★★ 学習シートを考える ★★ 

最近ステップアップで学校を訪問をして、一つ気になることがあります。それは、若い先生方が、授業で学習シートをたくさん使用していることです。学習シートを使うのはよいことですが、弊害もあるということを理解してほしいです。そのことで、私の考えをまとめました。平成27年11月アップ。

学習シートを使用すると、次のような長所があります。

教科書の例題や解説を生徒に見せることなく、授業を進めることができる。
一斉指導をしやすい。教師のねらう授業展開にしやすい。
板書を省略したり、ノートの転記を省略することができる。そのことで、時間を短縮できる。

しかし、一方で次のような短所を抱えています。

学習シートの指導内容が、教科書から離れるときがある。それは、目標達成の方向からずれることを意味する。
自作の学習シートは、教科書よりも優れていると自己満足する場合がある。あくまでも学習は教科書が中心であり、学習シートは補助資料である。
学習シートの内容が、教科書とレベルの違いを見受ける。そのことは、生徒に負担をかけることになる。生徒の実態にあっていない学習シートを見かける。
学習シートだけでの学習は、教科書のどこを学習しているのかが、生徒にわからない。授業のまとめとして、教科書のどこを学習したかを確認しなければならない。
教師が長期間にわたって学習シートだけで授業をすると、生徒は受身の姿勢になる。そして、ノート記述をする習慣が育たない。
生徒の家庭学習は、まず教科書と問題集から始めている。学習シートは、家庭学習に向いていない。
教師が学習シートだけで授業を行うと、生徒と保護者の信頼を失う場合もある。教科書をなぜ使用しないかと、保護者は疑問に感じる。
学習シートはノートに貼るのを前提にしている。そのため、図や表が小さく印刷されていて、効果も期待できない。定規とコンパスを用いた作図、多角形の角を実測する図、多様な考え方を引き出す図形は、大きく書いた図形が必要である。
教師は、学習シートをノートに貼る指導をしている。しかし、この指導は継続しないと、生徒はいつのまにか学習シートを紛失している。

若い先生方が学習シートを作成するのも、教材研究の一つだと思います。しかし、もう少し教科書を読み込んでほしいと願っています。学習シートはあくまでも教科書の補助資料です。