Gustavo "Guga" Kuerten/ぐがのみち
2002 Vol-5
Vol-5は、2002年後半戦・シュツットガルト〜マスターズ・シンシナティ。
意気込みはあるものの、なかなか結果がついてこない苦しい時期だ。がんばれ〜
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お知らせ Aug 18
長いこと不穏な音をたてていた自宅PCが、長いこと予感していたとおりクラッシュしてしまい、
更新をお休みしておりました。予感していたのなら、きちんとバックアップしておけばいいんですけど
ねぇ...。
今週、後継機はゲットしたのですが、仕事が多忙な時期であること、それからグガ自身がUS
オープンへ向けて、じっくりと準備をしている時期であることを理由に、しばらくお休みを延長
することにしました。トレーニングの様子やコメントもあるにはあるのですが、”コート上で
表現する”を身上とするだけに、納得がいく結果が出るまでは、あんまり喋りたくないんじゃないか
と思うんですよ。だから、無理のない自然なコメントが出るまでは詮索しないことにします。
更新は、ちょっとした特集を含めて、USオープン終盤ごろに再開する予定です。ちょっとした
特集が大特集になるように、元気なプレー姿をみせてくれることを静かに願ってます。
(追記:現在メールは問題なく送受信できるのですが、一部のアドレスが消えてしまいました。
また何か機会がある時にメールをいただけると有難いです。よろしくお願いします。)
マスターズシリーズ・シンシナティ
Aug 5 〜Aug 11
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ドローが決定。1回戦の相手はシンシナティになると縁があるティム・ヘンマン
(英国)。といっても、一昨年、昨年は準決勝での対戦だったのだが。しばらくランキングはどうでも
いいやと思っていたけれど、自分も大変だし、何といっても人様に迷惑だわ。早くシード粋まで
戻らないとね。
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8/3(土)には、チェラをパートナーに練習を行ったが、気温はさらに上昇してコート周りでは
42度を記録したらしい。グガに限らず、みんな大丈夫か?
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結局、出場することになったシンシナティだが、1回戦でヘンマンに敗退。そのままフロリアノポリス
へ戻り、USオープンへ向けて地元で準備を行うことになった。
師匠の言葉
Aug 1
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8/1(木)にはシンシナティ入りし、ジムでのエクササイズとコート上の練習を行った。翌8/2(金)
には、気温40度!の猛暑の中、2時間40分の猛練習を行ったという。考えただけでクラクラして
しまいそうだが、パソスさんの言葉は毅然としたもの。
「私はグガを限界までやらせたよ。テストのためにね。明らかに彼はクタクタになってしまった
けれど、毎日これを乗り切らねば。この点でまだ彼は対応しきれていない。グガは精神的耐久力を
強化しなければならないんだ。(厳しい練習は)成功のために支払わねばならない犠牲だよ。」
この練習終了後に、パソスさんがグガに向かって、「君とのパートナーシップもこれで終りだ!」
と告げ、ふたりして大笑いになったというが、なぜこれが笑いのネタになるかというと、前日に
サンパウロのラジオ局が放送したパソスさんのインタビュー内容が反響を呼んでいたから。
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磐石と思われていた師弟関係に亀裂?関係終焉か?という
反響を呼んだのは、トロントでのグガの1回戦途中棄権に対するパソスさんのコメント。内容は以下の
とおり...
「私はとてもがっかりした。」「彼の姿勢はチャンピオンのものではなかった。
もし問題があったなら、グガは事前に打ち明け、プレーしたくないと言うべきだったのだ。しかし
彼はやる気が十分でないままコートに出て行くことを選び、そしてああいうこと(途中棄権)に
なったわけだ。」
「言い争ったかって?もちろん。彼の顔に手をあてながらね。選手とコーチの話し合いだ。実際、
さっき語ったとおり、私は彼に本当にがっかりさせられたんだ。」「私はもう12年もグガと一緒に
やっている。いつもコート脇にいて、全てのことをあれこれ指示する必要はないはずだ。彼も成長して
もう大人なんだし。」
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このインタビューはネット公開され、私も聴いてみたのだが、細かい内容はわからないものの、
パソスさんの口調は穏やかなものだった。
私自身、トロントの結果をチェックした時には、正直言って心にひっかかるものがあり、風邪だったら
いいのにとさえ思ったのだが、プロテニスプレーヤーとしてのグガとは一番近い存在であるパソスさん
の厳しい言葉をきくと、納得というか、そうだよね、やっぱり準備が出来ていないんだったら最初から
止めるべきだったんだよね、でも、やってみたら上手くいくかもという思いもあっただろうし、
難しい選択だよな、だからそんなに厳しく言わなくてもねぇ、でも、それがコーチの任務でもあるな
...と
思いは移り変わり、最後は勝手に詮索するのは止めようという気持ちになった。
パソスさんの意図を勝手に推測するわけにはいかないが、多分、マスコミなどの外部からの雑音が
大きくなる前に、ちょっとした”ショック療法”を試みたのではないだろうか。
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インタビューの反響にちょっとビックリ
したというパソスさんのコメントを補足。−−−
「あの時(トロント1回戦後)はグガと激しく言い合ったよ。しかしそれは当たり前だし、
シーズン中は何度もあることだ。ただ皆は私がそんな事を話すのを聞いたことがなかっただけだろう。
*私が語ったことは全て反響を考えてのことだ。」(*最後の部分は、反響or反応にかかる言葉
が特定できず解釈が不十分です。出来れば後日訂正します。)
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金曜日の2時間40分の練習後は、すぐ休憩かと思ったら、リラックスのためにパソスさんとゴルフに
出かけたそうだ。なんだかんだいってもスポーツ選手とは体力があるもんだよ〜 (かくいう私は、
本日気温35度・1時間20分少々の試合でのびました。)
先輩の言葉
Jul 31
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現在のグガは、来週のシンシナティ参戦を目指して身体のケア&エクササイズ中。無理せず、臆せず、
前進してほしいものだ。
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トロントでの棄権は色々と雑音も生んでいると思うが、かつてのブラジルのトップ選手で、
現在はマネージメント業や執筆業で活躍中のトーマス・コーチ氏が、ロナウドや(癌を克服して
ツールドフランス4連覇を果たした)アームストロングの話題をからめながら、グガに対する
暖かい視線を感じさせるコラムを寄せていたので、内容を一部ご紹介したいと思う。
「今、グガは嵐の真っ只中にいる。手術後の回復期にいるグガの試合は予測ができないもので、かつての
リズムを取り戻すまで、調子に波が出てしまうのは、しごく当然のことなのだ。」
「また痛めてしまうかもしれないという怖れがあるのか、実際どの程度痛むのか、痛みは怖れの産物では
ないのかは、彼本人にしか判断できないことだ。私自身は、グガはここまで非常に良くやっていると
思うし、手術からの回復も予想以上のものだ。」
「今必要なのは忍耐である。全てはグガの意志と乗り越える力にかかっているが、それは、彼が今まで
何度もコート上で披露してくれたように、素晴らしく力強いものだということを我々はよくわかって
いるではないか。ホナウジーニョ(=ロナウド)
は乗り越えた。アームストロングも乗り越えた。グガもきっとやってくれる。」
マスターズシリーズ・トロント
Jul 29〜Aug 4
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7/27(土)の日中はL.A.で。午前中はトレーナーからケアを受け、午後はビーチを散策してリラッ
クス。そして夜行便でトロントへ移動し、7/28(日)にトロント着。翌日の7/29(月)には、レビィー
をパートナーに練習を行ったが、気温36度・湿度85%という蒸し暑さに、「トロントというより
シンシナティだね。」
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久々にノーシードで迎えるトーナメント。初戦の相手はディフェンディングチャンプのアンドレイ・
パベル(ルーマニア)。ノーシードということは、早いラウンドで強豪選手と鉢合わせする確率が
上がるわけで、困ったなぁ〜なのだが、それはシード選手にとっても同じだろう。どんなトップ選手
でも、ドローの近所に”G.Kuerten”の文字があるのは嫌なのでは?
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翌週のマスターズシリーズ・シンシナティに出場するかどうかは、ここ数日の様子をみてから。
多分、出るのではないかと思うが、その前に、キングス・アイランド・リゾートパークで気晴らし
してみてはいかがだろう?
メルセデス・ベンツ・カップ (L.A.)
Jul 22〜Jul 28
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シュツットガルトを7/19(土)に発ち、同日L.A.入りしているはずだが、まだ到着&練習開始の
ニュースはなし。もともと北米シリーズでは注目度満点というわけではなかったので、今年は
一層静かに戦うことができるだろう。
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久々に登場のトミー・ハース(ドイツ)が第1シードのドロー。グガは第5シードで、初戦の相手は
予選通過選手となる。”カミカゼ”タイプじゃないといいけどねぇ。ついでにお天気も良いといいけど。
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予定通り土曜日に現地入りし、練習も開始していた様子。「コートはそんなに速くない。」と語って
いるところをみると感触は悪くないのかな。1回戦の相手はウィンブルドンでサンプラスを破った
ジョージ・バストル(スイス)に決定。
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お兄さん的選手のグガは、7/22(月)の日中はグロージャンをパートナーに練習
を行い、夕刻からは"Night At The Net"と称されるチャリティー・マッチに登場した。アガシと並んで
テニス界の”スター”として引っ張り出されたはずだが、そうそうたる”芸能人”たちに囲まれて、
少々おどおどしてしまったようだ。−−−「まったく今までにない体験だった。始めのうちは
場違いな感じだったけれど、徐々に”ハリウッド”の雰囲気にも慣れて、最後はとっても楽しんだよ。」
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7/23(火)のセンターコート・第4試合として行われた対バストル戦は、7−5・7−6(9-7)という
タイトなスコアで競り勝った。勝利そのものも重要だが、接戦のタイブレークを制したのも大きいぞ。
昨年同様このあたりからタイブレーク勝率もグッとアップしてもらいたいものだ。
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この試合には、前日のチャリティー・マッチでチームを組んだ(TVシリーズ「フレンズ」でお馴じみの)
マシュー・ペリーも応援に駈けつけてくれたようだ。
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左利きのマーティン・リー(英国)を相手にした2回戦は、7−5・7−6(7-5)という、またも
タイトなスコアで競り勝った。第2セット・2−3の場面で、観客席の男性が発作をおこして病院に
運ばれるという一件があり、約30分の中断を挟んだ試合だったが、本人いわく、”何事もなかったかのように
続けられた”そうで、タイブレーク2連勝のおまけ付きで準々決勝進出だ。
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昨年は、”クレーの試合では、タイブレークを落としても次のセットは取れると思えるけれど、ハードコード
だとそうはいかないから”という、ある意味けしからん理由で、この大会から一気にタイブレーク
勝率を伸ばし、USオープンまで13勝1敗(10連勝を含む)を記録したのだが、今年も出足は上々で
ある。できればタイブレーク前にカタをつけてほしいけれど。(そして、クレーコートのタイ
ブレークもどんどん決めちゃっていいんだよ〜)
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弟子のプレーに満足げな師匠の談話。「私が嬉しかったのは、両プレーヤーが攻撃的に戦ったなかで、
より多くの素早いカウンターアタックをかけたのがグガの方だったということだ。それに何よりも、
タイブレークを取れたしね。」
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月曜日のチャリティー・マッチでの衣装は、今やお馴じみとなったオレンジ(に白少々)のトップと
濃紺のショーツ。1回戦では、上は同じオレンジだけどショーツは白。そして2回戦は、トップが白
(にオレンジ少々)でショーツは濃紺。髪がベリーショートになって派手さがない分、色々考えて
いるのかしらん?それともバッグから取り出した順番で着てるだけ?
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準々決勝の相手は、ちょうど1年ぶりの対戦となるアンドレ・アガシ(USA)。11回目の対戦だが、
未だクレーコートでの対戦はなく、今回もまたハードコート上の戦いだ。最近の勝敗パターンから
いくと、今度は勝つはずなんだけど。
メルセデス・カップ (シュツットガルト)
Jul 15〜Jul 21
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シュツットガルトへ到着した後は、いつもの通り練習コートへ。初日の練習パートナーは、予選に
出場している同僚のマルコス・ダニエル。(余談だが...マルコス・ダニエル、ダニエル・メロ、
リカルド・メロー、マルセロ・メロ、エンリケ・メロー、エンリケ・メローニ...と、近頃
目にするブラジルの若手&ジュニア選手の名前の何とややこしいことよ〜 誰かが抜け出てくれると
識別も簡単なんだけど。)
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今年のグガは、ノバック(チェコ)に続く第2シードで、初戦の相手はステファン・コウベック
(オーストリア)−−−「コウベックは初戦で当たるには難しい相手だ。最近は良いリズムで
プレーしているし、結果も出しているしね。でも、それだからこそ、この初戦を勝つことができたら、
僕は勢いづくことができるだろう。」
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7/16(火)に予定されていたコウベック戦だったが、結局、雨で順延。今年はどの大会も雨に泣かされ
ますね。雨なんだから練習もなしかと思っていたら、「1日中じっとしているよりは、少しでも動いた
方がいいから。」とボールを打っていたらしい。小降りの時だとは思うが、カゼなどひかぬようにね〜
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昨年と同様に、今年も祖母のオルガさんが同行しているらしい。グガがおじさんになったという
ことは、オルガさんは”ひいおばあちゃん”になられたわけだ!
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7/17(水)のシュツットガルトも断続的な雨模様。各コートの第1試合はなんとか行われたが、
クエルテンvsコウベック戦開始直前に雨が強くなり、結局、再び順延。7/18(木)の午前中に
1回戦、そしてそこで勝てば、午後に2回戦というタイトなスケジュールとなった。−−−「私達は
準備も整って全てOKだった。練習が終わって、ドレッシングルームでウォームアップも済ませて
...。ところがそこで雨だ。これは大変だよ。ここに来てからもう1週間になるのに、まだ
プレーできないでいるんだから。でも、自然相手じゃどうにもできないね。」これは、相変わらず
厳しい師匠ぶりを発揮しているらしいパソスさんの談話。
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その後、第2セットは6−3で取ったが、第3セットのタイブレークを(4-7)で落とし、2回戦敗退。
こういう試合をものにしていけば、今本人が一番手にしたい本物の自信が芽生えてくるのだろうが。
”最高の1日”はしばらくお預け。もっといい機会のためにとっておく...ということにしておこう。
さて...っと!
Jul 10〜Jul 14
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シュツットガルトからUSオープンへと続く”夏の陣”は、昨年かなりのポイントを稼いだシリーズ
なので、ランキングを考えるとプレッシャーがかかるところだが、「これは僕のキャリアの新しい
段階なのだから、タイトル防衛とかランキングのことは考えずに行く。」そうだ。「今回の一番の
目標は、週末にプレーできるような良い結果を残すこと。そうなれば更に意欲が湧くからね。」
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シュツットガルトはドイツの街。そしてドイツといえば先月のワールドカップでブラジルと決勝を
争った国である。ブラジル5度目の優勝には大喜びしたというグガだが、「ドイツに着いたら、
あまり騒がないようにするよ。彼らはまだ半分傷ついているだろうから。でも、これで少なくとも今後
4年間の僕は平穏だなぁ。1998年(のフランス大会)以来、フランス選手達の、”1点、2点、3点対ゼロ!”なんて
言葉を甘んじて受けなくちゃいけなかったんだから。」−−−あら、そんな言葉でせびらかしていた
のは誰でしょう? 一番考えられるのはエスクーデあたりかな。
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ワールドカップの話題になったついでに...。初のアジアでの開催、そして梅雨を避けようと
通常より2〜3週間繰り上げられた開幕。これが大きく影響したのか、番狂わせが続く思わぬ展開と
なったが、それだからこそ、そこで優勝する難しさを改めて知らしめた大会だったと思う。そんな
大会を制した勝者は、それを誇りとすべきだが、同時に、その誇りにふさわしいチャンピオンは、
勝利に対して限りなく謙虚になっていくのだろう。
子供の頃からの夢、勝利への意志と成功への野望、注ぎ込んだ努力と払った犠牲。これらは参加する選手・
チームにとっては必須といえるもので、必ずしもその差だけが勝利と敗北を分けているわけではない。
競うレベルが高ければ高いほど、何か不思議な力が勝者を後押ししているように思えてならないのだ。
そして、そんな不思議な力を感じるからこそ、勝者はその”何か”に感謝し、またその力に出会う
ために再び挑戦を続け、それを感じる世界中のファンが固唾をのんで見守るのだと思う。
ローランギャロスというテニス界のビッグイベントのひとつを3度制したクエルテンも、またその
力に感謝し、挑戦を続けようとしているアスリートだと感じている。勝利に対する謙虚さが、時には
自信のなさとなって現れて、じれったい思いもさせられるのだが、ファンとしても大局的に見守って
いかねばならないんだろうなぁ。さて、今夏はど〜んと構えていってみるか。
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