Gustavo "Guga" Kuerten/ぐがのみち
2000 Vol-4
グラス色がバックのVol-4はウィンブルドンが舞台。まだまだ適応不足の
グラスコートだけど、来年が楽しみ。(ローランギャロス特集は
Vol-3へ!)
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ウィンブルドン(ロンドン)
Jun26〜July9
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開幕!やはり初日の芝は美しい。昨年は、2日目のセンターコートでウィンブルドン初勝利を挙げ、
「インスパイアーされた。」と語っていたが、今年の初舞台はどのコートになるんだろう?
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相変わらず、ブラジル以外のマスコミからは、さほど注目されていない様子の芝のグガだが、
ATP公式サイトの優勝予想投票では、サンプラスに次いで2位だったりする。組織票でも入ったか?
一応、私も景気づけにカチッと押してみた。
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1回戦のクリス・ウッドラフ(USA)戦は、”チャンピオンの墓場”No2コートに当たってしまい、
これは不吉と思ったが、考えてみれば、ウィンブルドンのチャンピオンじゃないから全然問題なく、
6−4,6−7(5-7),7−5,7−6(7-5)で無事突破!第2セットでは、また微妙な判定が
あったらしく、「マイアミ(エリクソン・オープン決勝)でも、(ポイントを)とられたし、
ここでも、また持っていかれちゃったよ〜」とブツブツ。あら、ローランギャロスは?勝ったから
忘れちゃったのかな??しかし、今回は「30分ぐらいは、ずっと怒っていた。」という
から、かなり頭にきてたんだなあ。
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データで注目すべきは、ファーストサーブの確率。いつもは50%前後をウロウロしているのだが、
久々に60%の大台。しかもファーストが入った時のポイント率が90%。ここまで入ると、かなり
展開が楽になるね。「優秀なボレーヤーというわけじゃないから、サーブが良くないとね。威力
だけじゃなく、必要な時に、良いサーブを打つことが大事だ。」
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”ウィンブルドンで優勝できるか?”という質問には、「ここで優勝できたら、引退だね。」と
嘯き、「あと50年くらいはかかるかな?」と笑った。
ローランギャロス優勝で最高の瞬間を過ごしており、それは自分の強みになるけれど、まだ芝では
十分に安定していないし、優勝経験があるサンプラスやクライチェックとは違う...と、まだ
まだ学習中の身であることをアピール。
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それなら、”このトーナメントは好きか?”という質問には、どう答えるかというと、「空港に
迎えに来てくれて、食事のためにもっとお金をくれたら...。だって、スパゲッティ1皿で
もうお金が無くなっちゃうでしょ?」これを、”渋滞が酷いし、食事がまずくて、しかも高い!”
と言ってしまえば、総スカンだが、これだけ上手に包んで発言すれば、しっかり笑いがとれます。
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初お披露目となった”ニューヘアースタイル”は、もともとモップ頭だっただけに、全く違和感なし。
しかも、バンダナを結べばしっかりと落ち着くから、機能的にも優れものである。ついでだから、
ブラジルカラーのリボンでも編み込んじゃえば??
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TVの副音声では、ジョン・マッケンローが解説していたが、第2セットの判定トラブルには、
「長い!明らかにアウトだよ。」と、ローランギャロス決勝の例の判定と同じ反応をみせた。
なにしろ、判定トラブルに関してはエキスパート。なかなか怒りがおさまらず、不満たっぷりの
グガの気持ちもよくわかるようで、「プロなんだから、そんなものは乗り越えていくべきと
思うだろうけれど、それは本当に難しいことなんだよ。ひとつの判定で、試合の局面がガラリと
変わることがあるんだから。」と、トラブル多数経験者ならではのコメントを述べていた。
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2回戦の相手、予選あがりのジャスティン・バゥアー(南ア)が、レフトハンダーということで、
水曜日は僚友のメリジェニと練習。当然ながら、対左利き選手の対戦成績はあまり良くないが、
パソス・コーチは、「大丈夫!」と太鼓判。
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バゥアー戦は、6−4,6−4,7−5のストレートで勝ち抜き3回戦へ!この試合も、サーブ
の確率は59%となかなかのもの。ハンブルグ〜ローランギャロスの時期は、”Clay Kid”と
書かれたりしたが、芝にも適応する土の子は、”New Breed”なんて呼ばれてる。
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その”テニス界の新種”の新しいトレードマークはドレッドロック。”すぐ変えるかも”
と言っていたが、かなりお気に入りらしく、しばらくキープするそうだ。どれくらい時間がかかる
んだ?と質問してきた記者には、「あなたもやりたい?だいたい3〜4時間だけど、あなたの
場合は、髪を伸ばすのに、まず3年だね。」
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シングルス2回戦と同日にスケジュールされたダブルス初戦は、パートナーのハーバティの途中
棄権により敗退。ハーバティの具合が気になるところだ。大事をとってのことならいいけれど。
(しかし、ライブスコア上に”Retired”の文字が出たときには、ちょっと慌ててしまったぞ。
様子が気になって起きていたら、夜中の2時近くになって、ブラジルのサイトに第1報。
”公式”サイトに迅速さは期待できないけれど、なかでも、ウィンブルドンの公式サイトは
例年遅い。”速い”球速の大会なのにね。)
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1回戦はNo2コート、2回戦はNo3コートと、いわゆるアウトサイドコートを割り当てられる
ことに関しては、あまり気にしていない様子で、「勝っているんだから問題ないよ。これからも、
勝てるんなら、アウトサイドコートでも構わないよ。」3回戦も、マイケル・チャンが上がって
きたらショーコートの可能性もあったが、アレクサンダー・ポップ(ドイツ)との対戦になり、
またNo2コートに。
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2mの長身・ポップ戦は、残念ながら、6−7(6-8),2−6,1−6のスコアで完敗。
対戦相手のポップいわく、「第1セット途中から、彼の足に
異常があるのがわかった。」そうで、第2セットでトレーナーから治療を受けたものの、回復は
かなわず、今年のウィンブルドン挑戦は終わりました。
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”敗戦はいつだって辛い”と語っていたグガだけに、本人はとても残念だろうが、
あれだけの力を注いだローランギャロスの後なんだから...。別に、本人に代わって弁護する
つもりもないのだが(第一、本人は弁護する必要もないし)
、人間のエネルギーなんて、そう延々と高レベルで維持できるものじゃないと思うのだ。
再来週にはデ杯準決勝が控えているので、完全にリラックスすることはできないと思うが、少なくとも
身体の疲れはしっかりとってほしいもの。結果より何よりも、故障を抱えていると、こちらは気が
気じゃないんだからさ。
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来週には、ブラジル・デ杯チームの合宿が始まるが、その前に、故郷のフロリアノポリスで
数日休養するようだ。ローランギャロス後の帰郷では、いろいろ大忙しでゆっくり過ごすことも
できなかっただろうから、今回はのんびりできるといいな。
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”遅い”と文句を書いたら、早々とインタビューをアップしてきた公式サイト。1回戦後の
インタビュービデオをみて、”風邪でもひいてるんじゃ?”なんて友人と話していたら、実際
そうだったんだな。治療を受けたという足も、熱からの痛みのようで、それなら寝てれば治るかな
と、ひと安心。(ガッカリしたり、心配したり、安心したり、忙しい夜だ。)
それにしても、「ここでプレーするのは、そこまで重要ではない。」と言っちゃったところに、
インタビュー全体の言葉とは裏腹の悔しさがありあり。(このひとの敗戦の弁は、ずっと後になって
読みなおすと、気持ちが掴めて、なかなかおもしろいものだ。)
ウィンブルドンを本気で狙うのは
2年後ぐらいかなと思っていたが、これは意外と、来年から気合いを入れてくるかもしれないぞ。
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公式会見では、それほど高い熱ではないと語っていたが、地元ブラジルの記者には、今週はずっと
38度の熱があったと語っていたようだ。「(ローランギャロスから)2週間後に、もうひとつ
のグランドスラムで良いプレーをするのは、不可能ではない。4週間のインターバルが
あればもっといいんだけどね。」とも語っているが、このスケジュールは不動のものだからねえ。
ウィンブルドン到着!
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水曜にフロリアノポリスを出発して、木曜午後にロンドン着。到着早々練習に出かけ、同じブラジル
のメリジェニと共に、軽く肩慣らし。本来はもっと本格的にやりたかったらしいが、ロンドン名物
の断続的な雨にたたられて、結局30分ほどで切り上げた。
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公式サイトのプレビューでも特に取り上げられなかったし、ある記者は、「グラスでも通用する
運動能力とショットの持ち主。しかし、フレンチのチャンピオンだ。(昨年のアガシは別として、例年
早期敗退が多い。)昨年と同じ準々決勝に進出できればラッキーだろう。」と予想するし、ベガスの
オッズでは、ラペンティらと並んで19番目の候補。おまけにパソス・コーチも「ここでは、特に
大きな責務はない。楽しんでプレーできるだろう。」と語る。ローランギャロスでは勝利への執念の
力をみせてくれたが、リラックスした時の伸びやかさも力となるだけに、思いきって楽しんで
ほしいもの。本人は、「第1週目を生き残ることができたら、そこから大きな夢をみるよ。」
と語っております。
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金曜日午前中もメリジェニと練習。その後、隣接するロー・ハンプトンクラブで、イヴァニセビッチと
エキシビションマッチを行う予定だったが、相手が変更となり、ポール・ゴールドスタイン(USA)
と対戦。結果は、6−4,4−6,7−3(第3セットはタイブレークのみ)。予定通りイヴァニセ
ビッチとやりたかったらしいが、結果には満足している様子で、「僕のキャリアのなかで最も
良い時期を迎えているし、どうすべきかもわかっている。」パソス・コーチもご満悦で、「グガも
経験を積んで、強襲された時のスライスでの処理が随分良くなったよ。」
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今年はホテル住まいをやめて、近くの一軒家を借りて、メリジェニ御一行とシェア。「周りの
喧騒を逃れて、落ち着いて過ごせるし、雨でスケジュールが変更されたら、家へ戻ってゆっくり
できるしね。」と語るのはメリジェニだが、周りの喧騒からは離れられても、家の中は、かなり
賑やかになりそうだな。
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土曜日も金曜日とほぼ同じスケジュール。午前中は、やはりブラジルのアンドレ・サと1時間ほど
練習し、午後はフェリックス・マンティーヤ(スペイン)とエキシビションマッチ。結果は、こちらも
金曜の試合と同じようなスコア(7−5,3−6,タイブレークのみ7−3)で終了。さあ、これで
本番だ!
1999ウィンブルドンのはなしなど...
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「グラスシーズンというものは存在しない。グラスウィークがあるだけだ。」と誰かが言っていたが、
まさにそのとおり。しかし、なくてはならないアクセントである。
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会場に足を運ぶくらいのファンには、大人気のグガだが、英国の一般的なスポーツ好きレベルだと、
まだまだ知名度は低かった。「誰、それ?」ときかれて、97年のローランギャロスで云々と説明
すると、ようやく思い出す...という程度である。その程度だから、「応援してるんだ。」と
言うと、ほとんど人が、「賭けてんのか?」と言う。さすが、ブックメーカーの本場。
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それでも、準々決勝にまで進出したんだから、かなり知名度も上がったのでは??と思うでしょう?
しかし、現地の報道はヘンマン一色。生中継も、ダイジェストも、スポーツニュースもほとんど
ヘンマン戦。もういいかげん〜と思うが、女性陣の甲高い歓声を浴びる地元の星だしね。
(個人的には、女性にアピールする力はあんまり感じないのだが。お国柄が違えば、趣味も
違うか??)
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それでも、準々決勝の前日になって、パット・キャッシュがゲストを務めるプレビュー番組で、
取り上げられた。”ツアープロの中で、最もカラフルで、最もリストがルーズな選手”と繰り返す
キャッシュは、「あんなにクニャクニャした状態から、どうやってボールを捉えられるのか、
ぜ〜んぜんわからない。」と首を捻り、自らラケットを振りながら実演してみせるのだが、
それじゃあ、よっぱらいだよ!!結局、「彼独自のタイミングで成立しているストローク
だから、決して真似しないように!」という能書きで終わってしまったが、テニス雑誌に載って
いた技術解説でも、同じ注意書きがされていたな。
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新聞報道で気になったのが、ガーディアンだか、デイリーテレグラフだか、忘れてしまったが、
”シード勢の歩み”コーナー。男女各16名のシード選手の顔写真と試合結果が毎日更新されるの
だが、あえなく敗退すると、その顔写真が網掛けされてしまうのだ。いっそ消してくれれば、
あきらめもつくが、毎日、敗退の事実を再認識せよとばかりに網掛け写真をみせられると、
ファンとしても辛いものがあるだろう。グガファンの私も戦々恐々だったが、8強まで残って
くれたし、雨がちの天気でスケジュールが押したこともあって、ずっとクリアーな顔写真を
眺めることができた。今年も頼むよ〜
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8強入りを決めた4回戦では、まだ全然伸びていない前髪をひっぱり上げながら、ひゅ〜という感じで
勝どきを上げたグガだったが、その勝利で、パソス・コーチの坊主頭が決定。剃られたり、金髪に
されたりと、勝利への動機づけの犠牲になり続けるパソスさんの頭髪だが、今季は残念
ながら、すでに坊主頭...。しかし、立派なひげが残ってますよね?パソスさん。
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毎年独自のシード順が話題になるウィンブルドン。昨年は結果を出したことだし、5〜6番目に
入れてくれるかな?と思っていたら、予想を上まわる第4シード。うわぁ〜、結構ずっしりくるなあ
...。シードが決まったら、次はドロー。こちらは、現地時間の20日10時30分より抽選開始。
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1回戦の相手は、クリス・ウッドラフ(USA)に決定。97年のモントリオール決勝で破れた相手でもあり、
かなり手強いが、ドローを眺めると、他にも厳しい対戦がいっぱい。
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初戦の相手・ウッドラフについては、「ガッチリと素早く仕掛けてくるタイプで、非常に危険。」と
語るクエルテンだが、調整の方は順調のようで、パソス・コーチも、「ここまでは、とてもいい
動きをみせているので、ちょっと驚いているよ。」と手応えを感じている様子。
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テニスプロにとって、ラケットは大切な商売道具だが、今シーズンのグガは、ラケットの
使用感にどうも満足できないらしく、既に3つのモデル(全てスポンサーのHead製)を使い回して
いるらしい。そこで、アガシと並ぶ看板息子に愛想を尽かされては困るHead側が、カスタム
メイドラケットを開発することにしたようだ。早速、来週のウィンブルドンから、スタッフが同行して
データどり等が行われる予定。
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同胞のオーシンスかプリエトと組むと思っていたダブルスだが、結局、ドミニク・ハーバティ(
スロバキア)と組むことに。「ふたりともシングルスに重点を置いているから、もし、ダブルスが
上手くいかなくても、それほど問題にならないし...。デ杯(対オーストラリア)に向けて、できる
だけグラスコートで試合を重ねたいと思っているけど。」ということだが、今回、ダブルスに賭ける
オーシンスと組めば、その分、真剣勝負の機会は増えるが、精神的な負担も増えると考えたか。
何はともあれ、共に、とぼけた持ち味を持つふたりだけに、なかなか楽しみなペアである。
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