しし座流星群の夜’98

 の空は、雨はやんだものの、まだ雲が多かった。しかし、わずかに顔を覗かせる晴れ間は、今夜の期待を膨らませるには十分であった・・・ 夕暮れの景色

 「じょうなんフリーウェイー、味のウエストすぎて、めどばしにかかればー、ふげんだけがーみどり川の川面にうつる・・・じょうなんフリーウェイー、みぎてにはー、びしょーねんしゅぞーう、ひだりには、あらーきさかや・・・このみちは、天文台へとつづく・・・」

 と、ユーミンの替え歌を歌いながら天文台に18時00分きっかりに着くと、すでにNHKの取材班が来ているらしく、なんかやたらと、灯りがともされていた。この時、健康管理のためにつけている万歩計をみると6500を指していた。朝から今まで歩いた歩数である。NHKとのリハーサル

 測室では中尾のびた君、徳尾君が緊張の面もちでリハーサルを繰り返していた。階段ではうら若き女性キャスター、高嶋さんが「・・・32年ぶりに大出現を見せると予想されている、しし座流星群は・・・」と、えらく難しいことを一生懸命復唱している。本番まえの台本読み(高嶋キャスター)下の部屋では、艶島台長がプロジェクターのスタンバイを終えている。横には、しし座にある輻射点が時間とともに昇ってくるボードがある。丁寧にかかれているボードは、さも台長が用意したように見えるが、実はNHKスタッフが作ってきたものである。艶島台長とボードとプロジェクター

 学生がもし遅れたら自分がテレビの前でしゃべる羽目になると覚悟を決めていた私は、ついでに家族に今日NHKのテレビに出るからね、と吹聴してきた私は、「自分は、どこにいれば良いんですか?」と尋ねると、艶島さんからは「どっか、そのへん、カメラにはいらんところに居って・・・」と指示される。

 18時19分、NHK熊本ローカル番組「ひのくにワイド」が始まる。
生中継は、あーーーーーーーっという間に無事終了。スタッフの人たちの張りつめていた緊張感がどこかにいってしまった。

 「はい、電話回線戻して〜」中継の間は切っていた電話を元に戻した、とたんに、ベルが鳴った。艶島さんが応対する「はい、天文台です。・・・そうです、今日の深夜ごろから見えだします・・・・いや、午前4時によく見えるというのは、あくまで予報であって・・・そうです、ここ天文台は今夜10時まで、一般公開をやります・・・」、受話器を置いてくたびれたように言う。「いや、ずーっとこんな調子で問い合わせがきているんだよ」また電話が鳴った。「はい、天文台です・・・」まったく休む暇がない。
 
レは電話番が大変だと感じた私は、ホワイトボードに、まず「今日の努力目標」と書いて、続いて、「電話番は公平に」と書きこんだ。そして、「電話問い合わせ計数観測用紙」を作った。

ホワイトボード

 次の電話は自分がでた。「・・・はい、天文台は午後10時までです。・・・そうです・・・その後は、まわりの塚原古墳公園をつかって、勝手にみてもらうことになります。」「"勝手に"じゃない"自由に"だ。」すかさず、艶島さんの訂正が入る。

 高嶋キャスターは、個人的にまた来る約束を取りつけ、「私、化粧落とすと、誰かわからなくなってしまうので、わかるように同じ服装でまた来ますね」と言い残してスタッフともども去っていかれた。
観測室のお客さん
説明する艶島さん。艶島さんの頭上領空侵犯中。19時になると、お客さんがわらわらとつめかけてくる。しかし運営委員は少ない。ほとんどいない。自分は、観測室にて望遠鏡で星を見せて、艶島さんは下で、流星群の電子紙芝居をやった。最初、木星も土星も雲の中で、見せるのに苦労していたが、空はだんだん良くなってきて、どっちか片一方は出ている状態になってきた。すごく期待を持たせる展開となってきた。

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