★★  計算力の正答率と仮説  ★★

1 正答率に対する仮説

生徒の計算力を調査していて、一つの仮説を立てました。生徒個人の正答率でなく、一つの問題に対しての学級の正答率を表したものです。もちろん、学校や学級の実態は考慮すべきですが、おおまかな予測が可能です。それが、次の表になります。なお、この仮説は「数と式」領域内での話題ですので、関数・確率・統計・図形の問題には適用しません。

正答率=100 − 計算法則×10 + (現在の学年−指導の学年)×5

2 仮説についての説明

(1) 計算法則
計算法則は、計算のきまり・計算の操作・公式適用のすべてを含みます。小学校で学んだ内容を含むこともあります。
(2) 計算法則×10
この意味は、計算法則が一つ増えるごとに、正答率が10%ずつ低下することを意味します。たとえば一次方程式の問題であれば、分配法則・移項・同類項の計算・aX=bの処理などの法則を適用して解きます。一般的に程度の高い問題というのは、計算法則が多い問題になります。
(3) (現在の学年−指導の学年)×5
この意味は、学年進行とともに解けるようになっているということです。たとえば一次方程式の同一問題を出題すると、三年生が二年生よりも5%正答率が良く、一年生よりも10%正答率が良いことを表しています。三年間の学習過程で、あとで理解することがあるからです。

3 実際の問題について考察

解 説 し ま す。  
(1) Aの問題は、一次方程式です。解を求めるために、計算の法則を3個適用しますから、100−10×3=70%と予想されます。2年生なら75%、3年生なら80%となります。この程度の問題は、練習させることで90%以上の正答率が期待できます。
(2) Bの問題は、3年生内容の多項式の展開です。分配法則と同類項計算ですから、80%は期待できます。しかし、他の乗法公式を適用することもあり、式を見て判断する力も必要になります。
(3) Cの問題は、根号を含む四則計算です。最初の一行で、二つの計算をします。予想として50%程度の正答率ですが、単元が終わる頃には80%を目指したいものです。
(4) Dの問題も、一次方程式です。分数形のため、正答率は低下します。分母を払うときに符号のミスが生じやすく、ていねいな指導が必要です。「分子には( )をつける」というのが、私の口ぐせでした。正答率は50〜60%の範囲が多い問題です。

ここで紹介した「計算力の正答率と仮設」については、二十年ほど前に考えたものです。何かの参考になれば幸いです。平成27年5月