頭にきた+は、省略できる。
小学校で学んだ帯分数は使わない。 +と−は、省略できない。

2 指導上の留意点

(1) これらの文字式のきまりは、一度に暗記させるものではない。問題ごとに少しずつ指導していくことが必要である。生徒の誤答に気付いたら、誤答の原因を指導したい。

(2) 小学校での指導内容と計算のきまりが残っているので、文字式のきまりと混同している場合がある。

・ 5A+2B=7AB とする。この誤答は、計算の答えは一つになると思っているためである。

・ 小学校では、(    )の中を先に計算すると学習している。文字式の導入で、そのきまりはなくなる。

(3) 文字式の導入で省略できるものがあるため、適当に省略していることがある。

(4) 例えば文字式の5A+2Bは、計算の結果を表していることと、その計算操作を表していることも指導したい。

(5) 計算の優先順位を考えるとき、生徒によって異なる場合がある。符号決定・乗除先行・分配法則等により、思考が多様になっている。

(6) 途中の式を書くことは必要である。これは頭の整理をしていることになる。しかし、一次式÷整数の計算は、暗算でもよいと考えている。一次式÷分数は逆数が必要なので、途中の式は必要になる。

(7) 文字式の計算は、1次方程式・多項式と単項式の乗除・多項式と多項式の加減に進展する。指導者は、なぜこの学習なのか、これから何を学習するのかを理解しなければならない。