Gustavo "Guga" Kuerten/ぐがのみち
2002 Vol-3
2002 Vol-3は、手術後2ヶ月で復帰を果たしたマジョルカ・オープン
〜マスターズシリーズ・ハンブルグ。一歩一歩前進の毎日だ。
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マスターズシリーズ・ハンブルグ May 13〜May 19
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予定どおり金曜日にハンブルグ入りし、夕方にはラペンティをパートナーに練習を開始した。
この練習には例によって見物人がわんさか集まった様子。そして土曜日には、珍しく午前中の早い
時間帯にカニャスと共に練習したところ、午後には雨になってしまったらしい。頑張って早起きした
かいがあったというもの。(それとも、だから雨が降っちゃったとか?!)
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第2日目に予定される1回戦の相手は、ニコラス・キーファー(ドイツ)。これまでの(本選)
対戦成績は1勝1敗だが、これはともに'98年の対戦だ。4年ぶりの対戦はいかに?
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月曜日にはエスクーデと練習。この日はすっきりと晴れていた...と、いちいち天気の情報が
提供されるのはありがたい。お天気の心配をしているのは一部のファンだけかと思っていたら、
今やマスコミも注目しているらしい。
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もうちょっと進んでほしい2回戦の相手は、アンドレイ・パベル(ルーマニア)。スコアは常に
競りながらも5連勝している相手だが、いつものとおり、考えるべきは相手のことではなく自分の
こと!というスタンスで臨むという。
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よ〜い、ドン!と書いちゃった後に、すぐこけちゃったらどうしよう?と思ったけれど、孝行してくれ
ました〜 3回戦の対ギジェルモ・カニャス(アルゼンチン)戦は、7−5・6−2で勝ち取り準々
決勝へ進出。久々の3連戦に疲れがみられ、前日ほどのリズムは感じられなかったという記事も
あるが、しっかりと押さえたのはさすが。早起きを余儀なくされたおかげで、ランチの時間には
試合も終わったことだし、次戦へ向けてしっかり充電するべし!
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カニャス戦の後には、”準々決勝に出るのは去年の9月以来だから”と喜んでいたが、指折り数えて
みると8ヶ月振り(復帰戦のマジョルカもベスト8だったが、2回勝てば準々決勝という32
ドロー)。振りかえってみれば長かったんだなぁ...。昨年後半に1回戦負けが続いた時などは、
精神的にもかなり苦しかったと思うが、今思えば、かなりひどい状態だったであろう患部に負担を
かけるなということだったのかな? まぁ、早期敗退で試合がない分練習しちゃっただろうけれど。
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「今日の彼(グガ)は、トールマンに乗っていた頃のアイルトン・セナのようだった(トールマン
はセナのF1デビュー時の所属チーム)。彼はまだベストの”マシーン”は手にしていないけれど、
何とかゲームを勝ち取る術をみつけている。」−−−これは、3回戦後のパソスさんのコメント。
珍しく見出しになりそうな”派手な”コメントである。というのも、前週のF1オーストリアGPで
議論を呼んだフェラーリのチームオーダーを巡って、ブラジルのスポーツニュースはF1ネタで
持ちきりなので。1回戦のキーファー戦後にも、「グガはまだフェラーリのルビーニョ(ルーベンス・
ベリケロ)のレベルじゃないけれど...」なんて語っていたし、パソスさんも毎日きっちりニュース
チェックをしているのだな。(案の定、パソスさんのコメントは翌日しっかりと見出しになっていま
した。)
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”久しぶりに土曜日の準決勝でプレーしたい”という望みがかかった準々決勝の対ロジャー・フェデレー
(スイス)戦だったが、0−6・6−1・2−6で敗退。また随分とアップ&ダウンが激しいスコア
である。試合後の記者会見では、「疲れは感じなかった。」と語っていたが、翌日には、「試合前に、
準決勝に行けるようなコンディションではないなと思った。」とも語っている。どっちなんだい
?!と思うが、やはり久々の4連戦は難しかったかな?
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今年はご存知のとおりW杯イヤーで、世界中のサッカー選手には気合いが入るシーズンであると
同時に、厳しいスケジュールとプレッシャーに追われるシーズンでもあった。その分例年になく
ケガ人が多く、たくさんの選手の故障に関するコメントを目にしたのだが、ほとんどの選手が
訴えていたのが、スタミナ回復の難しさ。
毎日2000回転/min.ぐらいで淡々と走り続ける実用車的な一般人からすると、故障で休養期間があれば、
その分リフレッシュできて良いのではないかと思ってしまうが、プロの競技者というのは言わば高性能
のスポーツカーだ。常に高回転でガンガン回してやらないと調子が上がらないもので、ガンガン回る
場というのは実戦以外にないんだろうな。
グガの復帰後の実戦も3大会を消化。その分きっちりと回転も上がっているのではないかと思う。
復帰戦のマジョルカ〜ローマ〜ハンブルグの間は、現地に着いたら練習、試合、敗退した後はちょっと
リラックスしてまた練習、移動、次の会場でまた練習...と、しっかりとやるべきことを
行っているという印象を受ける。当たり前といえば当たり前だが、無理に気晴らしをしたり、ヘンに
気合いを入れたりせず、堅実に正しい道を進んでいると言えるのではないかな。
ローマの半休日 May 9
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マスターズ・ローマ2回戦後の記者会見では、”また明日から頑張る!”的コメントを述べた後に、
「違った、明日の翌日からだ。明日はちょっとリラックスして、自分のために気楽に過ごす。」
なんて語っていた。可愛いね〜(注釈:私は、競技を問わず”病みあがり””故障あがり”の
選手にはとっても優しい人になります。但し、1ヶ月の期間限定。)
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木曜日のローマは、前日までの悪天候とはうって変わってサンサンのお天気だったらしい。試合が
なくオフとなったグガは、ジムで軽いエクササイズとボルゲーゼ公園でランニングという1日を
過ごしたようだ。リラックスして疲れもとれたかな? 次の戦いの場となるハンブルグへは金曜日に
移動する予定。
マスターズシリーズ・ローマ May 6〜May 8
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グガの練習には、例によって例のごとく見物の子供達が一杯で、また、例によって例のごとくこの子供
たちはパソスさんにもサインをねだる。師匠も人気!と言いたいところだが、イタリアの子供たちは、
人に「あれ誰?」と訊かなきゃわからないくせに、サインをねだりにダッシュしたりするからわから
ないぞ。(でも、サインを貰って嬉しそうに「おしえてくれてありがとう!」とか言われると、まぁ
可愛いからいいかと思うんだけど。)
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2回戦の相手は、同僚のブランコを破ったアルベルト・モンタニェス(スペイン)。スペイン選手と
くれば強敵であることは間違いなし。この試合は Pallacorda(テニスの起源といわれる”ジュー・
ド・ポーム”のイタリア名がついた第2コート)の第4試合として組まれているので、試合開始は現地時間の
18時〜19時ぐらいか。晴れてくれれば、まだ明るくて暖かいうちに始まるんじゃないかな...って、
なぜにこんなにお天気の心配をしなければならないのか〜?
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雨が降って、試合開始予定時刻がどんどん遅くなって、とうとう夜になった時には、嫌ぁ〜ね!と
思っていたが、心配していたとおり、4−6・6−3・1−6で2回戦敗退。もちろん敗因は
お天気ではなく、第1セット序盤に
掴んだブレークポイントをいかせなかったことと、第3セット第1ゲームで最悪のプレーをして
しまったことを悔やんでいるようだ。パソスさんも、第1セットのブレークポイントを逃した
ことが大きく響いたと分析しているが、その一方で弟子の回復ぶりも認めている。−−−
「グガは多彩な
ショットを打とうとしているし、日々良くなっているよ。普通ならミスしないところでミス
しているけれど、それは(故障から復帰したばかりの今は)当然のことだし、今日はモンタニェスが
非常にいいプレーをしたことも忘れてはいけない。」
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ゲンの良い大会で2回戦敗退は残念だが、欲張りすぎてもいけない。大切なのはゆっくりであっても
着実にアップしていくこと、そして、決して後戻りしないこと。その点は本人が重々承知だ。
−−−「週を追うごとに良くなっているのを感じる。だけど1日やそこらで奇跡が起こるのを
期待しちゃいけないからね。今必要なのは、我慢して諦めずにやり遂げること。」
マジョルカ・オープン Apr 29〜May 5
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久々の実戦の地。'98年には地元のモヤを決勝で破り3つめのタイトルを獲得した思い出の地でもあるが、
今年から会場が闘牛場からビーチ沿いのクラブへと変更されたそうだ。”グラディエーター”の
世界みたいでカッコ良かったのにな〜 グガも”雰囲気が好きだったのに”と残念そうだが、
ビーチ沿いの雰囲気も好きになるでしょ、きっと。
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トレーニングを早々と切り上げて早期復帰する目的のひとつとして、他のトッププレーヤーと練習
できることを
挙げていたが、マジョルカでは、ワイルドカード出場のジュニア選手、ノーマン、サバレタ、バル
セルズらを相手にボールを打ち合った。同じケガで同じ医師から手術を受けたノーマンには、手術前
にも相談していたようなので、その後の状況についても色々と情報交換があったことだろう。
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エントリーシステム(52週総計のランキング)上では、昨年のUSオープン後はポイントが減る一方
なのに、再び第2位に復帰し、シングルスは第1シード。初戦の相手は、とってもロシアン
(or Ukrainian?)な名前の
響きが印象に残るニコライ・ダビデンコ(ロシア)。シングルスより先に初日に登場予定のダブルス
では、同僚のアンドレ・サと組んで、ハガード(南ア)/ヴァンフット(ベルギー)と対戦する。
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ダブルスの試合前にパートナーのアンドレ・サと1時間半ほど練習した...のは、当たり前なのだが、
試合後にもサと2人でボールを打ち合うとは、パソスさんも容赦ないなぁ。早急に改善しなければ
ならないプレーが山積みのようだが、数は多くとも課題がハッキリしているのはいいことだ。どうぞ
地道に取り戻して下さいな。
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”復帰=元に戻る”というよりも、”再出発”の気分を味わっているらしいパソスさん。「試合直前に
コートが割り当てられて、小さなコートに出ていって...。まるでアルゼンチンのサテライト
サーキットを回っていた時のようだった。」−−−他にも”豆料理で食いつなぎながら、キャビアを口にする日々を
目指す”なんて表現も使っているが、世界No1!の時も、キャビアを食している雰囲気はまるで
ナシでしたけどねぇ。
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シングルス1回戦も、6−2・6−3で無事突破。パチ!パチ!何と言っても2002年の初勝利ですから
ね〜 後はしっかりと課題をこなしながら戦ってくれれば良し。
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パソスさんに”60%程度”といわれた身体的/技術的コンディションだが、ダビデンコ戦を終えての
自己判断は”60%から70%”。そのコンディションを少しでも高めるために、今大会は出来る限り
勝ち上がりたいという。「強い選手がたくさん出ているから、どうなるかはわからないけれど、
今持てる力を全て発揮するつもりだ。」
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ひとつ勝っただけで、やっぱり聞かれてしまう質問は、”ローランギャロスのタイトルを防衛できる
か?”−−−「その質問に答えなきゃならないとしたら...それは難しいだろうね。故障の性格から
いって、僕は優勝候補の一員ではない。でもそれはいいことだよ。よりリラックスして、その分
良い状態で臨むことができるし。」
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戻ってきたばかりの選手にグランドスラム制覇の可能性をたずねるのは、気が早すぎるというものだが、
それはマジョルカの大会関係者も同じ。財政面の悪化もあって、今年から1万人収容の
闘牛場から3000人規模のスポーツクラブに会場を移したのだが、大会10日前に人気者の参加が決定
してからは、チケットやプレスのクレデンシャルへのリクエストが急増し、「それまでは、
人を集めるのに苦労していたのに、彼の出場が決まってからは、どうやって人を中に入れるかという、
嬉しい問題に取り組んでいるよ。でも、もし彼が決勝に残ったとしたらどうしよう?」なんて、気の
早い心配もしているらしい。たしかに、Globo.comの映像をみる限り、センターコートとは思えぬ
寂しい規模のスタンドだけどね。パソスさんがサテライト修行時代を思い出してしまうのも納得だ。
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再出発に意気込むパソスさんは、グガの復帰後初のシングルス勝利を、亡きお母さんのオレスティーナ
さんに捧げるそうだ。オレスティーナさんが亡くなったのはグガが手術を受けた翌日だったが、
お母さんがパソスさんに伝えた最後の言葉は、「”cuida bem do Guga”グガの面倒をよくみるんですよ。」
だったという。親しい存在を亡くすのは辛いことだけど、コーチのお母さんに、そこまで気に
かけてもらえるなんて、とても幸せな選手ですね。
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アダムス(南ア)/アスペリン(スウェーデン)と対戦したダブルス2回戦(=準々決勝)も、
2−6・6−2・10-7(Match Tie-Break)で競り勝ち、準決勝へ。オーシンスの引退で核となる
ダブルスペアを欠くブラジル・デ杯チームにとっても、今回のグガ&アンドレ・ペアは
収穫じゃないかな。
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35万ドル規模のクレーの大会の2回戦でこの対戦?の対ノーマン戦は、雨で開始が遅れ、そして
予想どおりに試合自体も長くなってしまったが、6−1・5−7・6−3で勝ち抜け! 第1セットを
25分足らずで奪取し、第2セットも4−0とリードした時には、ちょっと安心した+固まるライブ
スコアに辟易して、お風呂に入っちゃったりしたのだが...。何はともあれ、これで、本人が
目標としていた(んだって!)ベスト8に到達。
「テストに合格したようなもの。フルセットだったし、難しいコンディションだったからね。
コートはとても滑りやすくて、アイスホッケーのリンクみたいだった。ノーマンは4回ほど滑ったし、
僕も滑りっぱなしだったよ。」−−−それは残念。ともに故障あがりだっただけに、もっと良い
コンディションで対戦させてやりたかったな。しかし、アウトドアーの大会では、それも戦いの
ひとつだ。
「6-1 5-2までは信じられないほど上手くプレーできたんだ。でも、そこから身体的にもメンタル的にも
レベルが落ちてきてしまった。」「マグナスは、つけ込む隙を与えたら、すぐにそれをものにして
しまう手強いプレーヤーだ。今日は形勢を逆転することができて嬉しいよ。自分は身体面もメンタル面
も強いんだということを再び実感できたし。もし 6-1 6-2 で勝っていたら、十分なテストにはならな
かったでしょう?」−−−以上、最後はとっても意地っ張りのコメントでした!
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準々決勝の相手はガストン・ガウディオ(アルゼンチン)。公式戦の対戦成績は2勝0敗だが、
絶好調の相手だけに、”コート中を走らされるんだろうなぁ”と厳しい戦いを覚悟している様子。
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シングルスは終了したものの、まだお仕事は残っておりまする。ダブルス準決勝の対ノウル
(オーストリア)/コールマン(ドイツ)戦は土曜日の予定だが、翌月曜からはマスターズ・ローマが
スタートするだけに、気持ちの持っていき方がなかなか難しいところ。
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”翌日までに疲れをとることができるか?”が注目された土曜日のダブルス準決勝だが、
6−1・6−2で敗退。疲労は一晩では回復せず、コート上の動きはかなり重かったようだ。
とはいえ、スタミナの不足はブランクから復帰した競技者には
付きもの。あまり心配することもないだろう。土曜日の午後にはローマへ移動できたよう
なので、週末を上手に使って疲労回復に努めてほしい。
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グガ本人が、「凄く疲れていてコート上で全然うまく動けなかった。」と認めていたダブルス準決勝の
出来。パートナーのサも、「僕が上手くやっても、グガがミスするし。」と聞きようによっては、
えらい文句を言っているが、小見出しにもなっていないところをみると、別にシリアスなもの言いでは
なかったのかな。こういった発言は、隣に本人がいて笑顔で言う場合と、別の場所で真剣な表情で
語る場合では、まるっきり真意が違っているので、文字情報だけでは難しいんだなぁ。
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予想外の早い復帰戦に心配が先行した大会だったが、単複ともに2勝挙げ、まずは合格の再出発だ。
本物の強さを発揮するには、まだまだ時間が必要だろうが、久しぶりのプレー姿はやっぱり
良いです! 今後はあまり無理せずに、だけど、元気なプレーぶりをたくさんみせてほしいな。
100%−60%を取り戻す5月 Apr 18〜Apr 24
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復帰戦発表後は、兄弟弟子のカールソンやジュニア選手達を相手に実戦形式のトレーニング。この
ジュニア選手たちはプレシーズン中に一緒に”合宿”した仲間だが、苦戦中のお兄さん達とは対照的に
、1月〜2月の中南米ジュニアサーキットでは精力的な活躍をみせていた。クエルテン情報を拾っている
と、ジュニア達の結果ももれなく付いてくるのでチェックしていたのだが、プロに負けず劣らずのハード
スケジュールにはビックリしてしまった。現在プロで活躍中の中南米勢も、約10年前には同じような
道で揉まれていたんですねぇ...。
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パソスさんによると、復帰直前の身体的/技術的コンディションは60%。と言っても、一般人の感覚では
90%あたりではないかと想像する。日常生活ではほとんど問題にならない程度の”不足”が大きく
モノを言う世界だけに、あとの40%は実戦で揉まれながら取り戻さなければならないのだろう。
願わくば、何戦か勝ち上がりながら取り戻していければいいけどなぁ。
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待望のサーキット復帰には、本人も楽しみ!ながら、心配も押さえられない様子。これは無理のない
こと。「トレーニングと試合は別ものだから。コートに戻る時には緊張するだろうし、精神的に
ちょっと混乱もするだろうけれど、それが僕の仕事だから。」...と、コメントはここで切れて
いるが、”逃げちゃいられない”という感じかな。
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